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17話 サンドワーム

「ネリネ!そっちへ行った!ラスト頼む!」

「任せて!はぁぁぁ!」

 ネリネが双剣で連続斬りをモンスターにお見舞いする。その連続斬りに耐えられなくなったモンスターは音もなく崩れ去った。

「やったな、ネリネ。流石シルバーランクの双剣士!技が冴えてるね!」

「ミナトこそ良かったわよ。途中まで一人で倒しちゃうんじゃないかってくらい押してたし!」

「二人の息が合ってきましたね!側から見ててといいコンビでしたよ!」

 イルフ街への旅の途中、俺たちは何度も何度もモンスターと戦った。一人での練習期間は終わったのか、ネリネやミルとも連携をとって戦うようになってきた。俺一人だけじゃない、仲間と一緒に戦うんだと思うと緊張と共に勇気も湧いてきた。ちょっと強そうなモンスターが相手でも張り合えるくらいには俺も強くなれた。

「しかし、モンスターの数が増えてきましたね。連戦はこたえます…。」

「イルフ街が近いってことなのか?」

「いえ、街には結界が張ってあるから街が近いからといってモンスターが多くなるってことはないわ。運の悪い子でもいるんじゃないかしら。」

「わ、私じゃないですからね、私じゃ!私は運がいい子って評判でしたから。」

「それはどういう評判なんだい、いったい。でも精霊の私でも異常は察知できないということは偶然なんだと思うよ。」

 スーリアがこう言うのである。他のメンバーも異論はない。偶然ならいいんだ偶然なら。

 俺がこっちの世界に来てからちょっとおかしいことが起きているっぽいよな。ウルフ100匹騒動とか。モンスターの異常発生とまではいかないまでも大量発生している。何か関係があったりするのだろうか?まぁ、それで俺のせいにされても困るのだが。

「連戦ばかりは勘弁してほしいけどな。訓練になるとはいえ、流石に疲れるな。」

「何言ってるの。まだまだこれからよ。ミナトは体力もつけなくちゃダメみたいね。」

 そう話していた時だった。

「お喋りしているところ悪いんだけど、また新しいのが来たみたいだよ。みんな、いける?」

「少し休みたかったが仕方ない。やるぞ!」

「今度は私の魔法見せてあげます!」

 気合を入れ直す俺たち。

 現れたのはサンドワームだった。体長は3メートルほどの大きなモンスターだった。ワームは1.5メートルくらいだったからそのデカさがよくわかる。うねうねと動くところはミミズのようだが大きさが違うので、よりリアルにうねうねしている。要するにとても気持ち悪い。

「大きいのが来たわね…。ミル!最初お願い!」

「わかりました!氷で作られし鎖よ、我を阻む敵を絡め取らん、アイスチェーン!」

 青い魔法陣がミルの足元に展開される。詠唱が終わるとその魔法陣が消えた。すると、サンドワームの足元から氷でできた鎖が何本も現れてサンドワームの体を固定した。急に現れた鎖にサンドワームは体を動かし脱出を図るが鎖ががっちり掴んでいるため脱出はできない。その隙に、

「はぁっ!」

「えぇぇぇい!」

 俺とネリネが斬り込む。サンドワームの胴体の部分を二人で切り込むが、胴体が土管のように太い。少し出血したが、サンドワームからしたらかすり傷だろう。ゲームのようにHPを削りきるとかなら分かりやすいがそういうシステムは現実にはない。やっぱり真っ二つにするのがいいのかな。いや、ミミズって確か二つに切ってもどっちも動くよな…。どうしたらいいんだ。

「ネリネ!コイツってどうしたら倒せるんだ!?」

「サンドワームは氷に弱いの!私たちで傷をつけて出血させて、ミルに氷魔法で倒してもらいましょう!」

「了解!頼むよ、ミル!」

 サンドワームの倒し方もわかったので攻撃再開。未だ氷の鎖に縛られているサンドワームに対し剣で斬り込みを入れていく。斬っても斬ってもサンドワームが倒れる気配はない。そしてついに、パリンと音を立てて氷の鎖が割れた。怒ったサンドワームの猛攻が始まる。身体をくねらせて俺たちに襲いかかってくる。それを剣で受けながらも後ろへ弾き飛ばされてしまった。

「ぐぅっ!」

 ダメージはほとんどない。俺がやられるのはまだいい。詠唱中のミルには行かせないように俺たちで引きつけなくては!チラリとミルの方を見る。ミルはとても集中しているようだ。足元は先程と同じ青い魔法陣。今攻撃魔法の準備をしているところのようだ。であれば、ミルが準備できるまで俺たちで足止めするしかない!

「水纏いし眷属よ、我に逆らう敵を流せ!ウォーターボール!」

 同じように身体をくねらせて突進してくるサンドワームの攻撃を避けながら詠唱し、魔法をサンドワームにぶつける!砂系のモンスターは水の攻撃を当てると水分を吸って動きが重くなる!それをネリネと共に数回行った。

 目に見えて動きが遅くなったサンドワームを俺とネリネは斬りつけていく。するとようやく、

「終わりは訪れる。逆らおうとも抗おうとも全てに訪れる終焉を目の当たりにせよ、フリージング!よけて下さい、二人とも!」

 ミルの声と共にサンドワームから離れる俺とネリネ。

サンドワームの頭上から大きい氷の塊が落ちてきた。そのままサンドワームの頭に当たった。すると大きい氷はバラバラと砕け散った。砕け散った氷がサンドワームを覆う様に降り注ぐとサンドワームは凍っていく。こうなっては生きてはいけまい。

「どうですか、皆さん!私のとっておきの魔法は!ブロンズでこれができる魔法使いは滅多にいませんよ〜!」

「ミル、流石ね。確かにブロンズでここまで出来る人は少ないでしょうね。心強いわ!」

「凄いよミル!大魔法使いみたいだ!」

「ふふん!大魔法使いです!」

 ミルが自慢げに胸を逸らす。ミルの魔法の腕を疑っていたわけではないが、ここまで凄いものだったとは。これからの旅でもミルの魔法が活躍することはまちがいない!


 その後も数回戦闘をこなしたが、難なく撃破することができた。基本的には俺とネリネが前衛で攻撃し、隙を見てミルが魔法を打ち込むという方法だ。これが思った以上に効果的で戦闘を有利なものにした。

「私たちの連携も中々様になってきたんじゃないですか!ミル大活躍です!」

「そうだな。俺もメンバーの一員として頑張れている気がするよ。」

「ミナトの動きもすごく良くなってきてるし、ミルの魔法もいいタイミングで飛んでくるのよね。うんうん、いい感じよね!」

 と、全員が全員高評価。イルフ街を目指して数日経つが、戦闘ばかりの日々だった。これだけ戦闘をしたのだ、この結果も当然だ!

「ところで、ミル。さっき使ってたフリージングって魔法、俺にも出来るかな?」

「出来ないことはないですけど、結構大変ですよ?上級魔法ですからね、難しい魔法です。私も使えるようになるまで苦労しましたよ。」

「ちなみにどのくらい?」

「ミナト君の今の実力だと、最低でも6ヶ月くらいかかるでしょうね。そのくらい難しいんですよ、あの魔法。」

 魔法って難しいんだな。下級の魔法は簡単だったんだけどなぁ。

「そもそもミナト君はスーリアちゃんっていう、上級魔法以上の剣をお持ちなんですよ。上級魔法はもっと後でいいと思いますよ。」

「そうよ、私も上級魔法は一つしか使えないけどシルバークラスまで上がれたわ。だからゆっくり覚えていけばいいんじゃないかしら?」

「上級魔法を覚えれば、みんなを危険に晒さずにモンスターを倒せるんじゃないかと思ってさ。負担も減ると思ってさ。」

 これからもっと強い敵が現れた時に、今の俺では役に立たない時も出てくるだろう。そうなった時に少しでもみんなの役に立つためにもと思ったんだ。それに上級魔法を覚えれば、戦略の幅が広がる。と、思っての発言だった。すると2人は驚いたような顔をしていた。

「ミナト、そこまで考えていたのね。ちょっとびっくりしたわ。でもええ、その考えはとても嬉しいわ。ありがとう。」

「ミナト君の成長が伺えますね。ちょっとカッコよく思えてしまったのが不覚です…。」

 ミルの後の方はちょっと聞き取れなかったが、2人ともびっくりしてたみたいだ。

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