15話 ミナトの特訓 実践編
レウイシアさんから話を聞いた次の日。俺たちは王都ラーガを出発し、イルフ街を目指していた。イルフ街までは結構遠いらしい。徒歩で10日ほどかかるらしい。徒歩で10日って歩いた事ないからわからないけど相当大変だろうな…。その間にモンスターとかも襲ってくるだろうし。と思っていたら、
「ミナト、ミル、スーリア。前方からモンスターよ。ウルフが3体。ちょうどいいわね。ミナトの実戦訓練といこう。」
「ちょっ急に!?大丈夫かな。」
「私がついてるんだから大丈夫だよ。精霊剣マスデバリアは強いよ〜!」
「そうですよ!私たちも近くで見てますから。ウルフなんてチョチョイのちょいですよ!」
みなさん、ウルフさんの評価低いからアレだけど、俺にとっては初っ端ビビらされてるからちょっぴり怖いんだよな。とはいえ、弱い部類であるウルフを倒せないようじゃこの旅ではやっていけない。覚悟を決めて行くか!
「すぅーはぁー。じゃあスーリア、頼むよ。」
「はいよー、任された!大丈夫リラックスしていこう!」
そう言うと剣の中に入るスーリア。魔力がギュッと引き締まる。
「精霊剣マスデバリアよ、俺に力を貸してくれ!」
剣を鞘から抜いた。剣の刀身から炎がでてきている。その炎を見ていると、不思議と勇気が湧いてくる!まずは落ち着いて詠唱を唱えた。
「炎を纏う眷属よ。その身を持ちて我が敵を燃やせ、ファイアーボール!」
一番前のウルフに向かってファイアーボールを放った。サッカーボールほどの大きさのファイアーボールはそのままウルフへと当たりウルフを燃やした。
「うがるぅぅぅぅゔゔっっっ。」
ファイアーボールが当たったウルフはそのまま倒れ込んだ。よし、まずは1体。
近づいてくる残りの2体も燃やされている1体を見て少し身を縮こませた。その隙に俺は走り出し残っている2体の内、右側のウルフに迫る。中学の時に体育の剣道で習った胴をイメージしながら、ウルフの脇腹に剣を振った。精霊剣の切れ味は抜群でウルフは胴の部分でスパッと斬れた。斬った感触が感じられないくらいの切れ味だ。だけどこらで2体目!
3体目がこっちに突っ込んで鋭い爪をこちらに向けているのが見えた。それを見た俺は慌ててバックステップをしてその攻撃をかわす。その時に魔力を込めてしまったようで、バックステップがかなり長い距離になり、ウルフとも距離が空いた。距離が空いたため、魔力を足に溜め一気にウルフへと詰め寄った!
「せぇぇぇぇい!!」
上段から剣を一気に振り下ろす。それをウルフがかわすのは到底不可能!そのまま、振り下ろしウルフを縦に真っ二つにした。これで3体、全部撃破だ!
「よっしっ!できたぞ!みんな!」
「おめでとうミナト!ちょっと危ういところはあったけど、初戦闘としてはばっちりね!」
「その初戦闘に魔法も取り入れるとはセンスありますね、ミナト君!これは色々と教えがいがありそうです!」
「ほら、言った通りだったでしょ。精霊剣マスデバリアは強い剣なんだから心配いらなかったでしょ!」
みんながそう褒めてくれた。
「みんなが教えてくれた事をやっただけだよ。ありがとう、みんな。」
俺の初戦闘は快勝で終わることができた。これで戦闘に関しても少し自信がついた。この後の戦闘も任せてくれ!
任せてくれとは言ったけど、任されすぎ!あのあと、いろんなモンスターが現れたがそのほとんどを俺一人で対処させられた。ウルフはもちろん、大きい蜂型のモンスターであるビー。土の塊で手足の生えたサンドゴーレム。でかくて気持ち悪いミミズ型のワームなど様々なモンスターと戦わされた。俺に自信をつけさせる目的なのか、俺が倒せるモンスターは片っぱしから当てられた。唯一難しいと判断されたのか、見た目大きいミドルスライムのときだけ手伝ってくれた。ぐにゃぐにゃしてやたら斬りづらかった。
「すまない、流石にちょっと休ませてくれ。てか、ネリネって結構スパルタ?」
「このくらいでスパルタって言われても困っちゃうんだけどなぁ。今日の戦闘全部やってもらうつもりだったし。」
「そうだったんですか?流石の私もやらせすぎだなぁって思ってましたよ。ネリネちゃん的にはまだまだだったんですね…。」
「ええ!?そんな!私の感覚がおかしいみたいじゃない。でもでも危ない敵は助けたじゃない!あのスライムだって今のミナト一人でも倒せたわよ!でもちょっと怪我が多くなりそうだから助けたんじゃない!」
「ちょっと!?結構危ない感じのヘドロとか飛んできてたよ!?アレ当たったら多分ドロドロに溶けちゃうんじゃない?」
「当たらなければいいじゃない。当たらなければどうってことないわよ。」
俺は思わず絶句した。隣を見るとミルも絶句している。あ、よかった。俺がおかしいわけじゃないみたい。どうやらネリネがおかしいみたいだ。
「うっ、そんな目で私を見ないでよ!そうなのね、私ってちょっと、ほんのちょっとだけ厳しいみたいね。少し反省したわ。次からはちょっとずつ私も戦闘に加わるわ。」
そのちょっとがどのくらいの頻度か分からないのが怖いところだよなぁ。
「どう?どう?私の切れ味どう?凄かったでしょ。私にかかればモンスターなんて一捻りだよ!」
空気を読まず、自分の手柄を褒めて欲しいスーリア。ああ、スーリアは可愛いなぁ。となでなでする。
「うん?なんで、なでなでされてるんだ、私は。あれ、ミルまで?なでなでされまくるとくすぐったいな!」
ネリネが出遅れたって顔をしてこちらを見ている。こればかりはやったもん勝ちだよな。
「とにかく!ミナト。今日の戦闘はバッチリよ。初めてだとは思えないほどによかったわ。もう少し戦闘したら、今度は私たちとの連携を練習していきましょ!」
「おう、わかった。魔力の使い方もなんとなくだけど慣れてきた気がするよ。」
「それは、見てても分かったわ。まだぎこちないけど、いい動きするようになってきたからね。もっと慣れれば傷も減るはずよ。」
「そうしたいな。あちこちすり傷だらけでスゲー痛いわ。」
「そういうことなら任せてください。癒しの力をここに示さん、ヒール!これで少しは良くなったはずですよ。」
ミルの足元に白い魔法陣が形成されたと思ったら、俺の体が優しい光に包まれて体の痛みが引いていった。
「ありがとう、ミル。ミルの回復魔法って凄い効力だな!これだけでお金稼げそうだな。」
「いやいや、そうはいきませんよ。私が今使える回復魔法は一番効力の弱いヒールと解毒の魔法だけですからね。解毒だって毒の強さによっては解毒しきれませんからね。回復専門の魔法使いはそれはもう凄いですから!どんな怪我でも治してしまうくらいですから!」
魔法のことを話すミルは普段よりも輝いて見えるな。やっぱり得意な分野を話すって楽しいことだよな。
「俺も回復魔法とか覚えられるかな。」
「大丈夫ですよ。簡単な回復魔法なら大体の人が使えますし!」
「なら今度教えてくれ!自分の怪我は自分で治したい。」
「わかりました!任せてください!」
そう言うミルはより一層輝いて見えた。




