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14話 旅の準備と恋愛事情?

レウイシアさんと別れた俺たちは宿屋へ戻ってきていた。今後の旅についてどうするか相談するために。レウイシアさんから聞いた内容は重要なものであった。

「さて。レウイシアさんから話を聞いたけど、言葉通りにイルフ街に行く?それとももう少し情報を集めてみる?」

「これ以上の情報って手に入れられるのか?ゴールドランクの冒険家が他にアテがあるとか?」

「うっ、ないけど…。」

「今度からは転移の魔導具について調べるわけですしね。ゴールドランクのレウイシアさん以上の情報は出てこないと思います。魔法学院の関係者に話が聞ければ別なんですけどね。」

「そ、そうね。ならレウイシアさんの言っていた、イルフ街を目指すことにしましょうか。」

「イルフ街について何か知っているか?」

「イルフ街はレウイシアさんが言っていた通り、近くに古代の遺跡が多くあります。考古学者や魔法使いたちが遺跡発掘を盛んに行なっています。そこから太古の魔導具が出土することも珍しくないそうです。」

「ということは、その中から転移の魔導具が出てくる可能性もあるってことだな。」

「そういうことね。でも転移の魔導具って相当珍しいものらしいから、もし出土しても相当な値段になりそうね。」

「お金が必要になるのか。それはそうか。発掘してる人も稼がなきゃいけないもんな。」

 転移の魔導具が出土したとしても、手に入れるのは容易ではないようだ。そもそも出土してくれるかどうかすらわからないのだ。

「何もしないで後悔するより、何かして後悔しましょう。まず、イルフ街へ向かいましょう。その時にお金が必要であればイルフ街のギルドでお金を稼ぎましょう。」

 その内容で異論はない。何よりこのまま情報も得られないまま、じっとなんてしていられない!

「では明日イルフ街に向けて出発しましょう。イルフ街まではちょっと遠いから準備だけはしっかりしましょ!」

 次の日に、イルフ街に出発することが決まった。


 あの後、俺たちは別れて旅の準備をすることになった。俺は何が必要か正直わからなかったのでネリネについていくことにした。ネリネは旅に必要な保存食を探しに行くようだ。ふと、ネリネの事を考える。どうしてネリネはこんなにも親身になって、俺の手助けをしてくれるんだろうか。最初に俺のことを助けてくれたネリネ。それでほっとけないからと旅に同行させてくれている。旅のついでだとしても、親身になりすぎだと思える。その部分がいささか気になる。この世界の人たちにも優しい人もいれば、盗賊たちのように悪い奴もいるのだ。そう考えるとネリネは優しすぎるのだ。

「なぁ、ネリネ、聞きたいことがあるんだけど。ネリネはどうして俺の旅を手伝ってくれるんだ?ネリネの旅の目的とはかけ離れてるだろう?」

「んー、別にかけ離れてはないわよ?私の旅の目的はとある物を探すこと。それは今すぐに必要なわけじゃないし、ミナトの旅のついでに探してはいるからね。それにお母さんとの約束もあるし…。」

「お母さんとの約束?」

「そう。亡くなったお母さんからね、人に優しくありなさいってよく言われてたの。私自身もその考えがとても美しいものに感じられて、できる限り人に優しくありたいと思っているの。」

 そう言うと、ネリネは微笑んだ。お母さんとの約束もあって、今のネリネがあるようだ。ネリネの雰囲気からとても暖かいお母さんだったんだろうなと想像がつく。

「それだけじゃなくてね、ミナトと一緒の方が旅は楽しいのよ。」

 その台詞にドキッとくる。ネリネはこう、さらりと嬉しい事を言ってくる。

「ミナトと旅を初めて、ミルやスーリアとも出会えたし、旅が楽しいわ。今までは一人で旅をしていたからね。このメンバーでずっと旅をしていたいくらい。」

「ネリネ…。俺もその気持ちはあるよ。今の旅は大変なこともあるけれど、それよりも楽しいって気持ちの方が勝ってる。まだまだ始めたばかりの旅だったのにおかしいかな。」

「全然おかしくないわよ。私たちは同じ気持ちで今旅をしている。それでいいじゃない?楽しい旅をしましょう!」

 ネリネはそう答えると元気に歩っていく。俺の旅の目的が元の世界へ帰ること。いずれ別れは来るがその時まで楽しい旅にしたいなと思う俺たちだった。


「でも、優しくはありたいけど、ミナトみたいに自己犠牲をしてまで優しくはできるかしら?」

 そうネリネが呟いたことを俺は気づくことができなかった。


 ネリネと保存食を買った後、他に買うものがあるってことで先に荷物を持って帰ることになった。意外と量を買ったな…結構重い…。

 宿屋に戻るともうミルが戻ってきていた。

「早かったな、ミル。用事はもうすんだのか?」

「ええ、すみました。昔馴染みの冒険者に会ってきました。相変わらずちんちくりんだなって言われたんですけど、失礼だと思いません!?私も大人の女に近づいてきているというのに。」

 小柄で可愛いミルは大人の女と呼ぶにはちょっと色々足りない気がするけど、あえてアハハと苦笑いで誤魔化す。口は災いの元って知ってるんだ、俺。

「なんですか、その苦笑いはー。ミナト君も私のことちんちくりんだと思ってるんですね!?ひどい!」

 苦笑いの時点で誤魔化せてなかった!?

「そんなことないって、ミル!ミルはとっても大人なレディダヨ!」

「じゃあなんでカタコトなんです!このこの!」

 ポコポコ殴ってくるミル。このくらいなら本当可愛いもんだ。ひよりなんかはボコッガスッて感じで殴ってくるからな。笑いながら。アレはトラウマになるレベルで怖い。

「そういえばミナト君も早いですね。ネリネちゃんと一緒だと思ってましたが。」

「ネリネは別件があるらしいから俺は荷物だけ持って先に帰ってきたんだ。何かネリネに用事あったか?」

「いえ、別にありませんよ。別件ってなんでしょうね。もしかして男性絡みだったりして…!」

 どの世界でも女の子ってこういう話題が好きなんだな。ひよりや桃華も誰と誰が付き合っててーって話をしてたな。そういえば初めて会った時も俺とネリネが付き合ってると勘違いしてたよな。俺はどうもそういう話は照れ臭くって苦手だ。

「どうだろうな。もしそういう人が居るんだったら俺との二人旅ってしなかったんじゃないか?」

「こういう話はミナト君苦手ですか。つれませんねー。色恋沙汰の話は、コミュニケーションの話題の一つですよ。恥ずかしいことじゃありませんよ。」

「そういうミルはどうなんだ?ミルくらい可愛かったらそういう話の一つや二つあるだろ?」

「か、可愛いって言ったって別に嬉しくないですからね。照れてなんていませんから!…コホン。そうですね、私も自分の話があれば、自慢するんですけどねー。あいにくと無いんですよー。なんでですかねー。」

 ちょっと遠くを見る目をするミル。そうか、お前もそういう道を過ごしてきたのか。合唱。

「ちょっと、哀れむような視線やめて下さいよ!そういうミナト君はどうなんですか!?恋人の一人か二人いないんですか!」

 なんだろう、やけに突っかかってくるな。からかわれたのがムッとしたんだろうか。

「俺もミルと一緒だよ。恋人いたこと無いし、そういう浮ついた話もないよ。これで満足か!」

 と本当の事を言う。それを聞いてミルがニヤニヤした。

「そうですかそうですか。ミナト君もありませんか。そうですか。まぁ、そうですよね。私にも無いんですからミナト君にもありませんよね。安心しました!」

 ニコッと満面の笑みでこちらを見る。クソッ!いい笑顔だなっ!

「こらこら、みっともない話をするんじゃないよ。まったく。見てるこっちが恥ずかしくなるよ。」

 そう言ってスーリアが精霊剣の中から出てきた。そんなに醜い争いしてたかな?

「スーリアちゃんじゃないですか!スーリアちゃんも話に混ざりたくなっちゃったんですか?可愛いですね!」

「そんな理由じゃないわい!ただ、君たちの話が、みっともなかったからでてきたんじゃないか!私がそんな構ってちゃんみたいなマネをするもんかい。」

「そんなことより、スーリアちゃんは今まで恋仲になった人とかいなかったんですか?流石にいますよね?何百年も生きているんですから!」

 ミル強い!色恋沙汰の話題にはホント遠慮なく突っ込んでいくな。そんなミルに圧倒されながらもスーリアは、

「残念だけど精霊には、人間で言う恋愛感情はないんだよね。別に精霊は子供を産むわけじゃないからね!」

「そうなんですかー。つまらないですー。」

 ミルが目に見えてがっかりした。精霊は恋愛感情ないのか。

「だからね、二人ともそう言う話で熱くならずに過ごす事だよ。剣の中から見ていられなかったからね。」

「こうなったら全員聞くまでです!ネリネちゃんが帰ってきたら根掘り葉掘り聞いてやりますよ!」

「ダメだこの子!全然聞いてない!湊止めて!」

「えー、面倒くさいからいいよ。それにネリネだけ聞かれないってのも仲間外れで可哀想だし。」

「多分その仲間外れだったら、喜んで仲間外れになると思うよ!ネリネは!」

 意外とツッコミ上手かもしれないなスーリアは。なんて思っていると、

「ただいまー。」

 当のネリネが帰ってきた!

「いいところに帰ってきましたね!ネリネちゃん!」

「え、いいところ?なにかしら?」

「ええ、ええ、本当にいいところですよ!ネリネちゃん。今まで、男性とお付き合いしたことありますか?いや、ネリネちゃんほどの美貌なら、ありますよね!!??」

「ええっ!?いきなりどうしたのよ、ミル!?」

「いきなりもこうもありません。今そう言う話をしていたところにちょうどネリネちゃんが帰ってきたんです。さぁさぁ、白状しちゃってください!」

 ネリネに詰め寄るミル。おっと何やら怪しい展開に。

「前にも話したけど、旅と修行ばかりでそういうことを考えてる余裕はなかったわ。だから今まで恋人がいたことはないわ。」

「でも、言い寄られたことはあるんじゃないですか?イケメン騎士とかに!」

「うっ。確かに食事には誘われてたわね。でも全部断ってたわ。」

「なんでですか!勿体無いです!そこからロマンスに発展するものですよ!」

「ロマンスって…。あまり恋愛に興味ないもの。一緒に修行しましょう、って誘われてたらOKしてたかもしれないわね。」

 ネリネって結構脳筋なのかもしれない。

「はぁ…。ネリネちゃんほどの容姿があればよりどりみどりだというのに、勿体無いですね。

ネリネちゃんの頭は筋肉でできているみたいです…。」

 ミルがどストレートに言い放った!

「ちょっと!筋肉って何よ!ミナトも黙ってないで援護してよ!」

「いやぁ、ネリネ。俺もミルに賛成。ネリネは脳筋かもしれない。」

「なんでよ!?」

 納得できないネリネを尻目に俺とミルは神妙に頷くのであった。

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