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122話 異世界人がアルバイトするラーメン屋

「えー、私も行きたい!でも今日は用事があるから行けないんだ……。グスン」

そう涙ぐむのは我らが部長、西野凪沙先輩だ。先輩は家の手伝いが忙しいらしくあまり放課後や休日にあそんだりしない。誘っても申し訳なさそうに断ってくるから心苦しい。

「でも代わりに今度の別荘は行けそうだから楽しみにしてるね!新しい水着買わなくちゃ〜」

 今度の別荘には来られるらしい!先輩の水着姿……楽しみだ!

「先輩?なにかいやらしい想像をしていませんか?」

「そ、そんなことないぞ、桃花?先輩は真面目な先輩だぞ!」

「あーらら、みな兄ったらそんなこと言って〜。私知ってるんだから。辞書にカムフラージュしてあるみな兄のお宝に」

「なに!?」

 勉強机の下の方の引き出しの中に入っている辞書のカバーの中に入っている、俺のお宝が!夜○月ばりに隠していたつもりだったのに!

「ひより!それ詳しく教えて!先輩の好みを把握しなくちゃ!」

「私にも教えてひよりちゃん!湊君の好みは私も知っておきたい!」

「俺の癖が広まっていく!?」

 この不名誉な事は断じて広めてはならない。こうなればひよりを買収して……。

「片桐先輩!もうお腹空きましたって!先輩がウサ耳好きなのはみんな知ってますから早く行きましょ!」

「なんで知ってるの!?」

「先輩のお友達が話してましたよ。樫村先輩でしたっけ。いろいろ話してましたよ。」

「あの野郎!」

 樫村。次会った時がお前の最後だ。

「先輩、早くラーメン行きましょう。赤星のいう人気のラーメン屋に。」

 椎名までもが早くラーメン食べたいらしい。もう時間はお昼過ぎ。そりゃお腹空くか。

「わかったわかった。じゃあひより桃花、後でな。凪沙先輩もお疲れ様でした」

そう言って、俺は二人を連れてラーメン屋へ行くのであった。


「赤星今日行くラーメン屋ってこっちなのか?歩いて行ける距離なの?」

「歩いていけますよ。いやー楽しみですね。話題のラーメン屋ですからね」

 さっきから話題のって単語を口にする赤星。なんか引っかかるな。それに、

「この道。ネリネとミルがバイトしてるラーメン屋につくな」

「ネリネ?ミル?」

 きょとんとする椎名。そうそうそれそれと言わんばかりに頷く赤星。あれ、椎名は知らないか。

「ネリネとミルは俺の家にホームステイしてる外国の子だよ。一度学校の坂下まで来て大騒ぎになったんだけど」

「ああ!知ってますよ!名前までは知らなかったです。あと下宿してるということも」

「別に隠してないよ!?それで。なんでネリネ達がバイトしてるところが話題になってるんだ?」

 仲間が関わっているのである。気にしないわけにはいくまい。

「口コミがメインであの店にはとんでもない美人店員がいる二人もいるって話題になってるんすよ!俺も会った事はないのでお近づきになりたいっす!」

「味じゃなくて店員目当てなのね……。でもそんなに綺麗なら会ってみたいわね」

「椎名まで!?」

 このままネリネ達に会わせていいのだろうか?まぁ、ネリネ達ならコミュニュケーション能力あるし大丈夫か。接客業をしてるし、問題ないか。


 ラーメン屋に着き店に入る。二人が働く前から月一回くらいのペースで来ていた所だ。最近は桃花とミルが晩御飯を作ってくれるから来る事はなかったから久しぶりだ。美味しいラーメンだから普通に楽しみだ。

「いらっしゃいませー!」

 と声がする。聞き慣れた透き通るような声だ。

「ってミナトじゃない!どうしたの急に来て」

 驚いた顔をするのはラーメン屋の制服とエプロン姿のネリネだった。すごく似合っている。

「後輩と一緒にご飯食べようってなってね。赤星……あ、コイツね。がここで食べたいっていうから来たんだよ。こっちは椎名ね。それでこっちがネリネで…ってどうした!?」

 椎名と赤星が二人とも顔を赤くしてネリネを見ている。赤星はともかく椎名までもが緊張してる!?

「あはは、可愛い反応ね。じゃあ席まで案内するわね。どうぞこちらへ」

 様になった仕草でテーブル席へと案内するネリネ。ちょっと心配だったが、問題なくやれているようだ。

「ご注文お決まりになりましたらお呼びください。ミルにも伝えとくわね、ミナトが来たって」

 笑顔と共に厨房へ去っていく。すると、

「片桐先輩……ネリネさんめっちゃくちゃ美人じゃないですか!これは口コミで広まるわけだ。」

「芸能人よりも綺麗じゃないですか!なのに片桐先輩の家に住んでる……。え?付き合ってます?」

「付き合ってません。さぁ、何食べよーかなぁ!」

 細かな追求は面倒なのでさっさと注文を決めてしまおう。

「俺はメニュー決まった。お前らも決まった?」

「私も決まりました。赤星は?」

「俺も決まった!じゃあ店員さんよびまっす!すいませーん!」

 赤星の馬鹿でかい声が店内に響き渡る。はーいと聞き慣れた声で返事しやって来たのは、こちらも我が家の下宿人。ミルである。ネリネと同じくラーメン屋の制服を身に包んでおり、それが似合っている。

「ミナト君いらっしゃいませ!今日は珍しいですね。ウチのラーメン屋に来るなんて。」

「たまたまだよたまたま。」

「そうですかぁ?まぁいいです。それでこちらが赤星君に椎名ちゃんですね。ネリネちゃんから聞いてます。私はミルトニアです!どうぞミルと呼んでください。これからミナト君だけじゃなく私とも仲良くしてくださいね」

「「はい!」」

 ミルに対しても緊張しているのか照れているのかカチカチの二人であった。

「あはは、では注文をどうぞ!」

「俺はネギ味噌チャーシュー」

「私は中華ラーメンにします」

「俺はスタミナラーメンにしまっす!」

「はい、かしこまりました!出来上がりまでお待ちください!」

 スタスタと厨房の方へ帰っていった。

「片桐先輩!ミルさんもメチャクチャ可愛いじゃないっすか!ネリネさんにミルさん!二人もいるなんてこの店は最強ですね!」

「ミルさん…可愛い。女の私ですら好きになっちゃいそうな容姿…。なのに片桐先輩と一緒に住んでる。え?付き合ってます?」

「付き合ってません!」

と視線を厨房の方にやると、ネリネとミルが二人してこちらを見ていた。二人とも手を振ってくる。それに伴い同じ席の後輩二人のテンションが上がった。だが、それは二人だけではなかった。周りのテーブルに座っている人たちもネリネ達に手を振っている。え、何これ怖い。

「どうやらネリネさんとミルさんはこのお店のアイドルみたいですね。一緒に住んでるなんてバレたら片桐先輩どうなっちゃうんでしょうね?」

「怖い事言うなよ、椎名!?そっと食べてそっと帰ろ」

 ネリネ達にも会えた事だしこっそり帰ろ。

 しばらく待っていると、

「お待たせいたしました。ネギみそチャーシューはミナトね。スタミナラーメンは赤星だったわね」

「最後の中華ラーメンは椎名ちゃんですね!どうぞ召し上がってください!」

 ラーメンが到着し、いい匂いが漂う。見ているだけで食欲をそそる。さぁ、食べよう。

「「「いただきます」」」

 箸で麺を掴み、そのまま口へ麺を放る。ズルズルと麺を啜り噛んで飲み込む。ただそれだけの行為なのに、とても幸福感に包まれる。うまい。久しぶりにここのラーメン食べたけど美味いな。赤星と椎名も夢中になってラーメンを食べている。やはりラーメンは最高だ!すると厨房へ戻ったネリネが戻って来た。

「これ、私とミルからよ。召し上がって」

 ネリネにしては珍しくハートマークでも出るんじゃないかというセリフと共に餃子がでてきてびっくりする。え、こんなことしてくれるの!?

「ありがとう、ネリネ!ありがたくいただくよ」

赤星達もこくこくと頷いている。この餃子はありがたい。だが、辺りからこんな声が聞こえてくる。

「アイツら……いや、あの男だ。俺たちのネリネちゃんとどう言う仲だ?」

「俺のミルちゃんとも仲良くしてるぞ!アイツ許せねぇ!」

 と、俺たち…いや俺だな。に対して強い敵対心をお持ちの方がいらっしゃるようだ。嫌だなぁ怖いなぁ。

「片桐先輩、大変っすね。あの二人と仲がいいってそれだけでむかつきますしね。なぁ?椎名」

「そうね。アイドルと仲良くしてる男ってそれだけでギルティです」

「ははは、覚えておくよ」


 ラーメンを食べ終えお会計になる。レジを打ってるのはミルだ。

「今日は俺が払うよ。先輩だしな」

「おー、ミナト君!いい先輩ですね!カッコいいです!」

「「「チッ!!」」」

あたりの男性客達が一斉に舌打ちをする。えっ、こんなことある!?もう早くレジ終わらせてくれ!レジが終わり帰り際ミルが言った。

「あ、ミナト君。今日は用事があるので少し帰り遅くなります。でも夕飯までには帰ります!桃花ちゃんにもよろしく伝えてください!」

「「「なにー!!!一緒に住んでるだと!?!?」」」

「よーし、赤星椎名行くぞ!」

 俺たちはすたこらさっさと帰るのであった。

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