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121話 夏休み中の部活

「あめんぼあかいなあいうえお!」

 部活が始まりその準備運動。発声練習だ。滑舌を良くするためや声量を大きくするためにやっている。裏方の俺も行っている。やって損はないしもしかしたら代役やるかもしれないしな。強豪校に比べるとそんなに人が多いわけじゃないし。

「うきもにこえびもおよいでる!」

 夏休みも真面目に参加している。凪沙先輩をはじめ、ひよりや桃花も参加している。凪沙先輩は今年受験ではあるが、秋の大会までいてくれるそうだ。成績優秀で志望校も推薦が狙えそうらしい。成績がいいって羨ましい。こればっかりは異世界で魔力が使えるようになってもダメだもんな。

「わいわいわっしょいわいうえを。うえきやいどがえおまつりだ!」

 発声練習が終わり、次は筋トレだ。声を出す部活だから筋肉はあったほうがいい。俺を含め男子部員は筋トレに熱を上げる。それを女子部員は白けた目で見る。それがウチの話筋トレの時間だ。

「さぁ、筋トレも終わったし、役者と大道具に分かれましょう。役者は台本を持って読み合わせ。大道具は湊君を中心に劇に使う大道具の作成をお願いします!」

 凪沙先輩が指示を出す。大道具係は俺を含めても三人だ。

「さぁて階段だ。階段を作るぞ!意外と大変な階段を作るぞ!」

 そう。意外と難易度の高い階段を作る。人が一人乗っても壊れない、かつ持ち運びができるものが必要だ。ウチの話あった代々引き継がれて来た階段があったのだが、壊れてしまった。

「片桐先輩、階段より引き戸を作りたいですよ〜。階段ってちょっと地味っす」

 と反論してくるのが、一年の赤星蓮だ。俺が言うことに反論したい年頃らしく、否定的な意見をよく言う。見た目は筋肉質でがっしりしている。正直運動部の方が似合ってそう。

「地味って言うな赤星!すみません、片桐先輩!赤星ったら失礼なこと言っちゃって。」

 と赤星を非難するのはもう一人の大道具、一年の椎名乃亜だ。赤星とは対照的に俺を含め先輩部員に対しては礼儀を持って接している。その代わり赤星などには当たりは強い。今時の女の子らしく髪は校則違反にならない程度に染め、爪も何か塗っている。けばけばしないくらいの化粧で可愛らしい。

「階段いいじゃない。私は早く自分で作った階段登りたいわよ。四段もあるのよ!できたらさぞ立派でしょう!というわけで作りましょう!階段!」

「と言っても階段作り終わったら引き戸も作るんだしさぁ。先に引き戸みたいに素晴らしいもん作った方がいいと思うんだよ。考えてみ?ドアが開くんだぜ?」

「何言ってるの?引き戸なんだから開くに決まってるでしょ?」

「あのガラガラガラッて開くのがいいんじゃねぇか!と言うわけで引き戸に決定!さぁ、片桐先輩!階段は後にして引き戸を……」

「だーかーらー!階段って言ってるでしょー!」

 そう、この二人馬が合うのか合わないのかしょっちゅう言い争いをしている。それをよく仲裁させられている。先輩の勤めとはいえ大変だ。

「ほら、二人とも喧嘩しない!赤星、階段を作り始めてるんだから終わるまでは階段だよ。それが終わったら引き戸を作ろう。椎名もそれでいいね」

「「はーい」」

 二人とも納得してくれたようだ。ようやく作業に入れる……。

 

「今日のところはこんなもんだな。続きは又明日で」

 ウチの部は夏休み中は午前で終わるか16時で終わるかだ。顧問の先生が学校に居られるかで変わってくる。今日は午前で終わる日だ。

「たっはー!意外と疲れるもんっすねー!板を切ったり木片を切ったりするのって!」

「そうよねぇ。釘を打つのも大変ね。何十本も打ってると汗かいちゃう」

 作業場は屋上に繋がる踊り場。ちょうどいい広さだからな。ただ難点があり夏は暑くて冬は寒い。特に冬がやばい。まぁ、今の俺はある程度魔力で体温調節できるから問題ないけど。

「片桐先輩〜。腹減ったんで飯でも行きません?」

 と提案してくる赤星。赤星とはちょくちょく食べに行っている。

「ああ、いいよ。どこで食べるか」

「ラーメンにしましょ。最近人気になってるラーメン屋があるんすよ!」

「ラーメンか。いいね!ガッツリ食べたい気分だからちょうどいい!」

 ラーメン屋というと最近ラーメン屋に働き始めた二人がいるが、まさかだよな。

「いいですね、ラーメン。先輩!私も行ってもいいですか?」

「いいよ、一緒に行こう。いいよな赤星?」

「えー、椎名と一緒かぁー。まぁー別にいいけど」

「嫌ならいいわよ、嫌なら。その時は片桐先輩と二人で行くから」

「面白い話をしてるね、乃亜?」

「「「!!??」」」

 突然の声に三人が背中がぴょんと跳ねる。

「桃花〜、急に声かけないでよ、びっくりするじゃない!」

「ごめんね、乃亜。でも乃亜が興味深い話をしているのがいけないんじゃないかな?かな?」

「興味深いって何よ。別に二人で行ったりしないわよ、冗談よ冗談。勝てない勝負はしない主義よ。私は」

「意外と競争率高いっすよね、先輩は」

「ん?なんの話だ?」

「いえいえなんでもありません!ところで柚木はどうしてここに来たんだ?」

 そうそう。まさか驚かそうと思って来たわけではあるまい。

「時間になっても大道具班が戻ってこないから呼びに来ただけ。」

「もうそんな時間か?……ほんとだ過ぎてる。思いの外熱中していたみたいだな」

「集中したおかげで作業はかなり進みましたよ」

「それもそうだな。これなら引き戸作成もすぐかもな」

「よっしぁー!!」

「もう!いいから戻りますよ!」

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