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120話 ミルの内側

 私はバイクに跨り一定のスピードで走っていた。乗り慣れていないその乗り物は私の足となり進んでいく。風がヘルメットの隙間から流れ込む。走ること以外、今は何も考えなくていい。ただ、道が続く限り進んでいく。それが今の私にとってかけがえのない事だった。


 なんて、詩的表現使ってみたけど、私には合わないわね。私は今咲良の家の庭でバイクに乗っている。GS400改。ファイアパターンが中々かっこいい。先日浴衣を選びにみんなで来た時に車庫でずらっと並ぶバイク達を見つけた。その中でも最近見たアニメにも出ていたGS400改が目に止まり、乗らせてもらっている。乗り方を教えてもらい庭を走っている。このままバイクで家に帰りたいが、免許証というモノがないと走ってはいけないらしい。それを取得するべく毎日勉強をしている。車とは違う速く走る乗り物。自国にはなかったもの。この愛車を使って旅に出たいわね。そのまましばらく走っているとコースの脇に見知った顔が立っていた。私の仲間のミルだ。私はミルの前にバイクを停める。

「ミル。咲良の家でどうしたの?何か用事?」

「やりたいことがあるので、暇を見つけてはここへ来てるんですよね。そう言うネリネちゃんこそ、バイクですか〜。しかもそのバイク……ネリネちゃん、江口君のこと好きって言ってましたもんね〜。ファイアパターンがかっこいいです!」

「そ、そうよ!悪いかしら?このバイクがいいって見た時に感じたの」

「悪くないですよ!むしろ似合ってます」

 と、言われて悪い気はしない。少し照れてしまう。

「ミルはここでなにをしていたの?」

 と。ここで話を変える。

「この間の戦いで、私は力不足を痛感しました。咲良ちゃんの家はこっちの国でもちょっと特殊みたいですから、取り込めるものがないか尋ねて来てるんです」

「力不足だなんてそんな……。敵は倒せたんだから、それはミルの勝利よ」

「いえ、ひよりちゃんやオオツカさんの助けがあってこそでした。あいつは私が一人で相手しないといけなったんです。実力的にも私の方が上回っていたはずですのに、死にかけました。格下に負けてたらいけないんです」

 ミルの瞳には何か別の何かを見ている。ミルらしくない仄暗さに言葉を失う。

「まぁ、と言うわけで暇な時は里見邸を見物したり、家の人と話してみたりしてるわけです。」

 仄暗さは消えてニッコリ話すミル。見間違いだったのかしら。

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