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11話 王都

到着した王都ラーガはとても大きな街だった。大きいと思っていたラークー街を遥かに超えるデカさだった。街全体を壁で覆っているのは変わらないが、その外側に堀があった。外敵からの侵入をより拒む作りになっていた。中の様子も人や物でごちゃごちゃしていた。恐らく商店があちこちにあるのだろう。店先に物が沢山展示してある。街の中でも一番目を惹くのは、街の奥にそびえ立つ大きな城。城があるだけで一気に中世ヨーロッパっぽくなるから不思議だ。城、行ってみたい!

「さて、ついたわね。今日は宿屋で休みましょう。宿屋はどこだったかしらね〜。」

「王都に来るのは久しぶりですけど相変わらず人が多いですねー。人に酔っちゃいそうです。」

「俺もここまでの人は初めてかもしれない。俺の住んでた街こんなに人いないだろうし。ってスーリア?大丈夫か?」

「うっぷ…。その人酔いになったらしい…。こんなことなら剣の中にいるんだった…。」

「そう言ったのに、生身で歩きたいって言ったのはお前だろう。ここじゃ剣の中に入れないんだから頑張って。ほら、おぶってやるから!」

 見た目死にかけのスーリアをおんぶし、宿屋を目指して歩く。人で溢れていて前に進むのも一苦労だ。毎日がお祭りみたいな街なんだろうか。それだけ人が多いということだろうけども。そう考えると俺の住んでた街は田舎だったなぁ。自転車で通学してても誰ともすれ違わないことも多かったし。

「お兄さん、ちょっと見とってくれよ!試飲だけでもいいからさ〜!」

 そんな声を掛けられる。商店があるからそこから声を掛けられたようだ。優しそうなおばさんだった。

「オボの実のジュースだよ!王都に来たばかりで疲れてるだろう。おぶってる妹さんにも飲ませてやりなよ!」

 おばさんはにこやかに手に持ったコップをこっちに差し出してくる。王都の人って優しいんだなぁ〜!俺がそのコップを受け取ろうとすると、

「ごめんなさい。私たち急いでいるから。ミナト行くわよ。」

「ミナト君行きますよ。おいてっちゃいますよ!」

 と、ネリネたちに遮られてしまった。ネリネが人の好意を無碍にするなんて珍しい。おばさんたちから離れたところで、ネリネがこっちを向く。

「ミナトに伝えておくべきだったわ。私たち王都の西口から入ってきたんだけど、ちょっと治安が悪いの。」

「へっ?」

 ネリネの言ってることがわからず変な声が出た。

「さっき渡されそうになったのはオボの実じゃなくて似ているオバの実のジュースよ。オボの実より高価でおいしいの。」

「高価ならなおさら貰っておいてよかったんじゃないか?」

「いえ、ミナト君。オボの実と違って依存性があるんですよ。最初安く提供してまた飲みたいってなった時に高額で売りつけるって手法なんですよ。特に王都に来たばかりのおのぼりさんがねらわれるんですよね。」

「え、なにそれ怖っ!じゃあ飲んでたら依存症になってたかもしれないの!?」

「そうなる可能性は十分あり得るわ。飲んでも健康には影響ないけどオバの実のことばかり考えるようになるからちょっとお馬鹿さんになっちゃうのよね。」

「なっちゃうのよねってそっちも十分怖いから!ありがとう助けてくれて!」

「どう致しまして。だから宿屋までは何も手をつけないでね?」

ネリネの忠告に俺はコクコク頷くのであった。


 しばらく歩くと目的地である宿屋についた。これで一息つける。

「大きい部屋が一部屋取れたわ。そこで一旦休みましょう。」

 と、部屋に移動する。夜寝る時も一緒なんだろうか?それだったらドキドキするなぁ。ひよりだったらドキドキしないで済むのになぁ。

「さてと、ゆっくり腰を落ち着けることができるわね。ひとまずはお疲れ様。」

「そうだな。街から街の移動だけだったのにやけに疲れた気がするよ。やっぱり旅って大変なんだな。」

「いやー、今回はウッドベアに盗賊たちとイベント盛りだくさんでしたから。普通より大変でしたよ。」

「そうだそうだ。そしてこの我、マスデバリア様との出会いという奇跡体験を経験しているんだからね。結構な幸運を使ったんじゃないかな…うっぷ…。」

「気持ち悪いなら会話に参加せずに横になってな、スーリア。やはり王都だけあって人が多いな。これなら情報も集められそうだ。」

「そうですね。なんといってもこの国で一番大きな街ですからね!ここでわからなかったらどこでわかるんだって話ですよ!」

「そうね。機密扱いとかにされてないといいけど…。明日になったらギルドに行ってみましょう。そこの魔法使いたちに転移魔法と例の鏡について聞いてみましょ。」

「王都で少しでも手がかりが見つかるといいんだけどな。ここでだめだったら、他ないだろ?」

「他となると、魔法学院の中にある魔法図書館とかがそれですけど、許可がないと入れませんし…!後はそれこそ、他の国になりますね。他国に渡るのは何かと厳しいですが、それも一つの手段になります。」

「他国は最後の方の手段ね。移動距離も長くなるから大変よ。」

 他の国との交流もあるようだ。この国を探しきったらそっちの方へ行くのもありなのかもしれない。


 次の日。俺たちは王都のギルドにまで足を運んでいた。比べる対象がラークー街しかないが、そこと比べても王都のギルドはとても大きい建物だった。明らかに他の建物とは造りが違う。その中もすごかった。酒場と併設されているようで、入って左側はテーブルや椅子が所狭しに置いてあった。右側にはクエスト受注のカウンターがあった。中でも目を惹くのはクエストが張り出されている掲示板だ。ラークー街のそれよりも3倍ほど大きい。その前にいる冒険者も数が多い。その中でネリネがカウンターへ向かった。

「すみません。今、転移魔法についてしらべてるんですけど、詳しい魔法使いの方っていますか?」

「転移魔法ですね。専門かどうかはわかりませんけど、酒場の入り口で飲んでいるレウイシアさんが高位の魔法使いですよ。レウイシアさんなら何か知ってるかもしれません。」

「ありがとうございます。聞いてみます。」

 と、ネリネが鮮やかに情報をゲットしていた。早速当たりの人だと嬉しいな。

「というわけだから、聞きにいきましょ。飲んでるってことは今日は暇してるかもだし。」

 ということで、レウイシアさんに話を聞きに行く。酒場で1人飲んでいたのは黒いローブに黒い服、黒い帽子を被った、いかにも魔法使いって感じの女性だ。歳は俺たちよりも少し上そうで、胸の大きい美人である。思春期男子の妄想のような存在のレウイシアさんだったが、そんなもの目でないくらい目を惹くものがあった。それは机の上のグラスだ。グラスの数が尋常じゃない。昨日から飲んでいないと釣り合わないグラスの数に圧倒された。この人が高位の魔法使いってことでいいんだよな?

「レウイシアさん、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

 俺は恐る恐る声をかける。

「私になんのようだい?あ、わかった。この私が滑稽で笑いに来たんでしょ?彼氏に捨てられて惨めな私を笑いに来たんでしょ!わかってるんだから!笑えばいいわ!笑えばいいでしょ!ああーん!」

 突然泣き出してしまった!?とりつく島もないとはこのことか。見た目美人なのになんか残念な人なのかも。仲間たちを振り返ってみると誰もがそっぽを向いていた。そうかいそうかい、俺1人で聞けってことだな。ちなみにスーリアは今日は剣の中に入っている。

「笑いに来たんじゃありませんよ、レウイシアさん。聞きたいことがあって来たんだす。お話聞いてもいいですか?」

「何が聞きたいっていうのさ。別れる前に付き合って3ヶ月記念をすっぽかされた時の話?それとも誕生日プレゼントを誕生日じゃない日にプレゼントされた話かい?ああーん!」

 だめだこりゃ。ここまで出来上がっていると、今日は何を聞いてもダメなような気がする。ということで、レウイシアさんからは後日話を聞くようにしよう。

「レウイシアさん、今日は帰りますから。また明日お話を聞かせてください。よろしくお願いします。」

「うふふ…そうよね…。私は1人が似合う女…。1人…また1人と私の元を去っていく…。」

 とりあえずこれで大丈夫だろう。また明日レウイシアさんとは話をしよう。


 レウイシアさんと会話できなかったのは痛かったが、その間何もしないというのも勿体ない。俺たちは他の冒険者たちからも話を聞くことにした。しかし…、

「うーん、やっぱり皆さん知らないみたいですね。珍しい魔法ですからしょうがないんですけど…。」

「そうね。王都の冒険者たちならもしかしたらと思っていたんだけどね。そう簡単にはいかないみたいね。」

 いろんな冒険者たちに話を聞いたが、答えはみんな知らないとのことだった。そもそも転移魔法自体が珍しいものだからか、めぼしい返答は返ってこなかった。

「王都でもブロンズの人が多いんだな。エリートたちの集まりで、プラチナやゴールドの人ばかりかと。」

「ブロンズが一番多いですからね、どこでも。プラチナやゴールドの冒険者はクエストでいないことの方が多いですから。それに王都でもゴールドやプラチナの人は多くありません。それほどすごい人達ですからね。その方々から話を聞ければいいんですけどね。」

 そういえば、レウイシアさんってランクはどれなんだろう。高位って言ってたからもしかして、ゴールドだったりするんだろうか?いや、あの様子からじゃ想像できないな…。

「後は魔法学院の生徒達かしらね。」

「魔法学院?」

 初めて聞く名称だ。文字通りなら魔法を学ぶ学校だろうけど。

「魔法を学べる学院ですよ。王都とか主要都市にはあるんですよ。確かに魔法学院の生徒達から話が聞ければいいですけど、貴族達ですからね。私たち平民とは話してくれないでしょうし。」

 漫画とかで見る貴族みたいに気難しい性格のようだ。

「うーん、今日はめぼしい情報を手に入れられなさそうね。じゃあ、別のことをしましょう。ミナト!特訓よ!」

「へっ?」

 急に呼ばれて変な声がでてしまった。次回特訓パート、スタートです。


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