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106話 柚木桃花⑤

 手負いのミルをオオツカさんに任せて、敵の本拠地である屋敷の中へ入る。近くで火災が発生しているようで、火が上がっている。多分あそこにミナトがいて戦っている!

「凄い火ね。ここまで熱さが伝わってくるみたい……。急ぎましょう。ミナトと桃花が危ないわ!」

「はい、行きましょうネリネさん。」

 私たちは火災現場へ急ぐ。幸いにも途中、敵に出くわすこともなく目的地に辿り着くことができた。

「なによ、これ……。もう建物なんてないじゃない……!」

 たどり着いた場所は元々がなんだったのかわからないくらい崩れており火が燃え上がっていた。もしこの中にミナト達がいるとしたら……。最悪な想像にぶるっと身が震える。いや、ミナト達なら大丈夫だ。きっと大丈夫。

「あ、あそこ見て、ネリネさん!」

 ひよりが声を上げ、指差した方を見る。そこには火事の建物の横に佇むスーリアの姿があった。

「スーリア!」

 スーリアの元へ駆け寄る。スーリアは火事の近くにいるというにいつも通りの綺麗さで汚れているところもなかった。

「やっと来たかい。まちくたびれたよ。」

 口調もいつも通りのスーリアだった。

「無事みたいで安心したわ。でもあなたがその姿で敵陣にいるのは珍しいわね。ミナトはどこ?まさかこの中に!?」

 最悪のケースが頭をよぎる。ミナトなら自分を犠牲にスーリアを残して一人で行きかねない。

「湊はあの中にはいないよ。もっと厄介なところさ。私でも干渉しきれない空間を作るなんて、先祖帰りだかなんだかしらないが大したものだよ。」

「?どういうことかしら?」

「ほら、よく目をこらしてごらん。暗闇の空間としか言い表せないものが目の前にあるから。」

 言われた通り目を凝らしてみると、前に黒いような紫のような球体があった。夜の暗さで全くわからなかった。

「私にも見えたわここにミナトがいるの?」

「そうだよ。まったく厄介極まりないよ。」

「そう。こちらからは干渉できないの?」

「さっき話だけはできたんだけど、今は全くだね。」

「ミナトを閉じ込めるなんて……敵ながらやるわね。」

「敵ね……。まぁ、今は敵みたいなものか。湊と戦ってるわけだし。」

 ?妙な言い方だ。まるで今まで味方だったみたいな。

「ひっかかる言い方ですね。どういうことですか?」

 咲良も同じ考えみたいだ。

「言葉の通りさ。柚木桃花が今湊の敵になってるんだ。まぁ湊にはそんなつもりないだろうけどね。」

「どういうことなの!?」

 ひよりが大声をあげる。

「桃花がなんでみな兄と戦ってるの!?だって助けに来たんだよ?なのにどうして!?」

「どうも実験装置から外れた際に柚木桃花の思考が変わったみたいでね。いや、いままで眠ってた思考が表に出たって言った方がいいかもしれない。湊を独り占めしたいっていう欲求を抑えられてない感じだった。湊を気絶させて自分の思い通りにしようとしてるんだ。」

「そんなことって……。」

 その場で項垂れるひより。無理もない、桃花の親友だもの、ショックでしょう。

「こちらからはどうしようもできないの?二人を助ける方法はないの?」

「今はこちらからは全く手が出せない状態だからね。この黒い空間を攻撃してもすり抜けるだろう。後は湊がなんとかしてくれるのを待つしかないね。」

 目の前にいながらなんともできないなんてすごく歯痒い。ミナト、桃花、無事でいて。


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