101話 陰陽師の野望
追手の坊やを赤鬼に任せて、私は敷地内の奥にある倉庫にきた。そこには球体に水のようなものが詰まった物と機械が並べられていた。球体の方は2メートル大で、人が一人入ることができるだろう。機械の方は私が今まで研究してきたことがインプットされている。これで私の念願が叶う。
「さぁて、柚木桃花さん。私の願いのために礎となってね。」
球体の中に柚木桃花を入れる。水の中に入れられてコポッと気泡が口から出る。だが、この水は特殊な水で中に入っていても窒息しない。溺れないようになっている。その後機械の方へ移動し、最終調整に入る。私の力をふんだんに使った式神、赤鬼がやられるとは思わないが万が一がある。早々に仕上げてしまおう。やることはいたって簡単。柚木桃花を私の式神に変える。式神に変えるというと術式を唱えてやる方法が一般的だろうが、私は違う。機械を使った方がより精密にできる。赤鬼がいい例だ。それと同じようにすればいい。式神にさえしてしまえば、私に逆らう事はない。
「くっくっくっ。もう少しで完成する…。」
つい笑みをこぼしてしまう。ニヤニヤが止まらないとはこのことだ。子供がプレゼントを買ってもらう時のような気持ちだ。作業していたが突然、
バチバチバチッッ!!
と音が鳴った。なんの音だ?と音が鳴った方を見る。すると柚木桃花がいるところにバチバチと電気が走っている。そして柚木桃花が入っている球体に繋がっている私の機械たちにも電気が走っている。まさか、暴走!?柚木桃花のポテンシャルは私の能力を凌駕していたのか!?私はすぐにシステムを落とそうとしたが、すでに手遅れだった。私の機械達は火花をあげて燃え始めた。そして私のいた場所はシステムの中心部。一番負荷がかかっていた場所だ。そこが燃え始め、爆発した。私は爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。意識を失う前に最後に見たのは球体が割れ、中の液体が溢れその場に倒れ込む柚木桃花の姿だった。
赤鬼を倒した俺は山背が去った方向へ走り出す。広いとは庭だ。すぐ見つけられるはず。走り出してすぐのこと。ちょっと先から爆発音が聞こえてきた。
「まさか、この爆発に巻き込まれてないよな!?桃花!!」
俺は足にありったけの魔力を込めて走り出した。そしてすぐのこと、その場所は現れた。そこには大きな倉庫があり、その倉庫は燃えていた。倉庫の入り口の辺りで誰かが倒れている。倒れていたのは先ほど式神を放った山背だった。
「おい!桃花をどこにやった!まさかこの中じゃないよな!?おい!」
俺は山背の肩を揺らしながら聞くが返事がない。どうやら気絶しているようだ。辺りに他に人影もないし、桃花は中にいるようだ。
「マジかよ、洒落にならないぞっ!?」
俺は青ざめながら倉庫を見る。中が燃えていて崩れるかもしれない。
「迷うのはなしだ!桃花!」
俺は燃える倉庫の中へと入る。中は火の手があちこちに回っており全体が燃えていた。俺は火の精霊剣、マスデバリアの契約者だ。火で死ぬことはないだろうが、落ちてくる天井とかが危ない。だが、桃花は火も危ない。ゆっくりしてる暇はない。
「桃花!返事をしてくれ!桃花!」
叫びながら辺りを探す。煙が濃くて周りが見えない。魔法で煙を飛ばしたいがその拍子に倉庫が崩れてしまうかもしれない。そう考えると容易に事を起こせない。早足で倉庫をくまなく探す。そして奥の方につき、
「桃花!」
桃花を発見した!桃花の周りだけびちょ濡れで火が届いていなかった。元はなんだったのかわからないがガラス片の中心に桃花はいた。桃花自身を軽く見るが、ガラスで傷とかもできていないようだ。よし、このまま桃花を抱き抱えて入り口へ戻ろう。帰り道は一直線。天井よ、落ちてこないでくれ。行きは探しながらだから時間がかかったが、帰りはさほど時間はかからなかった。倉庫からは無事脱出できた。倉庫を少し離れたところで、
「んんっ。」
腕の中から声が聞こえたのでそこで止まった。
「桃花!大丈夫か?」
俺は桃花に声をかける。
「……先輩……。」
桃花が返事をした!良かった、ぶじだっ
「……やっと二人きりですね、先輩……。」
俺の視界は真っ黒い闇に包み込まれた。




