100話 赤鬼
「悪いけどさっさと終わらせてもらうぞ!炎刃!」
俺の十八番。出すスピードも火力も申し分ない。これならダメージを与えられるだろう。
赤鬼が俺の剣に合わせて棍棒を振るう。なら、その棍棒ごと叩っ斬ってやる!棍棒と剣が重なり合う。
「なにっ!?」
俺の剣は棍棒により止められた。その棍棒には傷一つついていないように見える。炎刃では駄目なのか!?
「ぶらぁぉぁぁぁぁぁぁぁ!!」
赤鬼が棍棒を振り回す。振り回す?いやこれはそんなレベルじゃない。剣を振るっているのと同じ正確さと速さだ。棍棒ってよく知らないけどもっと鈍重な武器だと思ってたよ!俺も棍棒に負けじと剣を振るう。一撃一撃が早くて重い。こんなん付き合ってたら腕が使えなくなる。こうなれば、
「以下省略!フレアドライブ!」
詠唱を省略し大きな炎を具現化させ、相手に喰らわせる。斬り合いだけが戦いじゃない!しかし
「ぶらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おいおいまじかよっ!?」
後ろへステップして棍棒の一撃を避ける。なんと赤鬼は俺の魔法を咆哮だけで消し飛ばした。
「なんつー、力技だよ!?生半可な攻撃は駄目ってことね。」
早く桃花を助けに行かなきゃいけないけど、焦っては駄目だ。焦って勝てるほど、優しい相手じゃない。
「湊、言いずらいけどあの赤鬼っていう式神。湊よりも魔力量が上だよ。いつもより知恵を絞らないと勝てない相手だよ。」
そうスーリアがアドバイスをくれた。いや、ちょっと絶望。でもしっかりしなくては。よく見極めなくては。創作物では怪物にはわかりやすい弱点がある。その弱点を見つけ出せれば勝機はある。てかそれくらいしか思いつかん。すぐに思いつくのは頭の角。目玉。心臓。式神だから心臓があるかはわからないけど、この三つが候補だ。とはいえ弱点ぽいところをつけるかは俺次第だ。
カッ!キン!
俺の剣と赤鬼の棍棒がぶつかり合う。速さは俺の方が少し早い。魔力で筋力を底上げしてるけど力は相手の方が少し強い。剣が精霊剣のマスデバリアでなければとっくに折れていただろう。一撃でも貰ったら体が抉れてしまう。早く倒さないと桃花が……!
「ええい!まずはここだぁっ!」
俺は弱点を狙うべくまずは眼を狙うことにした。眼なら倒せなくても視界を奪うことができるはずだ。
「迅刃牙!」
鋭い突きが赤鬼を襲う。棍棒でも防ぎきれない速度。貰った!
「って、なに!?」
赤鬼は体を逸らして俺の攻撃をかわした。明らかにバーサーカータイプなのになんて器用な動き……!
「ぶらあああああああああああ!!」
と、驚いてばかりもいられない。俺も体勢を立て直さないと。正面を向き直した瞬間、
「ぶらああああああああ」
「ぐ、うあああああ!」
赤鬼の棍棒の渾身の一振りを喰らってしまった。正確には剣で受けたのだが力の踏ん張りが足りなかった。俺は後方へ吹き飛ばされてしまった。地面の上を転がる俺。まずいまずいまずい。このままでは追撃を喰らう……!左手で地面を叩きその場でバク転し体勢を整える。前を見るとやはり赤鬼は迫ってきている。威力は弱まるがやるしかない!
「詠唱省略!ヘルフレイム!」
目の前の赤鬼に対しヘルフレイムを放つ。ヘルフレイムが赤鬼の頭上から落下する。
「ぶらあああああああああ!!」
その場から赤鬼は動かない。効いているのか?それなら!
「全てを飲み込む破壊の権化。具現せざるは炎の魔人。人の罪を裁いて滅さん!」
新しく魔法の準備にかかる。今度は詠唱付き威力はヘルフレイムよりも上の上位魔法!これならやれるはず!
「フレイムトルネード!」
下から上へ炎が混じった竜巻が荒れ狂う。これはミルがヘリコプターを落とした時に使った魔法。あの後こっそり教わっていたのだ。ミル曰く、俺はみんなに比べて炎の魔法だけは飛び抜けて才能があるらしい。だから上位魔法も異例の速さで覚えることができたらしい。多分スーリアが炎属性の剣だからだろうな。
荒れ狂う竜巻に巻き込まれて赤鬼はその大きな体を浮かせグルグルと飛んでいく。これでダメージは与えられた。後はトドメだ!
「これで終いだ!紅刃翔!」
落ちてくる赤鬼に向かって剣を紅く熱くさせ斬り伏せようと飛び上がる。すると、
「ぶらああああああああああ!!」
赤鬼の頭の角からバチバチッと音がした。そして、俺の方は電撃が落ちてきた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぉ!!??」
「湊!!??」
電撃を直接喰らった俺はそのまま落下した。飛び上がったばかりだったのが幸いしそんなに落下のダメージはなかった。しかし電撃のダメージはある。電撃なんて日常生活で喰らうことなんてないからな。
「ぶらぁぁぁ……。」
見ると赤鬼もダメージを負っていたようでうまく着地できていないでいた。着地されてたら危なかったな。気合いでなんとか立ち上がる。
「湊大丈夫かい?湊も大ダメージだけど、赤鬼もダメージは大きい。しかも今ので角に魔力が集まったのを見た。角が弱点だよ、湊。角を狙うんだ。」
魔力が集まる中心点か。狙う場所はわかった。だが奴も弱点はわかっているはず。どう狙うかだが……。考えているうちに赤鬼も立ち上がった。先ほどの雷の力から見るにまだ体力は余っているようだ。
「ぶらああああああああああ!!」
赤鬼はこちらへ高速で走ってきた。それに合わせて俺も走り出す。赤鬼の頭の角から雷が放たれこちらへ飛んでくる。
「はぁ!炎刃!!」
炎で雷が相殺できるかは知らん。けれど、同じ魔力でできたものだ。できてもおかしくない!ってか賭けるしかない!互いの攻撃が交差し、バチッと大きな音が鳴る。俺の剣が赤鬼の雷を打ち破った!これで角に攻撃できる!俺は赤鬼の棍棒での攻撃をかわしながら、
「我が焔は全てを斬る!断ち切れ炎剣!受けてみよっ!紅刃炎裂斬!」
剣を紅く熱し、炎を纏わせた剣で赤鬼の角を狙った。角は硬く通常の剣では切れなかっただろう。だが今の魔力を込めた状態ならっ!
「ぶらあああああああああああ!!!」
狙い通り角を断ち切ることに成功した。そうすると赤鬼は白い煙を立ち上げて消滅していった。やっとの勝利だ……!




