決着
よろしくお願いします
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作中の表記はしばらく、このままにさせてください。
私が意を決して舞い始めていると、目の端では、いろいろと事態が進んでいた。今回の大元らしい蛇だか鶏だか分からないものが、地に向かって叫んでいる。
王妹であるユリエル様が地に仰向けになり、喘ぐ彼女に向かってバジリスクの頭部に生えた男は叫ぶ。
「痛かろう。しかぁし、片足がちぎれたぐらい、我が娘が被った痛みとに比べれば些末なもの,我が妻の絶望に比ぶれば、矮小なるものよ」
バジリスクが尻尾を振り上げて、ウリエル様の、すぐ側へ振り落とした。
地面が割れ,瓦礫が。飛び散る。
「汝を守るものなし、片方は両の手を失い悶え地を這いのたうち回って苦しんでおるわ。もう片方も恐怖に侵され気が触れて踊りまくっておるわ。役立たずよのう。さあ、もう終わりとしよう。我が妻、我が娘、我が一族郎党,我が民草の恨み,その体,その魂に刻めばよいわ」
先ほどまで息絶え絶えだったのに。ウルエル様、凄いほどの胆力をお持ちであります。
「ついぞ聞こう。今の喋りは誰がしておる。己か? 違うであろう。叫びも嘆きも己が心がしておるか? 違うであろう。お前に魂などすでにない。記憶の残滓を繰り返し述べてきるだけじゃ。お主はすでに亡骸よ。彼の地で妾は見届けておるわ。己が朽ちた屍を」
「笑止。世迷いことは地獄に堕ちてから言われるが良いわぁ」
地を這うもののバジリスクは跳ねて宙に浮く。そして宙を泳ぎ蛇行する。上へ上へと高度を上げる。
そして、
「遺ねぇ」
それが堕ちてくる。
まるで私が望んだ情況をウリエル様は知っていたのだろうか。
空を飛び回っているようなら相手にするのは容易じゃなかった。地に引きづりおろさないといけなかった。
手札が足りていなかったのを、この方は、
止ん事無き、君。王妹ウリエル様、あなたがつくてくれた機会、生かさせていただきます。
がれ場をものともせずに、金色に光る帯を頭から、たなびかせ、私は舞う。
今一度、聞き届けられよ。
杖の動きが、手の捻りが、腕が回る。体も回る。足が踏むリズムか。ステップによる足捌きが、各々の風を切る音、唸る音。それに奏でるメロディにハミングを乗せて、一気に重ねて嘆願する。
そして、咏う。詩う。歌う。唄う、詠う。謡う
私が今,全てを捧げる先は大地の女神。母たる大地の象徴
「願う、我らが生を受け、我らが朽ちるまですべて委ねたるもの」
「すべてを納めし大地よ。風は御身に触れ、水は御身を庇い、光は御身を照らす」
「木は恵みをもたらし、金を熟させる。」
「我は希う。御身の腕にて事ごと 一切を納めたまえ」
( グロリア、グロリア、インテラパックス )
私の心が嘆願する。そして言葉を紡ぐ。
「グロリア インテラ パックス」
タン
地の深淵にあるという神の座に届けと大地を踏み締め、私は舞を終えた。
胎動する
***
胎動した
もう一度、
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' Supe-mu perficio '
力ある言葉が頭に響く。心を、そして今、魂を震わせる。’ 汝の願いを受諾した'
願いが想いが叫びが届いたんだ。
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私はバランスを崩し、地にへたり込んだ。そして見た。
がれ場にバジリスクが降下してきた。
地面に落ちるかという時、大地が突然、隆起した。地面から腕の塊が隆起する。
大きい、それが災厄の塊のようなバジリスクを抱え込む様に覆い尽くしたんんだ。
大地に捕まえられ逃げようともがくけど、そのまま咥え込む様に地に埋もれていた。
バジリスクが足掻きもがいたんだろう、数度に亘り地面が波打つ。地面に裂け目ができる。その裂け目から禍々しい黒い霧みたいな物も漂い出す。
しかし、新たに隆起した岩の腕がそれさえも覆い尽くした。
あまりにも、大きすぎる力なんだろう。へたり込んでいた私も含め、横たわるウリエル様、ゾフィーさんも一緒くたに巻き込んで周りの土塊ごと飛ばされてしまった。
あたりに響き渡る大音場、けぶる土煙。一面埋め尽くされてしまう。
そのうちに、
あがっていた大地の唸り声も鎮まっていく。
そして沈静化した。
そんな中、土と砂に塗れた私は、覆い被ぶさるものをどかしつつ、よっこらしょと立ち上がる。そして周りを見渡す。体はへとへとで、気力なんて、これっポッチも残っちゃいない。
ありがとうございました
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作中の表記はしばらく、このままにさせてください。




