ここは冥府煉獄の底か
よろしくお願いします。
スゥアー
私の前に顕現した光は私も巻き込み、上へとも伸びていく。包み込まれた光越しに通りの反対側にも同じ光の柱が立つ。そして通りに沿って両サイドに広がっていく。
それに連れ私の中から力がドン引き抜かれていく。怠さが増し疲れも溜まっていく、
光の壁の間に目の前を覆っているほどたくさんいた甲虫がどじ込められていだと思う。
ヴォンヴォンヴォン、ヴォンヴォンヴォン、ヴォンヴォンヴォン
あまりにも沢山の甲虫で、発する音が塊となって私に打ち付けられていく。
眉間につけた仮面が振動しビリビリと伝えて来る。
光の壁の中で飛び回る甲虫は、壁に沿って飛んでいる。たまにそれで壁に接触するものもあるけどすかさず、光へと昇華していく。黒い甲虫の流れへたまに眩しい光が混ざるのはこれのせいだね。
稀に私へと飛び襲いかかってくるのがいる。まあ光の壁のうちは甲虫だらけ、異物は私だけなんだろうから。
飛んでくるものはもちろん。迎撃。聖教会が多分、貸してくれただろうジョゼル権杖を構え、実は2本あったりする。両手でて構えて対処していく。
ズゥシャァ
ズゥシャァ
きたものは容赦なく。叩いて排除する。
ジョゼル権杖は宝具だよ。式典に使う大事な祭具なんだよという奴もいる。でもこれだって歴とした武具なんだ。スタッフとして殴るための武器なんだから。自分の命がかかっているんだ。容赦なく使わせていただきます。
大丈夫、ことが終わったら主へ深く感謝をしてあげる。まあ生きていればですけど。
目の前を視界を塞ぐほどの黒いものが飛び退る中、1匹1匹対処したって大したことにはならない。自分の命の火を消されないように踠くだけなんですけど。
ズゥシャァ
ズゥシャァ
幾つ払ったか、幾つ殴ったか、幾つ潰したかなんて記憶にはない。
障壁を主へ願って展開しているとはいえ、これだけの施術ならば私の中から力がこそぎ落とされていく。
いつまで持つかわからないよ。
すると、突然。黒いものが降ってきた。自分よりも大きい。よく見ると、人だ。しかも、
「剣士様」
自分の目を疑う。止ん事無方の神族。
今朝、知り合ったバスタードとも言える大剣を持った剣士。
彼がいきなり目の前に現れる。しかも剣を抜いて構えている。
私のところへ何か来ているのだろうか?
すると剣士様の前に現れた。これは何?
茶色というから赤黒いというか、とにかく生理的に拒絶したくなる色をしたもの。
剣士様と同じぐらい大きさの………人。2本の足と二本の手を持ち頭らしきものもある。それが赤茶色の歪んだ棒みたいなのを持っている。体らしきところには茶色とか赤茶色、赤黒いものとかがこべりついている。棒はよく見ると平たい。薄く伸ばされているもので途中かけていたり、溶けているみたいに見えた。
あれは。あれは剣?
じゃあ、端にあるのは掴んでいる手。細く濁っている手! 骨か! じゃあ頭らしきところにあるのは、錆びて腐食した金属らしきものでできた兜と、その下から覗く腐った卵のような眼窩からのぞいてくる目らしきもの、その下には黒い小さな穴カー二つ穿たれている。あれって鼻。穴が空き、黄色いものや茶色い棘のようなものがは飛びになって飛び出しているのは口なの。屍の兵士!屍兵だっていうの。
胃から嫌なものが込み上げてくる。生理的に受け入れ難いものなんだけど。
「なんで、お前がここにいる?」
「剣士様こそ」
「お前みたいなのがいるところじゃない…」
いきなり屍兵が私たちへ腐った剣を振るってきた。剣士様はそれを弾いてくれる。
「早く、ここから去れ。お前がいていいところじゃない」
「ダメなんです」
「あ?」
「主へ願って障壁を展開しています。出ることなんてできないですよ」
ギャン
更に剣らしきものを振るわれて、再び剣士様か弾いてくれた。障壁顕現して、重ねて祈願できるかわからないけど、手で印を組み、
「フォセレ・ヴェレ」
主へ乞い願う。
「エッセ<マレスゥ>」
邪気を祓いたまえと。
三たび振るわれた剣を剣士様が弾く。すると相手は、あっという間に吹きさらわれてしまった。
消失したんだ。
「な?」
剣士様も驚く。
「何をした?」
「退魔の奇跡の付与を」
よかった。重ねて掛けることができた。障壁も変化はない。
「これならなんとかなるな」
「え?」
吹き飛ばした向こうから、同じものが現れる。一人…ではない、ひとつ、二つ、だんだん増えていく。甲虫に加えて屍兵。
生きた心地しません。
あまりのことに膝が笑ってきた。嫌なタイミングで横合いから屍兵が剣を腐剣を私に振り翳してくる。
笑いかけた膝のおかげでバランスを崩してしまう。そんなところへ腐剣が振る舞われる。いやあ
しかし、剣士様が大剣で払ってくれた。その威力で屍兵も祓い吹き飛ばされていった。
「あ、ありがとうございます」
「なんということはない。と言うか聖女の奇跡とは凄まじいものだな」
「私も驚きです。聞いたこともないですし」
でも、現実、私の目の前で起きているんだ。
「逃げることなんてできないんだ。お前は俺の後ろにいろ。なんとかしてやる」
剣士様は、屍兵に剣を奮いながら言ってくれた。
「はい、お願いします」
私だけじゃ何にもできそうにないからね。
剣士様は聖別された剣を奮いながら、わらわらと湧いてくる屍兵を吹き飛ばしていく。
そんな時、
ピッギャアアアアアーン
鼓膜を破りかねない、鳴き声が聞こえてきた。魂も折れてしまいそう。
そんでもってたちの周囲が陰った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
落ちてくる4頭立ての馬車 キャリッジ。音方へ頼って空中で止める
ありがとうございました




