小動物のダンジョン 12階層
少女を助けた日から、里音はせっせと妖精の森に行き、レッドとイエローとホワイトが取るように言った、珍しい草や宝石のような実などを採取している。
アイテムボックスがあるから、いくら採取しても新鮮なままだ。
たまに、初めの頃のように妖精の幼体に張り付かれて脱皮する時があるけど、お礼に貰える殻は素材として使えるから心よく脱皮させてあげている。
僕の身体から何か電波でも出てるのかな?
妖精達が脱皮していくたびに里音は不思議だなぁと思う。
でも、無条件に好意を示してくれる妖精には良い感情を抱いている。これぞwin-winの関係じゃなかろうか。
採取が終われば、ホワイトに薬を作ってもらう。ホワイトも何時間も薬を作れる訳じゃ無いらしい。
1日3回ほど作るとバテてしまう。お礼に甘くて柔らかい食べ物、プリンなどをご馳走するとレッドとイエローと一緒に喜んで食べている。
それを見て、ほんわかする僕。癒されるー。
ダンジョンにも生活費を稼ぎに出かける。探索者は確定申告があるから、領収書の保管をしておかないといけないからちょっと面倒くさい。
働く気が起きない時には両親の保険金で生活していたけれど、妖精達のおかげで復活して生活費くらいは稼ぐようにしている。
万病に効く薬はかなりの数が集まった。これを僕が怪しまれないように病気末期の人達に届けたい。
アキ総合病院には、多分末期の人はいなくなったと思う。僕がこそこそと妖精に導かれて、病状の悪い人から治して行ったからだ。
地元のニュースに『奇跡の回復』と特集を組まれていた。患者の人達は僕の秘密を守ってくれているらしい。赤ちゃんがいた時はどうしようと思ったよ。ホワイトが魔法で飲ませてくれたけど。
レッドとイエローが攻撃でホワイトが回復要員。
ホワイトが作ってくれる薬は万病薬だけではなく、どんな傷も欠損も治せる劣化エリクサーを作ってしまった。
他にも薬だけで何種類もあるし、自己強化が出来る薬などもある。妖精の森もホワイトも凄い。
世の中に出せないような薬も作ってしまった。
事前に飲んでおけば、死んでも生き帰る薬だ。これは怖い。名前は蘇生薬だ。死んでから飲んでも意味ないけどね。
アイテムもいろいろある。
能力を増やしてくれる石だってあるし、初めに食べさせられたのはこれだったらしい。妖精の森の石は食べれる。
レッドとイエローは僕のダンジョン探索に役立ってくれる。
戦闘に慣れてきたのか、確実に狙った獲物・魔物を倒してくれる。僕は凄い助かっている。
今日は11階からスタートだ。10階のボスで随分と稼がせてもらいました。
出て来て瞬殺すると良い宝箱が出て来るから、楽しみでついつい通ってしまった。
でも先の階層に行こうと思ったんだよね。
僕がダンジョンを楽しみ始めたのが理由かな?12階層までは行ったことあるし、怪我しても死なないのが自信に繋がっていると思う。
初めて12階層まで行ったのは、2ヶ月くらいで死に物狂いだったなぁ。戦闘のせの字も分からない素人がよく頑張った物だよ。ソロで。今は妖精達がいるからソロじゃないよ。
11階層にワープしてきた。後から人が来るかもしれないから場所をすぐに空ける。
魔物が来た。2匹だ。ウサギの鍋サイズだが、牙が鋭いので噛まれると肉を持って行かれる。要注意だ。
レッドとイエローが前に出て、炎と電撃で倒してしまった。過去の僕の苦労が思い出される。
いや、良いことだし喜ぼう。
レッドとイエローとイェーイと手と指でタッチする。魔石を拾って次だ。
道はなんとなく覚えている。地図が売ってたのを買ったんだけど、何処にいったかな?僕の部屋を探せばあるかな?次に来る時は持ってこよう。
広い通路を歩いて行くとまたウサギ2匹に出会った。レッドとイエローがやる気だ。任せてしまおう。
ウサギが消えた後に残ったのは魔石と微回復ポーションだった。微回復ポーションは500円で買い取ってくれる。当たりドロップだな。
11階層は2人に任せよう。楽しそうだし。僕はドロップ拾い係だ。
ホワイトが肩に乗っている。座りづらくないのかな?たまには羽も休めないといけないか。でも、どうも普通に飛んでるんじゃ無さそうなんだよな。魔力で飛んでるのかな?
お、ウサギの毛皮が出た。こいつも500円で売れる。汚さないようにしないと。
11階層からはドロップの幅が増える。魔石とぬいぐるみだけじゃ無いんだよな。
レッドとイエローが空中アクロバット飛行をしている。楽しいんだろうな。僕は君達のミニスカートがめくれないか心配だよ。足についてるぼんぼんは可愛いけど。
だんだんと妖精達の性格が分かってきた。
レッドがお調子者でイエローが天然ちゃんみたいで、ホワイトが静かなお姉さんポジションだ。喋ると静かじゃないけど。ほかの2人と比べればね。
妖精は匹なのか人なのか悩む所だ。僕は対等でいたいから人で呼んでるけど。人かと言われれば人じゃ無い。何処から見ても妖精だ。
魔物も不思議生物だし、妖精が居てもいいか。
正確にはダンジョンの魔物は生きていないって説が濃厚。ダンジョンに生み出された非生物。奴等に理性は無く、ダンジョンに取り込もうと襲いかかって来るらしい。
難しいことは学者さんが考えれば良いよね。
11階層はすぐに突破してしまった。階段で12階層に下りる。
次はウサギが3匹だ。レッドとイエローと僕も戦うぞ。魔法で倒そう。練度が足りないみたいだし。何がいいかなぁ。風の刃は10階層で練習したし、レッドと一緒に炎で戦おうかな。ファイアーボール!なんちて。
ウサギが3匹出て来たぞ。レッドとイエローが行った。僕は残ったウサギだ。炎よウサギに飛べ。
ウサギが火だるまになったあと、ドロップ品が出た。もっと魔法の出る速度を速くしたいな。頭で考えるんじゃなくって、反射で出るような。
ホワイトが肩をぱふぱふしてくれる。褒めてくれてるんだ。
「ありがとう、ホワイト」
レッドとイエローも飛んで来た。
「レッドとイエローもいつも、ありがとう」
レッドとイエローが胸を張る。ふんぞりかえっているようだ。可愛い。
頭をつついてやる。逃げて行った。
3匹ウサギが出るけど、レッドとイエローが1匹ずつ倒してくれるから、僕は自分の魔法に集中できる。
目標は無意識レベルで魔法をコントロールすること!