黄金の果実を食べる
初めは家に着いてきた妖精達の行動に困ったものだ。
日常生活はいいけれど、トイレと風呂について来るのはやめてほしい。今はトイレだけはドアの前で待っているみたいだが、出待ちも本当はやめてほしい。
風呂は諦めた。妖精達には風呂桶の中にはった湯に浸かってもらっている。服は着たままだ。不思議だなぁ。風呂桶が、湯船に浮いてくるくると動くのを楽しんでいる。
僕と一緒にいるのを最優先してくれるのは嬉しいけど、飽きないのかな?
夜
不審な影が高梨家に迫っていた。
不審者達は高梨家に素早く近づくと、途中で前に進めなくなる。
バリアのせいだ。
悪意を持って近づくと高梨家のバリアで塞がれる。
不審者達は焦っているようだ。
何処かに入り口はないかと、探している。
不審者達がバリアに夢中になっていると、後ろから素早く来た者達に拘束されていく。
厚生労働省の雇っている護衛達だ。
護衛達は経験で、悪人や下心を持った人物は高梨家に近づけないと知っていた。
捕らえた男達を携帯で呼んだ車に入れて、警察署まで連れていく。
捕らえた男達の動きは素人では無かった。尋問すれば何かほこりでも出るだろう。出なくても嘘発見魔道具で何をしようとしていたか分かるだろう。
不審者達を逃がさないようにしながら、車は進んで行く。
こうして、高梨家の平和はいつも守られていた。
里音はいつもどうりの朝を迎えていた。
妖精達とおはようの挨拶をして、まだ寝ているイエローを起こす。
妖精達にはゼリーを出して、里音はテレビを見ながら簡単な朝食を食べる。
妖精達もテレビで知識を身につけているみたいだ。
ゼリーを食べたらテレビの前に陣取っている。
しばらくテレビを見てから、日課のリアンディディ様の森に行き、妖精達に言われるまま採取をする。
里音も最近は、植物なのだろうか?採取する物の見分けがついてきていた。
光る雫がついたような植物。宝石のような実が成った木。落ちている石を拾い、アイテムボックスに入れていく。
鑑定で見てみるも、みんな初めて見る名前ばかりだ。さすが?リアンディディ様の森。
たまに妖精達に呼ばれてそちらを見ると、妖精達は連携して精霊石を里音の口に放り込む。妖精の悪戯だ。
里音は悪いことは無いから「しかないなぁ」と放置している。
それにしても若いからと言って採取をしてしゃがんだりしていると、腰が痛くなる。健康な身体が欲しいよ。
とんとんと腰を叩きながら考えると、ピコン、と音がした。
ちょっと慣れてきた里音は目の前の文字を読む。
『貴方は健康な身体を手に入れました』
これは、嬉しい。良い能力を手に入れた。里音は腰の痛みとさよなら出来ると喜んだ。
でも本当に何度来ても不思議な場所だなぁ。脱皮したらしい妖精には会わないし、この森の何処かで暮らしているのかな?
「あ、レッド、そんなに高い場所の素材もいるのかい?」
「これめずらしー!」
「わぁ〜!」
「みつけたんだー!」
レッドの身体の大きさでは大きいくらいの木の実を持って来てくれた。何か金色に輝いている。
「りおんたべるー!」
「からだじょうぶになるー!」
「ぶわってするー」
妖精達も食べたのかな?この子達、知らず知らずのうちにいろんなもの食べてるからなぁ。
さて、鑑定。
ー黄金の果実ー
1つの木に10年で1日しか実をつけず、とても珍しい。食べると金剛のような身体を手に入れる。
oh……僕は固くなるのか?防御力が上がるのか?レッドが口に押し付けてくる。まあ、妖精達も食べたのなら悪い物でも無いか。
ぱくりと食べる。誤ってレッドの手もはんでしまった。レッドは笑っている。笑いのツボが分からない。
果実を噛むとちょっと酸っぱいような味がして、飲みこむと身体の全身の毛が逆だったような感じがした。
余り気持ちの良いものでは無かったので、ダンジョンウォッチでステータスを確認する。
名前 高梨里音
年齢 23歳
職業 賢者
HP ♾
MP ♾
能力 言語理解 鑑定 アイテムボックス 賢者の石 賢者 英雄の素質 罠感知 罠無効 全国長距離転移 健康な身体 金剛の身体
金剛の身体とな!?例えばバットで殴られたり、包丁で傷つけても傷つかないのかな?部屋に戻って実験してみるか。
腕を触るが柔らかい。身体の柔軟性は失われていないらしい。ちょっとだけホッとした。
だって仁王像が頭に浮かんだんだもの。怖い怖い。
妖精達と不思議植物を採取しながら、時折来る団体さんの妖精の幼体を受け入れつつ歩いて行く。
今日は初めて来る方向に妖精達が誘導してくれる。植生もちょっとだけ変わってきたみたいだ。
なんて言うのかな?爽やかなみずみずしい空気だ。さっきまでは森林浴してるみたいな空気だった。
妖精達に言われるまま採取を続けて歩いて行くと、湖があった。
とても大きくて澄んだ湖だ。妖精達が何処かから取ってきた果実をおやつにして、湖畔でくつろぎ始めた。
僕が妖精達の側に座ると妖精達が話しかけてきた。
「りおんみずのむー」
「おいしー」
「なかまにあえるー」
また、よくわかんないことを言っている。とりあえず水を飲めばいいんだね?
もう、いろんな物をこの森で食べているので、水くらいは抵抗が無い。手で水をすくって飲むと、身体が内側から洗われるような清浄な気持ちになった。
すると、いきなり湖の真ん中が盛り上がって、そこから現れたのは、水で出来た中世的な人型だった。
不思議なことに耐性が出来たつもりだったが、顎が外れるかと思ったくらい、間抜けな顔をしてしまった。




