僕の従兄弟
スーパーで買い物してから家に帰って来た。
お椀を取り出して魔法でお椀に温める付与をする。
すると、お椀がほんのりと温かくなった。そこに魔フェレットの卵を入れる。
早く孵れよー。
慎重に部屋の枕元に置く。フェレットのぬいぐるみも部屋に飾る。良い眺めだ。
満足していると、妖精がフェレットのぬいぐるみに絡み始めた。興味があるのだろう。背中部分に乗ったりして遊んでいる。
ほんわかして見ているとチャイムが鳴った。
誰だろう?覗き穴から見ると従兄弟の弁護士の正義兄ちゃんだった。玄関の扉を開ける。
「正義兄ちゃん!どうしたの?こんな時間に」
「おお、お前がちゃんと生活出来てるか心配になってな。暇になったから来てみた」
「上がってよ!飲み物ぐらい出すよ!」
「じゃあ、お邪魔しようかな」
正義兄ちゃんがリビングのソファに座る。兄ちゃんの好きなカルピーを入れてグラスを兄ちゃんに渡す。
正面に座ると兄ちゃんが話しはじめた。
「里音、大丈夫か?ちゃんと生活出来てるか?」
「もう、大丈夫。葬式の時はありがとうございました。兄ちゃんのおかげでちゃんとお見送り出来たよ。感謝してる」
「そうか、ちょっと痩せたな。気持ちの整理が出来たならいいんだ。今はどうやって生活してるんだ?」
「探索者をして生活してるよ。良い人達にも出会って、助けてもらいながら生活してる。兄ちゃんは?変わった事あった?叔母ちゃん達は元気?」
「うちの母さんはいつも元気さ。ただ、翠がな、ちょっと元気がなくてな、遊びにでも来てくれよ」
「翠ちゃんがどうしたの?何かあった?」
「お前が大変だろうから連絡してなかったんだがな、翠が交通事故にあってな、賠償金はもらったんだが、手が思うように動かなくなってな、気を落としてるんだ。元気づけてやってくれないか?」
「怪我だよね?病気じゃないよね?他は?身体は大丈夫なの?」
「多少、傷は残るだろうが、手に比べたら生活に支障は無いよ。心配させてごめんな」
里音はアイテムボックスから劣化エリクサーを取り出した。
「正義兄ちゃん。翠ちゃんにこの薬を飲ませてあげてよ。効き目が凄く良くてね。手なんてすぐに治っちゃうよ」
「おま、今、どこから出したんだよ。それに手が治るだって?里音、変な奴と関わってるんじゃないだろうな?」
「変な奴じゃないよ。良い子達だよ。僕の寂しさを癒してくれたんだ。正義兄ちゃんだから言うよ。内緒にしてね。僕、妖精3人と暮らしてるんだ。妖精のホワイトがね、薬を作れて、この薬『劣化エリクサー』も作ってくれたんだ。効き目は間違いないよ。いろんな人に試してもらったからね」
連絡を取っていない時の話をした。信じてくれるまで話をして、微妙に納得出来ないながらも僕を信じてくれた。
「なんだ、お前が事件に巻き込まれて助けてくれたんなら良かったが、俺は妖精が見えんからな。微妙に信じられんのは勘弁な」
「それで、翠ちゃんに薬をちゃんと飲ませてね。大丈夫。すぐに元気になるよ」
「翠の為に貴重な薬をありがとうな。お前が心配してたって言えば、翠も喜ぶよ。長い時間ありがとな。俺はもう帰るけど、戸締まりちゃんとしろよ」
「もう子供じゃないよ!でも見に来てくれてありがとうね。嬉しかった」
正義兄ちゃんは僕の頭を撫でてから、帰って行った。
僕がへこたれている間に翠ちゃんが事故に遭っていただなんて。ちょっと僕達の家系、お祓いした方がいいんじゃない?
あ、翠ちゃんは叔母さんの娘で正義兄ちゃんの妹ね。今年で20歳になる。何かお祝いしないと。劣化エリクサーで怪我は治るだろうからね。
「ホワイトのおかげだよ。ありがとうねー」
ホワイトを撫でる。照れてるのも可愛いな。レッドとイエローもひっついてきた。大丈夫だよ。みんな好きだよ。
正義兄ちゃんと話してる時も近くで飛んでたんだよね。ホワイトは肩に座ってたし。
翠ちゃんが早く良くなるといいな。
「あ、お兄ちゃんお帰りー。今日は早かったね」
「ただいま。でも里音の所、寄ってきたぞ」
「里音ちゃん、元気だった?叔父さんと叔母さんが亡くなってまだそんなに経ってないもんね」
「いや、元気になってたぞ。他の人に助けられてたみたいだ。里音から翠にお土産だ。今すぐ飲みな」
劣化エリクサーを翠に渡す。
「何?お土産?なにこれ?」
「翠が怪我したって言ったら、それをくれてな。怪我が治るらしいぞ」
「ふ〜ん、心配してくれたんだ。元気づけてくれたのかな?健康になりますよーに。ごくごく。ぷはー生き返る!生き返る〜〜!?お兄ちゃんなにこれ!?身体が痛くないよ!怪我が治ってるよ!?」
「あ、本当だったんだ。劣化エリクサーだってよ」
「劣化エリクサー!?あわわっ、すごいの飲んじゃった。里音ちゃんにお礼言わないと!スマホ、スマホ」
その夜、里音のスマホに翠から電話があった。テンションが高かったが、話してるうちに落ち着いたのか、逆に心配されてしまった。主にお金とか。「大丈夫」と言って、成人のお祝いに何が欲しいか聞いたら「健康!」と言われたので、蘇生薬を渡そうかな。
怪我が原因で、健康グッズに目覚めないか心配だよ。
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