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里音の不思議な地下  作者: はる
13/23

厚生労働省 1回目の取引

「高梨里音と上手く契約出来たようだな。君達の功績は素晴らしい。次からの給料は期待したまえ」


「はい、ありがとうございます。ですが一言。この契約は妖精とも結んでおります。契約書が燃えたので、契約を違えた場合には火による制裁があるやもしれません」


「そうか、こちらの自由には出来ないと言う事だな。この契約を守れと。だが、治療が100万で出来てしまうと言う事は使用先を厳選しなければいけない。富裕層、庶民に関係なく難病者や身体の欠損がある者を優先して薬を与えなければいけない。もちろん支払い能力がある者にだがな。まずは首都圏から治療していこう。君達には薬の運搬を頑張ってもらうぞ」


「「「「「はい!」」」」」


 首相にも話は通してあるが、厚生労働大臣が主導してこのプロジェクトを成功させなければならない。国への人気取りではあるが、馬鹿には出来ない。


 人の人生を左右する権利がある以上は優遇措置もあるだろうが、100万で信用を得られるならば金額的にも損は無い。そこは大杉が計算して値段を出している。


 損はない。国に信頼が集まる。良い事だらけだ。


 今、国は少しだが動き出した。









「ホワイト〜、無理させてごめんよ〜。作れるだけでいいから。素材も豊富には無いし」


 大杉さん達と契約してからは、契約内容を聞いていたホワイトが張り切ってしまって、倒れている。


 妖精にも理解できたんだね。


 レッドとイエローがホワイトをつついて遊んでいる。

 僕はベッドにホワイトを寝かせた。ホワイトが僕の指を離さないので、そのままにしておいた。


「ほわいとはー」

「りおんがー」

「「すきー!」」

「わたしたちもー」

「りおんがー」

「「すきー!」」


 きゃっきゃと言ってくれるので、照れ臭いが絆の様な物は出来ている。


「僕も君達が好きだよ」


 きゃーとレッドとイエローが飛び回る。

 ホワイトも指をきゅっと握ってきた。可愛いなー。体勢が苦しくなってきたけど。


 高梨家は今日も平和だ。




 郵便で手紙が来ていた。厚生労働省から9月20日の今日に伺いますと。


 妖精達と待っていたら、チャイムが鳴った。玄関に出て行くと、前回来ていた5人の内、2人の男女のペアだ。


 家に入れて、リビングに案内する。


 男性は小平さん。体格はいい方で、顔は穏やかだ。なんというかモテそう。

 女性は鳥居さん。黒髪を後ろでしばった、ちょっとお堅いイメージのある人だ。


 2人共、賢者の石に認められているから良い人なのは間違いない。


 お茶を出した後に、アイテムボックスからホワイトが作った薬を取り出す。タッパーに万病薬をペットボトルに劣化エリクサーを入れている。


 2人の顔が、思わずと言うふうに崩れた。


 数千、もしくは億の価値がある薬がタッパーとペットボトルの中に入っているとは思わなかったのだろう。


 里音は机の上に並べた。


 小平さんは肩が下がり、鳥居さんは頭を痛そうにしている。これは報告案件だと。


「高梨さん、今回はタッパーとペットボトルで受け取りますが、次回からは専用の容器をこの家に送らせてもらいますので、そちらに入れて頂ければありがたいです。それと、ペットボトルは劣化エリクサーですか?そちらの用法容量をお教えください」


「分かりました。ホワイト、良いかい?」


 ホワイトがこくりと頷く。蓋を開けたペットボトルから、空いたペットボトルに1回分の液体を移動させる。


 それはまるで水が踊っているみたいだった。


 小平さんと鳥居さんは、呆然とその光景をみていた。


 ホワイトは褒めて!とばかりに見てくるので頭を優しく撫でる。


「これが1回分です。参考にして分けていただければと」


「わ、わかりました。こちらも頂いていきますね」


 2人はお茶を飲み終わったら、速やかに帰って行った。


「ホワイト、頑張ったもんねぇ。役立ててくれると良いな」


「がんばるー」


「ほどほどにね」


 2人は車で来たようで、立派な車に乗って帰って行った。



 1週間後には薬の代金が振り込まれており、それを見た里音は心音が飛び上がった。


 おぅ、いくら通帳を見ても0の数がおかしい。里音は欲に囚われてはいけないと忘れることにした。



 妖精の森に入ると、何処からか妖精の幼体が飛んで来て里音の体にひっついて「すきー」と好意を示してくれる。それを了承すれば、脱皮してお礼に殻や石をくれる。


 それを『お母さん』に見せに行くのだそうだ。


 妖精の森は未だに里音には不思議な空間だった。


 万病薬は妖精の幼体の殻が素材になっている。だから作れる数に限りが有る。

 劣化エリクサーは森に素材が生えているので、ホワイトの調子が良ければ沢山作れる。


 里音はそれ以外の薬は世の中に出さないことに決めた。人の欲に飲み込まれると思ったからだ。


 蘇生薬なんて誰でも欲しいだろう。能力が増える精霊石だって金を積んでも欲しいに違いない。


 里音は素材を収穫しながら、自分で治療した人を見たいと思った。アキ総合病院の患者だけでなく、全国の病気や欠損を抱えた人達の元へ行きたいと願った。


 ピコン。


 懐かしい音だ。目の前に出てきた文字を読む。


『貴方は全国長距離転移が使えるようになりました』


 長距離転移。さっき何を考えていた?全国の人を治療したいと考えていたはずだ。


「やっっったぁ〜〜!」


 里音は両腕を上げて喜んだ。喜んでいる里音に妖精達が引っ付く。里音から良い感情が流れてくる。妖精には安らぎだ。


 感情を爆発させた里音に妖精の幼体達も引っ付く。安らげる感情を受け取る。幼体には少し刺激が強いが悪い感情じゃない。


 沢山の「「「すきー」」」に囲まれて、里音は我を取り戻し、幼体の好意を受け取る。


 沢山の幼体の殻が手に入った。里音はるんるんだ。


 レッドもイエローもホワイトも気持ちが良かったのか、里音の上で寝てしまった。


 今日の採取は、これで終わりにしよう。


 部屋に帰った里音は、妖精達をベッドに寝かせて優しく見つめていた。



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