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里音の不思議な地下  作者: はる
11/23

天宮協会長と対決

 次に来る時の為に15階層まで下りてから、14階層に戻りゲートでダンジョンから地上へ帰った。


 探索者支援協会に行き、ドロップ品を買い取り窓口に渡して、待合室で待つ。


 今日は頑張ったもんね。良い値段がつくといいな。


『5番の番号札をお持ちの方、買い取り窓口までお越しください』


 おっ、呼ばれた。窓口まで行く。


「高梨様、お待たせいたしました。魔石が138個、微回復ポーションが6本、ウサギの毛皮が7個、全て買い取りでよろしいですか?」


「買い取りでお願いします」


「分かりました。合計で2万300円になります。お受け取りください。それと高梨様に協会長から面会の指示が出ておりますので、待合室にて案内係が来るまでお待ちください」


「協会長とですか?僕何かしちゃいました?」


「それは協会長とお話しください。内容は存じ上げませんので」


「分かりました」


 待合室に座り、賢者の石に聞いてみる。


(賢者の石、何で僕が呼び出されたか分かる?)


『おそらくですが、妖精素材のせいで呼び出されたと推測します』


(妖精素材で?何かマズイことでもあった?)


『妖精素材は現在、高梨里音だけが発見、利用しています。前に個人鑑定に持って来た情報が協会長に伝わり、その出所を確かめる為の呼び出しだと推測します。場合によっては強行手段に出る可能性があります』


(強行手段て、どんなこと?)


『脅し、探索者の資格の剥奪、恐喝などの可能性あり』


 それじゃあ、スマホで音声を録音しておこうかな?恐いなぁ。妖精素材の出所を隠して会話しないといけないのか。


「高梨里音様ですね?協会長がお呼びです。付いてきてください」


 壮年のスーツを着た男性が声を掛けてきた。エレベーターで最上階まで行くらしい。


 エレベーターに乗り込んだら、アイテムボックスからこっそりとスマホを出して録音を開始する。


 エレベーターから降りて男性に付いていくと、ドアの前で止まり、ノックをした。


「協会長、高梨里音様をお連れいたしました」


「入りなさい」


 中に入ると机の上に何かのアイテムが置いてあり、書類などが無いので応接室だと感じた。


「ようこそ、高梨里音君。私は協会長の天宮だ。よろしく」


「高梨里音です。何故呼び出されたのでしょうか?」


『高梨里音、部屋の中に隠れた気配が4人います。注意してください』


「まあ、座りなさい。話はそれからだ」


「失礼します」


 里音はソファに座る。手にはスマホを握ったままだ。協会長はそれを見たが、若者がスマホ依存症になるのは良くある事だと気にしないことにしたらしい。


「高梨里音君、君は以前、個人鑑定に妖精の素材を持ち込んだようだね?何処で手に入れたんだい?」


「個人鑑定の情報は事件にかかわるかもしれないので秘匿すると教わったのですが?」


「協会の利益に繋がることは報告が上がるようになっているんだよ。質問に答えなさい。妖精素材を何処で手に入れたんだい?」


「個人情報なので黙秘します」


「ダンジョンで手に入れたのなら報告義務があるのだがね」


「ダンジョンでは手に入れてませんので、探索者支援協会は関係ないですよね?」


 協会長は机のアイテムを見ている。高梨里音が嘘を言っていないのが、不思議なようだ。


「じゃあ、何処で手に入れたんだい?教えてくれ」


「個人的な事なので黙秘します」


「以前に持ってきてくれた妖精素材の情報を見たよ。あれは国民の為の力になり得る。それを秘匿して独り占めするなんて国家に対する反逆じゃないかね?」


「そんなに大きな問題にはならないはずです。僕は犯罪者ではないので。何故か最近、犯罪に巻き込まれますけどね」


「今も妖精素材は持っているのかね?」


「持っていますが何か?」


「それを出しなさい。詳細な鑑定をしてもらうから」


「いいえ、出しません。全て僕の物です。強制は出来ないはずですが?」


「探索者の資格を剥奪すると言ってもかね?」


「探索者の資格を剥奪されるような事は何もしておりませんが、天宮協会長は私的な目的の為に問題の無い探索者の資格を無くすのですか?」


「問題有りだよ。協会長の指示に従わない探索者なんて害悪だ。資格の剥奪は当然だ。剥奪されたくなければ妖精素材のありかを言いなさい」


「それでは協会長の私的な判断で探索者の資格を剥奪されたと本部に報告させてもらいます。話がそれだけならば、失礼させていただきます」


 僕がソファから立ち上がると隠れていた男達がドアの前に立ち、帰りを阻害した。


「天宮協会長、これは何の真似ですか?男達にドアの前から退くように指示してください。僕が帰れません」


「君には失望したよ。口が軽くなる為に、ちょっとお仕置きが必要かな?妖精素材について話す気になったかい?」


「僕を脅すのですか?どんなことをされても話すつもりはありませんが?」


「こんなに強情だとは思わなかったよ。君たち、高梨君をちょっと痛い目にあわせなさい」


 男達が近づいてきた。


「男4人で僕に暴力を振るうつもりですか?」


「何、大丈夫だよ。痛めつけた後の傷は魔法で治してあげるから、証拠は残らない。存分に怪我をしなさい」


 男が殴りかかってきたのを体に力を入れて待ち受ける。まだ、探索をする為の装備を身につけているから、守られてない顔を狙いにきた。


 僕はそのまま殴られて壁まで飛ばされる。


「天宮協会長、そんなに笑顔で僕が痛めつけられるのが楽しいですか?」


「楽しいさ。強情な奴を素直にさせるには時に暴力も必要だからね」


『高梨里音、証拠は揃いました。逃げるために転移を進めます』


 僕は賢者の石に従い、自宅まで魔法で転移する。妖精達も一緒だ。


「ああー!顔が痛い。着替えて病院で診断書を貰わないと」


 里音の頬は思い切り殴られてほっぺが腫れて歯もぐらついている。


 里音は普通の服に着替えて、アキ総合病院に出かけた。


 妖精達が心配してくれて、ホワイトがほっぺを治そうかと聞いてくるけど、協会長の犯罪の証拠の怪我だから、そのまましておいてくれと宥めた。


 レッドとイエローがファイティングポーズで、今度会ったら燃やすとか言ってるけどやめて欲しい。


 病院で診察を受けて、診断書を貰う。

 それを持って警察署に行き、被害届を出して診断書とスマホに録音された音声で証拠が揃い、天宮協会長を連れて来て、嘘発見魔道具でもっと証拠を揃えるらしい。協会の中にも協力者がいるようだから、同時に調べるそうだ。


 それまで、僕は警察署で保護されることになった。



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