第3話《食事》
「だからですね、皆さんは死にたがっていたんです」
「遺留捜査から見ても、君の見解は間違ってへんやろうな」
懐から俺は、電子タバコを取り出した。
少女が腹を空かせているようなので、行きつけのカフェに来ている。
この『CHERRY CAFE』という名のドッグカフェは、ハウゾウとハウタを連れてこれる唯一の飲食店だ。
こう見えてもこの町は、そこそこの田舎である。こじゃれたような飲食店は、そんなに多くはなかった。
「やっぱり、そうですよね!」
「だからと言って、殺して良い訳やないんやで?」
当たり前だが、殺人は犯罪だ。
かつて死神だった俺が説教をできる立場ではないが、そういった道徳心を持ち合わせていない少女に共感はできなかったのだ。
「知ってますよ、それぐらい。だけど被害者には他にも、共通点が有るんですよ?」
「全員が、悪魔憑きやった」
それを見分けることが出来るのは、死神や天使といった存在だけだ。人間に見定めることは、おおよそ不可能である。
それなのに少女は、自覚したうえで悪魔憑きの人間を殺してきたとでも言うのだろうか。
「そうです!」
満面の笑みを浮かべて、少女は答えていた。
驚きであったが益々、少女に興味が沸いた。