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英雄の意志

「これは…伝説の魔物ラヒュドじゃ」

「ラヒュド? 魔物に魂を売ったってこと??」

「奴の理性が保たれているうちに、どうにかできればよかったのじゃがな…」

「元のノアにはもう戻らないのかな…」

「分からぬ…だが、奴を今ここで倒さねば、もう誰も止められぬじゃろうな」

「クハッ!」

「タブルス! 気付いた! 大丈夫!!」

タブルスを抱き抱えていたカナンが叫んだ。

「あの息に触れるな…死ぬぞ…」

タブルスは息も絶え絶えになって伝えた。

「タブルス! 頑張って!!」

リオが必死で癒しの力を捧げる。カナンも抱き締めながら自分の力を注いでいるようだった。

「タブルス…クソッ! こんなことが許されてたまるか!」

「リスイア! 冷静になるのじゃ! こんな時こそ冷静にならねば、皆が死ぬぞ!」

「うっ…タブルス…」

リスイアの目から涙が零れ落ちた。

涙を手で吹き払い、リスイアはその濡れた手でタブルスの手を握り締めた。

「僕が必ず救うから! タブルスも…そしてノアも!」

「リスイア…ここは私に任せて! みんなでアイツをぶっ倒してやらなくちゃ!」

リオはリスイアにそう告げ、タブルスの回復に力を注いだ。

カナンも涙を堪えて立ち上がり、ラヒュドを睨みつけた。

「やるわよ、みんな! アイツ、絶対許さないんだから!」

「そうだね! ここでやらなきゃだね」

「そうですね! タブルスさんの分まで戦いましょう!」

「リオ、タブルスは任せたぞ。この身をもってしても奴を食い止めねば!」

「あの息はヤバイらしいから、吸い込まないように気をつけて! アビイ、息を飛ばしてきたら突風で防いで!」

「わかった!」


ラヒュドの変身が完了したようだった。

「グギギギギャーッ」

唸るように叫ぶ魔物。もう言葉を交わすことも出来ないようだ。

「お主らは下がっておれ! 儂が決着をつけてやる!」

愛弟子のタブルスをやられたせいか、ザミアの闘志に火がついたようだった。

「それじゃあ、僕らは援護します!」

「うむ!」

「幻の霧よ。真実を覆い尽くせ!」

レヴィオは幻惑の霧を放ち、ラヒュドを混乱させようとした。

ラヒュドは混乱しながら猛毒の息を吐き飛ばす。

「任せて!」

アビイが突風を巻き起こして、息を跳ね返した。

「よし!」

ザミアは剣を構えてラヒュドへ立ち向かう。

「さあ、アイツをやっつけちゃって!!」

カナンがザミアの攻撃力を高めた。

「我が弟子の痛み、そっくりとお返しする! ステラケウノス!!」

ザミアの高速な剣(さば)きにより、ラヒュドの首が全て切断された。

バタバタと落ちていく生首は、蛇のようにのたうち回りながら消滅した。

「やったー! 流石、ザミアさん!」

「これでタブルスの仇が取れたわい」

「いや、まだ死んでないから!」

「うん。大丈夫よ。なんとか意識も取り戻したわ」

「…流石は師匠だな」

「おお! タブルス、見てくれたかの? 儂の見事な剣捌きを」

タブルスの意識も回復し、みんなは安堵してタブルスに駆け寄ろうとした。


「…おい! まだ動いてるぞ!!」

タブルスが叫んだ。

ラヒュドの真ん中の首が復活し、リスイア目掛けて牙を剝いた。

「リスイア、危ない!!」

「うわー!!!」

リスイアが振り向いた時、ラヒュドの首が襲ってくるのが見えた。

だが次の瞬間、リスイアは蹲っていて真っ赤な血を浴びた。

「グフォッ!」

リスイアの目の前にいたのは、ザミアだった。

ザミアが体を張ってリスイアを弾き飛ばし、自らの体はラヒュドに貫かれていた。

「キャー!!!!」

「ザミアさーん!!!」

「師匠!!!」

みんなの叫び声が響いた。そしてザミアはその場に倒れた。

「ザミア…さん…」

リスイアは目の前の現実を直視出来なかった。

「ぐっ…リスイア…無事でよかったの…」

ザミアの目は虚ろで血は止まりそうになかった。

「リオ! 俺はいいから、師匠を助けてくれ!!」

「ええ!」

リオはすぐにザミアの体に癒しの力を注いだ。

しかし、力を注いでも漏れ出る大量の血液を止めることは出来なかった。

リオは悲しげに首を振る。

「そんな…どうして…」

「リスイア…すまぬ。…儂は、ここまでのようじゃ…」

「ザミアさん!」

「師匠! 何言ってんだよ! 俺、まだ師匠に教えて貰いたいことがいっぱいあるんだぞ!!」

「ホッホ…タブルスは甘ったれじゃの…お前にこれを託す…どうか皆を守ってやってくれ…」

「師匠ー!!」

「ザミアさん!!」

ザミアは持っていた剣をタブルスに手渡した。

みんなは泣きじゃくりながら、ザミアの周囲に集まっていた。

「リスイアよ…首飾りを」

「は、はい!」

リスイアは聖光の首飾りを取り出した。そして、ザミアはその首飾りを握り締めた。

「儂の思いをここに託す…どうか希望を未来に繋いでくれ…」

「はい! 必ず!! ザミアさんと神に誓って!」

首飾りの宝玉の一つが、深い藍色に光を放った。

「頼んだぞ…神の子らに祝福を…」

ザミアの目の光が失われた。

「ザミアさん…?」

「ううっ…そんなー…」

「師匠ーー!!!」

みんなは悲しみに打ちひしがれていた。

しかし、ラヒュドは最後の一つの首になっても衰えることなく、唸り声をあげてリスイアたちに襲いかかる。みんなは急いで回避した。

「みんな! ザミアさんの意志はまだここに生きてるんだ! 絶対コイツを倒して、ノアも救わなきゃ!!」

リスイアが叫ぶ。

「そうだな…。俺も戦うよ!」

「僕も!」

「私も」

「私も皆と共に戦います!」

「私の全てをここに賭けるわ!」

みんなの意志が一つになった。リスイアの持つ聖光の首飾りが光り輝き、七色の宝玉となって完成した。

「さあ、これで終わらせよう!」

リスイアはラヒュドを睨みつけ、太陽の剣を構えた。

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