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支配者の力

ギュロンドノアスはゆっくりと立ち上がった。

「そうか…ならば仕方ない。お前らごと、この世界を滅び去ってやろう!」

立ち上がったギュロンドノアスの左右に、機械人間の剣士が一体ずつ現れた。

「さあ、クロパトロスよ。遊び相手をしてやれ」

クロパトロスと呼ばれた機械人間の剣士の目が妖しく光り、リスイアたちに向かって動き出した。

ガシャン、ガシャンと重そうな足を一歩づつ前に出し、段々と駆け足になって向かってきた。

「来るぞ! 儂とタブルスで相手をする! 皆は援護に回るのじゃ!」

「はい!」


ザミアとタブルスは、それぞれクロパトロスに対して、剣で応戦する。

「くっ! なんて力だ!」

タブルスはザミアに剣術を習っていたとはいえ、剣士の方が優勢のようで、ザミアでも互角といったところだった。

「カナン! タブルスの攻撃力をアップさせて! レヴィオは、ザミアさんの剣士に霧で幻術を! リオは、タブルスに防御の祈りをお願い!」

「はい!!!」

「リスイア、僕らはどうする?」

アビイが尋ねてくる。

「ザミアさんにアビイの風の力でスピードアップさせよう! 僕は戦況を見て判断する」

「わかった!」

アビイはすぐにザミアに対して風の力を送った。

レヴィオは霧を発生させてクロパトロスを惑わせている。

「よし! これなら奴を倒せそうじゃわい!」

ザミアはクロパトロスの剣を見切って、翻弄している。

一方タブルスは、攻撃力と防御力をアップしたお陰で、やっと互角になってきた。

「ほう。なかなか見事な連携プレーだ。それならこちらも本気で相手をしてやろう」

ギュロンドノアスはクロパトロスの力を全開放した。

クロパトロスは雄叫びをあげ、暴走気味に突っ込んでくる。

「ぬ! 避けろ、タブルス!」

「う、うわー!!」

ザミアが間一髪、タブルスを押し倒してクロパトロスの剣を避けた。

クロパトロスの剣は床に減り込んでいる。

「こんなもん振り回されたら、一撃でお陀仏じゃのう」

「クククッ! どうした? 逃げてばかりでは倒せんぞ?」

「くそっ!」

「タブルスよ、お主は少し離れておれ」

「ザミアさん…」

「皆、儂に今一度力を与えてくれ…」

ザミアは剣を真っ直ぐに据えてクロパトロスを睨みつけた。

「みんな!! ザミアさんに力を!!」

「おお!」

「はい!」

みんなの力をザミアに集中させた。ザミアは七色のオーラを纏い、意識を高める。

クロパトロスが二体同時に襲いかかってきた。

「むん! 闇よ消え去れ! ヴロスタステンブロー!!」

ザミアの剣が光を放ち、雷の速さでクロパトロスたちを粉砕した。

「グオオオオ…」

崩れ落ちたクロパトロスたちは、爆発して跡形なく消えた。


「クククッ。ここまでやるとはな。少々見縊(みくび)り過ぎたか」

「さあ、後はお主だけじゃぞ? 覚悟は出来たかのう」

「フフッ。老いぼれが」

「皆、大丈夫か? 奴は今までの機械人間たちとは訳が違うぞ。油断するな!」

「はい!」

「リオ、今のうちにザミアさんに癒しの力を」

「了解!」

リオはザミアの傷付いた部分に癒しの力を与えた。

「みんな、アイツは何をしてくるか分からない。防御体制を整えるんだ!」

「おお!」

リスイアたちはギュロンドノアスを睨みつけて構える。

「まだまだ懲りてないようだな。いいだろう。我が直々に苦痛と悲しみを与えてやろう」

ギュロンドノアスは両手を広げてオーラを開放した。禍々しいドス黒いオーラが放たれる。

「なんて嫌なオーラだ」

「もう言葉で言っても無駄ね」

「リオ、みんなを包むように光の力を与えて!」

「わかったわ!」

このオーラに対抗できるか分からないが、あらゆることを想定して、ダメージを最小限に食い止めなければとリスイアは考えていた。

「むう! 来るぞ!」

「さあ、哀れな人間たちよ。最後の祈りは終わったか? この世の終わりに精々(もが)き苦しむがいい」

ギュロンドノアスがマントを振ると、リオが与えた光のバリアが掻き消された。

「私の光の力が一瞬で…」

「皆! 各自の力で集中攻撃じゃ!」

「オオー!!」

持てる力の限り、ギュロンドノアスに攻撃を浴びせた。

しかしギュロンドノアスに回避され、一向に通じない。

「くそっ、全然手応えがねえな」

「クククッ! どうした? これではお遊びにもならんぞ?」

「どうにか隙を突いて攻撃するしかないな…何か弱点でも見つけられれば…」

薄暗い王座の間で、闇に紛れられるこの立地、こちらに取っては不利な条件だった。ならば…。

「もう降参するか? まあ、それもよかろう。それならばせめて、苦しまずに一思いに殺してやるとしよう」

「ええい!!」

リスイアは剣を振った。しかし、ギュロンドノアスには掠りもしなかった。

「なんだその攻撃は? 当たらねばどんな剣でも無意味だぞ」

「そうかな?」

リスイアがそう言って笑みを浮かべると、ギュロンドノアスに光が差し込んできた。

「グウアアア!! 貴様、何をした!!」

ギュロンドノアスは(もが)き苦しんでいる。

「光?」

「ああ。僕が振った剣から火を放出して、窓の光を遮っていたカーテンを燃やしたんだ」

「そうか!」

だが、霞がかったアダルナピスの陽の光では、ギュロンドノアスにダメージを与えることは難しかった。

「クウッ! おのれー!!!」

「この空の光ではたいしたことないだろうが、これならどうだ!」

リスイアはキレアスの盾を構えて、光の下に立った。

そして、それをギュロンドノアスに向けて光を反射させた。

「クアアアアッ!!」

ギュロンドノアスが溶け出して苦しんでいた。

「凄いわ、リスイア!!」

「やったー!!」

「よし、止めを刺すのじゃ!!」

ザミアとタブルスが剣を抜いて、ギュロンドノアスに斬りかかろうとした。

「貴様ら…許さぬ! 決して許さぬぞ!」

「! タブルス! 一旦、離れるんじゃ!」

「な! うわー!!」

ギュロンドノアスから異臭が漏れ、熱い空気が噴出し、タブルスが飛ばされた。

「タブルス!!」

カナンとアビイが駆け寄る。タブルスは意識を失っていた。

「リオ! タブルスの意識がない! 助けて!!」

「タ、タブルス!! しっかりして!!」

みんながタブルスに駆け寄り、ザミアとリスイアはギュロンドノアスが何やら変化していく姿を見つめていた。

「グギャアアアオオオッー!!」

雄叫びと共に変化したその姿は、巨大な胴体と九つの首を持った大蛇のような化け物になっていた。

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