古き友との対話
司令室を後にしたリスイアたちは、急いで玉座の間に向かっていた。
戦局は少し優勢だが、奴を止めなければまた機械人間アストランたちは動き出すだろう。
機械人間たちにダメージはあっても痛みはないのだから、命令されるままにボロボロになっても戦い続けるのだ。
彼らに感情があるなら、決してこのような戦いは望まないはずだろう。
人間たちが殺戮兵器として作った機械人間に支配される現状は、なんとも皮肉なものだ。
リスイアにとっても弱い者を虐めたり、好き放題に環境を破壊する行為は許せないが、人間全てが悪ではないし、現に今の仲間たちにリスイアは救われているのだ。
間違った方向に進む友を、いや友だからこそ見過ごすことは出来ないのだった。
「ここだ、玉座の間…」
大きな扉の前でリスイアたちは立ち止まった。
「ここにいるのね…」
「これが最後の戦いになるじゃろう。皆ここまで、よく付いてきてくれたのう。有難う。…だが、奴を倒さねばこの世界に未来はない。最後まで気合いを入れて行くのじゃ!」
「オオー!!!」
リスイアたちは気合いを入れ直して扉の向こうを睨みつけた。
「さあ、行くぞ!」
ザミアはゆっくりと大きな扉を開いた。
扉を開けると、暗がりの大広間になっていて、両端に大きな柱と松明の火が照らすシンプルな作りだった。
その奥の方に玉座があり、誰かが座っているように見え、怪しげな声が響く。
「クククッ。ようこそ、我が城へ。貴方方を歓迎致しますよ」
「歓迎じゃと? 笑わせるな!」
「おや、お気に召しませんか? 貴方方の力は大変素晴らしい! 我と共にこの世界を、人間どもを支配しようじゃありませんか!」
「何をふざけたことを! お主一人でも十分、支配出来る力を持っておるじゃろうて」
「クハハハッ! 我の力を良く見抜いておるな。まあ、否定はせぬが、機械人間にも人間にも持ち得ない力を秘めている貴方方に非常に興味を持ちましてね。我に支えるならば、生かしてやらんでもないが、いかがだろうか」
睨み付けるリスイアたちに対して楽しげに眺めながら、ギュロンドノアスは大きな身振りで挑発する。
「お前こそ、こんなこと止めるんだ!」
「そうよ! 人間たちにもいい人間もいるのよ!」
「話し合えばきっと分かり合えます!」
アビイ、カナン、レヴィオが叫ぶ。
「分かり合えるだと? 何を今更…。人間どもが如何に狡猾で卑しい生き物か、お前らも良く知っているだろう? 異質な者を虐げ、弱き者を嬲り殺す、人間とはそういう生き物なのだ」
「違うわよ! 心が弱いからそうなってしまうだけなの! 人間にだってリスイアやタブルスたちのように、優しい人たちもいっぱいいるわ!」
リオが悲痛な思いを叫んで伝えようとする。
「いや、お前らは特別だからだ。普通の人間たちはもう信じられぬ。自分の欲望ばかりでこんな機械人間たちまで作ったのだ。自分たちの手は汚さずに済むしな。いつも辛い思いをしているのは、弱き者たちだ。我がそれを変えてやる! 人間どもを排除し、理想の楽園を作るのだ!」
「…お前の言う楽園とは何だ? それもお前のエゴだろう」
タブルスがギュロンドノアスに厳しく追及する。
「違う! 我の理想郷とは、皆が平等に差別なく暮らせる世界だ! お前らだってそうだろう! それを我が叶えてやると言うのだぞ!」
「それが人間たちを排除することなの? 共に暮らせる道はないの、ノア!」
リスイアもどうか別の選択肢がないかと尋ねる。
「…人間たちは何度も過ちを繰り返す生き物だ。だから根絶する方が世の為なのだよ。リスイア」
「…」
「リスイア。言っても聞かぬ者にはな、分かるまで言い聞かせねばならぬ。例え、拳を交えることになってもな」
「やるしかないんだね…」
「リスイア。俺らで分からせてやらねえと。ちょっと派手な喧嘩になりそうだがな」
タブルスもリスイアに声をかける。
「クククッ。我に勝てるとでも言うのか? お前ら人間たちがいくら束になっても叶わないのだぞ?」
「やってみるしかないじゃない、ねえ?」
「私たちもかなりレベルアップしましたし」
「いっちょ、かましてやろうよ、リスイア!」
「人間たちの底力、見せてあげましょう」
「みんな…」
「なあ、リスイア。兄弟喧嘩もたまには悪くないよな?」
「うむ。間違いを正してやるのも愛情じゃぞ?」
リスイアを囲んでみんなが頷く。
「…ありがとう、みんな。アイツの頭を冷やしてやるから手伝って!」
「うん!」
「オオー!」
「もちろん!」
「当然でしょ!」
「一発、ぶちかまそうぜ!」
「ホッホ! お主ら、いい仲間になったのう。…さて、始めるか!」




