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仲間たちの力

フロロスの森を出たリスイアたちは、仲間たちと合流する為、国境付近の野営地に向かった。

ザミアの革命組織の兵士たちが集まり、大きな天幕の中で会議を開いているところだった。

「兵はどのくらい集まったのだ?」

「七万と五千程になります。周辺国にも援軍要請を致しましたが、皆勝ち目の薄い戦には消極的なようで…」

「くっ! やはり足りぬか…。あの機械人間たちをなんとかせねば…」

「おう。やっとるかね、若者どもよ」

「ザミア司令官!!」

「今、戻った。状況を説明せよ」

「はっ!」


「ねえ、リスイア。この角笛試してみてもいいかな?」

アビイが、大地の神から授かった友愛の角笛を取り出して尋ねる。

「それってさ、いざと言うときに使うアイテムなんじゃないの??」

カナンが口を挟む。

「いざと言う時に使えなかったら問題だろう? よし、試してみようぜ」

タブルスは早く使ってみたくて仕方がない様子だ。

「ま、いいんじゃない? 今は仲間が多いに越したことないんだから」

「じゃあ、いくよー? せーの…」

アビイが思いっきり吹くと、ブオッホホーン! と低い音で辺りに響いた。

しばらく様子を探るが、何も起きた様子がない。

「あれ? 何も起きないね?」

「吹き方が足りねんじゃねーか? どれ、貸してみろよ!」

「ちょっと待って! 何か、こっちに向かって来るわよ!」

アビイの角笛を取り上げようとしたタブルスに、リオが静止させる。

遠くの方からドドドドッと地響きのような音と砂嵐がやってきた。

「なんでしょうか?」

「これは…馬??」

段々と輪郭が浮かんでくると、白い馬と馬車がこちらに向かって走って来るようだ。

「…なんじゃ? 今の音は??」

ザミアと会議中の兵士たちが天幕から出てきた。

「あれ、もしかして…ロフィスじゃない?」

アビイが目を凝らしながら言う。

「ホントだ! ロフィスとうちの馬車だよ!」

ヒヒーン! と声をあげて、ロフィスと馬車は野営地の前で停車した。

「ロフィス!!」

リスイアたちはロフィスと馬車の馬たちに駆け寄った。

ロフィスは懐かしい顔ぶれに再会できて嬉しそうだった。

「どうしてここまで来れたの、ロフィス?」

リオが尋ねると、馬車に乗っていた兵士たちが降りてきた。

「いやー、びっくりしましたよ。いきなり全速力で走り出したもんで」

「おお! 戻ったか! 儂がロフィスたちを迎えに行ってもらったのじゃよ」

「司令官! ただいま到着致しました! 革命軍に参加志望者も一緒に連れて参りました!」

「おお、ご苦労であった。まずは荷を下ろし、状況を報告せよ」

「はっ!」

ザミアと兵士たちは会議の天幕へ、他の者たちもそれぞれ待機所へと移動して行った。


「なんだ、兵士たちが連れてきただけか」

「うん。だけどね、ロフィスはこの角笛の音を聞いて、僕たちが呼んでるって駆けつけてくれたらしいよ」

「それは凄いね!」

「まー、また会えてよかったな。これからも俺たちと一緒に戦おうぜ!」

「ヒヒヒーン!」

「うわっ! わかったから、舐め回さないでくれ!」

タブルスはロフィスに顔を舐められ、みんなは笑顔で囲んでいた。


その夜、見張りの兵士たちを除き、寝静まり返っていた。

リスイアたちも後で状況を聞いたところ、戦力にはまだ差があるようだ。

しかし、これ以上の横暴さには我慢が限界に達していた。

決戦の日は、そう遠くはないだろう。また明日から最終調整をしなければ…。

リスイアは期待を裏切らないように、覚悟を決めて眠りについた。


次の日、兵士たちが訓練を行なっている横の広い場所で、リスイアたちは各自修行に励んでいた。

「ねえ、レヴィオってさ、霧だけじゃなくて雨とかも降らせたり出来るの?」

「雲を集めることができれば多分…ちょっとやってみますね」

リスイアに言われてレヴィオは、集中力を高めて祈り始めた。

灰色の雲が集まってくる。水滴が二、三滴落ちてきた。

「おお! やるね!」

「ですが、今の私ではこれが限界のようですね」

「ねえ、リオもさ、雨が降るように祈願してみて」

「私も? うん、いいけど…」

リオはリスイアに言われた通り、雨が降るように神に祈る。

すると、ぼつぽつだった雨が一気に夕立のようになった。

「うわー、なんだこれ? スゲーな!」

タブルスもずぶ濡れになって驚いている。

「僕ら一人一人の能力はまだ小さくてもさ、もしかしたら相乗効果を引き出せるんじゃないかな?」

「相乗効果??」

「うん。レヴィオの能力にリオの能力を合わせたら、こんな感じになるみたいにさ」

「なるほどな」

「水がないところでもこの雨の水を利用して、タブルスの力も発揮出来るんじゃない?」

「! そうか!」

タブルスは天幕に溜まった水を集めて、空っぽだった飲み水の樽に注いだ。

「おお、流石ですね!」

雨はすぐに止み、雲も晴れていった。

「こういう使い方も出来るんだな!」

タブルスも感心する。

濡れた地面をアビイが風を巻き起こして乾かした。

辺りに僅かに生えていた雑草も青々としている。

「いいなー。みんな、いろんな能力を持っててさー」

カナンが珍しく落ち込んでいた。

「なんだよ、お前もなんかあるだろ。歌とか面白い踊りとか」

「面白いって失礼しちゃうわね! 私の踊りは元気を与えるんだから」

「カナンの能力は、自分自身の為じゃなく、周りの能力を高める力だからね」

「そうよ!」

リスイアが指先から小さな火を出した。そして、近くにあった小枝に点火する。

「これだけだとすぐ消えちゃうけどさ、小枝を集めてこうしてっと…そろそろいいかな。アビイ、少し風を起こして」

「いいよー」

アビイが風を吹き込むと、火は少しづつ広まり出した。

「じゃあ、カナン。この火がもっと燃え盛るように集中してみて」

「わかったわ」

カナンは小さな炎をあげる焚き火を、どんどんと大きくさせてキャンプファイヤーみたいに燃え盛らせた。

「おお!! カナン、こんなこと出来たのか!」

「これ、私が…やったの??」

「そうだよ。カナンの力ってさ、応援したり鼓舞したりすることによって、みんなの力を引き出してくれるんだよ。だから普通の攻撃でもさ、ダメージは二倍になったりするはずなんだ」

リスイアは炎を元に戻しながら、カナンに説明した。

「よく気付いたな、リスイア」

「いろんな本読んでて、もしかしたらって思っただけなんだ。僕ももっともっと頑張って自分の能力を磨くよ」

「そうだな。これで少しは勝機が見えてきたかもな」

「私の力のお陰でしょ?」

「はいはい。カナンは料理の腕も、もっとあげて欲しいもんだな」

「分かったわ。タブルスが死ぬまで私の料理を食べさせてあげるから覚悟しなさいよね!」

「いや、一口で死ぬと思うんだけど…」

「…今すぐアンタを料理してあげるわ!」

「じょ、冗談だから!!」

「私は本気よ! 待ちなさい!!」

逃げるタブルスをカナンは追いかけていく。

「あれは、火に油ですね…」

「いえ、水と油よ。混ざらないわ」

レヴィオとリオは冷静に分析していた。アビイはやれやれといった様子だった。

カナンの力は、戦いの前の緊張感を解す能力もあるようだった。

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