王家の墓
砂漠の国ギュプストイア、その都市のフィメンス。
武装した兵士が集い、住民の一人一人が国を守る国民皆兵の国でもあった。
アダルナピス帝国からの侵略を阻止する為、各国にスパイを潜入させ、また革命軍に参加を呼び掛けて戦力の拡大を続けていた。そして、その組織の司令官がザミアであった。
「司令官! お戻りになられたのですね!」
「ご無事の帰還、お喜び申し上げます。ザミア司令官!」
街を歩く度に声を掛けられるザミア。
「ザミアさんって凄い人気者なんだねっ」
「まあのう」
「それで、神器の場所の心当たりってどこなのよ??」
カナンがザミアに尋ねる。
「この辺りの砂漠には数個の王家の墓があってのう。その中のどれかであると考えとるのじゃが…」
「その中から探さなくちゃいけないのか…」
「うーむ。儂も知識不足なのでの、ちと情報収集が必要じゃわい。この街で皆で手分けしてかき集めて欲しい」
「分かりました。それではいつものように、二人一組で探しましょう」
「儂は本部にちと用があるのでのう、何かあればそちらに連絡するのじゃ」
「分かりました」
みんなは手分けして情報集めに走った。
今回はリスイアとレヴィオ、タブルスとリオ、アビイとカナンがチームになった。
アビイとカナンは、街の住人やこの街にいた動物たちに話を聞いていた。
「ふんふん、へー。なるほどねー」
「で、アビイ、何て言ってたの?」
「この国の王家の墓は全部で六個あるって。なんでもその王族の力を示すために、たくさんの財宝や宝物と一緒に遺体が保管されているらしいよ」
「だけどさー、お墓に入るなんて罰当たりな気がしない?」
「その宝物を狙って盗賊がよく現れるらしいんだけどさ、墓に罠がいっぱい仕掛けられていて、無事に戻れる人はいないんだってさー」
「ちょ、ちょっと! それって、無理なんじゃないの??」
「うーん…仕掛けがどういうものかとかも情報集めないとねー」
「なんか、ヤバい予感しかしないんだけど…」
「じゃあ、タブルスのところに行く?」
「はあ? なんでよ!」
「だって…タブルスに守ってもらいたいんじゃないの??」
「ま、まっさかー! そ、そんなことな、ないわよ!」
「ふーん」
「ほ、ホントに、ち、違うってばー!!」
アビイは疑いの目でカナンを見つめながら、先に歩いて行った。
その頃タブルスとリオは、兵士たちに話を聞いていた。
「なるほど。神器を探していると…」
「ええ。何か心当たりはないかしら??」
「太陽の剣か…それなら、太陽神が祀られている王家の墓が怪しいのではないか?」
「太陽神?」
「ああ。我らの国では太陽神オリヘス様を崇めておるのだが、その神の力が宿る剣がどこかに眠ると聞いたことがあったような」
「それで、その場所ってどこだか分かる?」
タブルスが兵士に尋ねる。
「さあ、どこだったかな。確か言い伝えでは、その場所には太陽を見つめる黄色い花が咲いていると言われていたが…」
「黄色い花ね…ありがとう」
「ああ。くれぐれも気をつけて行けよ」
タブルスとリオは兵士に礼を言って別れた。
「王家の墓で太陽神が祀られているところ、か…」
「そうね…だけど簡単には手に入らなさそうね」
「ああ。そうだな」
そして、リスイアとレヴィオの方は、街の子どもたちが集まっている広場にいた。
「真っ暗闇でカラッカラ〜、お天道様がピッカピカ〜、神の子どもたちが祈ったら、笑顔の雨が降り注ぐ〜」
子どもたちが元気に童歌を歌って遊び回っていた。
「面白い歌だね」
「どこの街も子どもたちは皆、元気が一番ですね」
リスイアとレヴィオは近くで子どもたちを見守っていた老婆に話を聞いた。
「あの歌はのう、昔からこの辺りに伝わる童歌でなあ、太陽の神様へ願った歌なのじゃよ」
「へー、そうなんですか」
「私たちはその、太陽の神様へお願いごとがあるのですが、どこにいらっしゃるのでしょうか?」
リスイアが相槌を打ち、レヴィオは老婆に尋ねる。
「お前さんらはこの辺りの者ではないようじゃが…」
「僕らは司令官のザミアさんの仲間です」
「ああ、そうかね。ならば教えてやらんでもないがな」
「はい。是非お願いします!」
「儂しゃーのう、ちょっと足腰が痛いんでのう。ちと、揉んではくれんかのう」
「分かりました!」
リスイアとレヴィオは肩揉みと足揉みで分かれて、老婆の体中を揉み解した。
「ああ。ええのう。おお、そこじゃ! もっと力を入れんかい!」
「はい!」
しばらく揉み続ける二人。老婆は夢心地を味わっているようだ。
「あの、そろそろ教えては頂けませんか?」
リスイアは遠慮がちに聞いた。
「ふむ。気持ち良かったぞよ。では、ここだけの話じゃが特別に教えてやろう」
「はい!」
リスイアとレヴィオは目を合わせてから、老婆に耳を傾けた。
老婆はヒソヒソと耳打ちした。
「おお! そこに神器が祀られているのですね!」
「うむ。そうじゃ。しかし、そこに行くためには、相当な覚悟がいるじゃろうからの、心して行くのじゃよ」
「ありがとうございます!」
リスイアとレヴィオは老婆にお礼を言って離れた。
「急いでみんなに知らせなきゃ!」
「そうですね!」
みんなはザミアのいる本部の個室に通された。ザミアがやってきたので状況を報告する。
「王家の墓で太陽神が祀られているところにあるという話じゃったな」
「ええ。太陽神オリヘス様というらしいのだけど…」
「侵入者用の罠や仕掛けがいっぱいあるって」
「老婆の話によると、ここから南西の王家の墓ではないかと言っておりました」
リオ、アビイ、レヴィオがそれぞれ集めた情報を伝えた。
「まあ、大体は目星がついてきたかのう。ただ、神器を獲得するには、罠や仕掛けの攻略について考えねばなるまい」
「そうだね…」
「あとは、そこに行ってきた者に話を聞いて対策を考えるとしよう。お主らも時間があれば修練して準備を整えておくのじゃぞ」
「はい!」
それから宿に戻り、各自で自分の能力を高める修練に励んだ。
そして、三日後。
「それでは皆、行くぞ!」
「オオー!!」
リスイアたち一行は、ザミアの兵士たちの案内の元、南西にある王家の墓へと旅立ったのだった。




