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砂漠の街

海亀のケロンドピアスに乗って移動し始めて三日程過ぎた。

リスイアたちは島を探検したり、それぞれ修行に励んだり、思い思いに過ごしていた。

「ちょっとー! みんなー! 陸が見えてきたよー!」

人魚のインセーレが海から上がってきてリスイアたちに呼び掛けた。

「えっ?! ホント??」

この中で一番目が良いアビイが、海の向こうにぼんやりと映る影を見つめた。

「ホントだ!! 陸地だよ!!」

「やったー!!!」

みんなは新しい大陸が見えて、安堵して喜んだ。

「しかし、まだどんな場所か分からぬのじゃ。皆、気を引き締めて、上陸の準備をせよ!」

「はい!!」


リスイアたちは装備を整え、持ち物を確認して待機した。

「もうすぐ、この島ともお別れね…」

カナンが少し寂しそうに言った。

「色々あったけど、本当に助けられたな」

「うん…」

タブルスもリスイアもしんみりする。

陸が近くなり、リスイアたちは人魚と海亀に挨拶しに行った。

「こんな遠くまで送ってくれて、本当にありがとう」

「ありがとな」

みんなは、それぞれインセーレに挨拶した。

「私も貴方たちに会えて嬉しかったわ。これでお役目も終わりね」

インセーレがみんなに向かって告げる。

「これからインセーレと海亀さんはどうするの?」

リオがインセーレに尋ねる。

「そうね…ひとまずは戻ってから考えるわ」

「そっか。他の人魚さんたちと会えるといいね」

アビイがインセーレにそう伝える。

「ねえ、アビイだっけ? 貴方、生き物たちと話せるのよね?」

「うん。そうだよ?」

「もし何か困ったことがあったら、鳥か魚たちに伝えなさい。私で出来ることがあれば協力するから」

「うん! 助かるよ!」

「べ、別に、用事がなくても便りを寄越してもいいのよ? 割と暇だし…」

「うん。そうするよ。インセーレも元気でね!」

「貴方たちも、あんまり無茶するんじゃないわよ!」

「わかったよ! 海亀さんもありがとー!!」

「ありがとー!!!」

みんなで海亀にもお礼を言った。

「さよならー!!!」

「ありがとー!!」

「またねー!!」

そして、リスイアたちは陸地に飛び移り、インセーレと海亀に手を振って別れを告げた。

「さてと、まずは町を見つけて情報を集めるぞよ」

「はい!!」

こうして新大陸での未知の冒険が始まったのだった。


リスイアたち一行は、地形と地図を頼りに砂漠地帯を目指して歩いた。

ここが東の端なら、一日程歩けば街も見えてくるはずだ。

まずは川を探して水分補給する。

川の位置と地図を見て、川沿いを南に下ることにした。

そこから更に半日程歩いたところでやっと街が見えてきた。

「あったよ! 街だ!!」

「やっと見つけたな」

「よし! どんな街か分からぬから皆、油断するでないぞ」

「はい!」


ザミアを先頭にみんなフードを深く被り、危険な街ではないか探る。

街の人は白い布で全身を覆い、街の入り口には武装した兵もいるようだった。

「まずは儂が行く。皆は儂が合図したら来るのじゃ。わかったな?」

「了解です!」

ザミアは旅人を装い、街の入り口へと向かった。

入り口に立っていた兵と何か言葉を交わしているようだった。

ザミアはこちらに振り向き、来いと手招きした。

みんなは固まって警戒しながらザミアの元へと向かった。

「この者たちは儂の連れじゃ」

兵はチラリとリスイアたちを見る。

「お勤めご苦労様です! ザミア御一行様」

「ああ。さあ、皆、参るぞ」

「は、はい…」

ザミアは颯爽と街の中心部に向かって歩いて言った。


リスイアたちは何も分からず、ひとまずザミアに従って歩いて行く。

「あの…ザミアさん、ここは??」

「話は宿に着いてからじゃ」

「は、はい…」

リスイアの問いに素っけなく答えただけのザミアは、街の宿屋に向かった。

ひとまず、宿に落ち着き、みんなは腰を下ろした。


ザミアはみんなが座ったのを見てから、ゆっくりと話し出した。

「皆、聞いてくれ。ここは砂漠の国ギュプストイア、その都市のフィメンス。儂の住んでいた街じゃ」

「ええー?!!!!」

みんな、驚きの声を上げた。

「…本当に、あの地図の東に着いたのですね?」

レヴィオがザミアに問う。

「ああ、そのようじゃな」

「そっか…じゃあ、予想通りの場所に着いたってわけだな」

タブルスが安心した声を漏らす。

「うむ…だが、そうなると、ここは危険じゃ」

「危険って、どういうこと??」

カナンが驚いて尋ねる。

「この街はの、戦を逃れてきた者たちで作った街なのじゃ。そして、今もその戦は続いておる」

「だから、街の入り口に兵士がいたのね」

リオが呟く。

「ああ。そうじゃ。儂の生まれた街はここから北にあったのじゃが、すでに消滅してしまったのじゃ」

「消滅??」

アビイが驚きの声を上げる。

「そうじゃ。完全に跡形も無くな。儂はこの国を救う為、いや、世界を救う為に旅をしながら同士を募っていたのじゃよ」

「なんとなくは聞いてたけど、そうだったのね…」

カナンがみんなを代表して心境を答える。

「この辺りが砂漠化したのもアイツらのせいなのじゃ! そして、この戦火は他の国にも広がっている」

「アイツらって、もしかして…」

「ああ。お主らがいたアダルナピス帝国じゃ!」

一同は静まり返った。

「それって、つまり…」

「タブルスたちの友だちがいるってところ??」

「…」

アビイとリオの予想した通りのようだった。

「奴らは、機械人間たちを利用し、殺戮を繰り返した。そして、人間を奴隷として捕らえ、武器の製造や機械人間たちを量産し続けておる。奴らを止めねば、この世界全てが砂漠化して滅びるだろう」

タブルスもリスイアも何も言えなかった。

その悲劇は、人間たちからの差別と暴虐から始まったのだ。

因果は巡ると言うが、人間による行いが結果、人間を滅ぼすことになるとは…。

「それって、私たちに止められるのかな…」

カナンが言う。

「やらねばならん。やらねば死を待つのみで、誰も報われぬじゃろう」

「しかし、私たちだけでは難しいですよ」

レヴィオも不安げだった。

「儂らだけではない。儂は昔の同僚たちと革命組織を作り、世界各地で同士を集めておるところじゃ」

「それで…勝てる見込みはあるの?」

アビイが尋ねる。

「今のところ、兵力ではまだ到底及ばぬじゃろうな…。もしそれに対抗できる可能性が残されているとすれば、儂らの能力を限界値まで高めること、それと神器による相乗効果ではないかと考えておる」

「なるほど…」

みんな、ザミアの話を聞いて納得する。

「皆、どうか今一度、儂に力を貸してくれぬだろうか? 儂はこの世界で生まれ行く未来ある子供たちに、絶望や怒りを植えつけたくないのじゃ…」

「ザミアさん…」

ザミアはみんなに頭を下げながら懇願する。

「ザミアさん、僕はやるよ!」

「私に出来ることなら是非協力致します!」

「このまま世界が終わるなんて嫌だしねっ」

「皆の力と神様の力を結集したら、恐いものなしよっ」

アビイ、レヴィオ、カナン、リオはそれぞれの思いを伝える。

「ザミア師匠、俺にもっと稽古をつけてくれよ! 俺が必ずアイツを止めてみせるぜ!」

タブルスが強く断言した。

「僕は…僕がノアを止めなくちゃ。人間にも良い人がいるって伝えてやらなくちゃ。こんな悲しいこと止めさせないと、誰も幸せになんかなれないから…」

リスイアも旧友の話を思い出しながら決意を新たにした。

「皆…ありがとう…」

ザミアの目に涙が光った。

「ちょっと、ザミアさん! まだ泣くのは早いわよ!」

「そうですよ! まだ勝てるかも分からないじゃないですか」

ザミアは涙を拭う。

「儂は…今まで自分だけで立ち向かおうとしていた。この身が滅びようとも全てを守る覚悟で…。それでも力が及ばないと知り旅に出たのじゃが…儂にはいつの間にか、こんなにも頼もしい仲間たちが出来たのじゃな…」

「ザミアさん…」

みんなはザミアに次々と抱きついた。

「きっと叶えよう。僕らで世界を変えようよ!!」

「オオー!!!」

リスイアたちは心を一つにして、世界を救う為に戦うことを改めて誓ったのだった。

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