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番外編 其の四 〜人魚を探して三千年〜

はぐれ人魚のインセーレは、海亀のケロンドピアスと共に、人魚の仲間を探していた。

人魚たちは岩場の多いところを好んで住処にしているはずだ。

ということは、どこかの大陸の端や、島が連なる場所などが怪しいだろう。

リスイアたちが残していった地図を見ると、世界の広さに驚いた。

「えー!! こんなに海って広いのねー」

トランティアスの島の辺りしか知らなかったインセーレは、余りにも広い世界に戸惑いを隠せなかった。

「こうなると…どこから探そうかしら…」

インセーレはふと、リスイアたちの話を思い出した。


「トランティアスの辺りで逸れたんだよね? それなら、ここら辺の大きな海流を考えると…」

アビイという少年が呟く。

「東の大陸から流れてきてるようだから、この海流の流れだと少し北の方なんじゃない?」

隣にいたリスイアは、海流が描かれた地図を指差す。

「そうだな。ここから海流に沿って北のどこかに流れて行ったってのが一番妥当だな」

タブルスも賛同した。

「人魚の住処って考えると…岩礁が多いこのネルケより北の端か、離れた島が連なる場所かかしらねー」


ーートランティアスから北東の海岸線沿いか、離れ小島。

「じゃあ、目ぼしいところから順に北へ向かいましょ」


人魚インセーレは海亀ケロンドピアスと共に、北東の海岸線へと向かった。

「目立たないように夜に動きましょう」

人間たちに見つからないように移動する。

ケロンドピアスには遠くの海に潜ってもらって待機するように頼んだ。

「うーん…この辺りじゃないみたい」

インセーレはケロンドピアスのところまで戻ると、別の場所へと移動した。


その頃、人間たちの間では怪奇現象の話が流行っていた。

魚の尾びれを持った人間が海賊を襲った、と。

動く島があるなどと言う話も広がっていた。

きっとリスイアたちと一緒にいた海賊が流したのだろう。

インセーレは、ケロンドピアスの島の上で海岸にいた海鳥や魚たちにそんな話を聞いていた。

「これじゃあ迂闊に近付けないわね…」

インセーレがどうしようかと困っていたところ、イルカの群がやってきて話しかけてきた。

「え? 北の島で人魚を見たの??」

イルカたちはコクンと皆、頷いた。

「そこまで案内してくれる?」

イルカたちは笑ったように口を開けて、北に向かって泳ぎ出した。


イルカたちの先導により、インセーレたちは北へと進んでいた。

少し霧がかかっている。辺りが薄暗く視界が悪くなってくる。

イルカたちの先導がなければ見つけられないような場所に浅瀬があった。

イルカたちは顔を出してキュイーキュイーと鳴き始めた。

「ここ?」

インセーレはケロンドピアスに少し離れて待ってもらい、浅瀬に向かって近付いた。

周りは霧に囲まれて何も見えない。人の気配もないようだった。

「どこ? 誰かいるの??」

とりあえず呼びかけてみたが、誰も答えない。

諦めて戻ろうとした時、微かに綺麗な音の弦鳴楽器の音が聞こえた。

「この竪琴は…」

懐かしい響、美しい調べ。穏やかになだらかに、流れて聞こえてくる音のせせらぎ。

「あら、貴女はもしかして…インセーレ?」

霧が少し晴れて姿を現したのは、岩礁に座って竪琴を奏でる若い女の人魚だった。

「うそ…やだ、もしかして…レネーセ姉さん?!」

インセーレはその人魚に近寄り、その人魚もインセーレの元へと向かった。

「貴女…生きていたの? 間違いなく、インセーレなのよね?」

「そうよ、姉さん! 私よ!」

二人の人魚は手を取り合い、抱きしめ合って再会を喜び合った。

すると、いつの間にかたくさんの男女の人魚が現れ、二人に拍手を送っていた。

「あの大嵐の日、貴女がいなくなったと気付いてから、ずっと探してたのよ!」

「私も、ずっと姉さんやみんなに会いたかった…」

インセーレは感極まって泣き出した。姉のレネーセは、妹の頭を撫でて慰めている。

「一人でさぞ辛かったでしょうね…」

「…ううん。あのね、私、トランティアスの島を守っている海亀のケロンドピアス様と一緒に、みんなが戻ってくるまで待っていたの」

「そうなの! 海亀様はどちらに?」

「人間たちに見つからないよう、近くに潜って待ってるわ」

「それでは、お礼に行かなくちゃね」

「うん!」

人魚たちはケロンドピアスに挨拶へと向かった。


インセーレは、姉や人魚のみんなに今まであった出来事を話した。

リスイアという神の子がやってきて、伝説の盾を渡したことなども伝えた。

「そうだったの…貴女は私たちに代わって、海亀様と一緒に、神の宝を守ってくれていたのね」

「うん…それでね姉さん、彼らホントに凄いのよ! 白髪の剣士は雷を操るし、青髪の少年は水を自在に動かすし。あの子たちならきっと、神の力で世界を変えてくれるわ!」

「そうなのね…人間たちの欲望の渦は、きっと人魚たちの生活にも被害を及ぼすわ。貴女が認めた彼らの為に、私たちが出来ることがあるなら、いつでも力を貸しましょう」

「ありがとう、レネーセ姉さん」

こうして、人魚の仲間を探す旅は終わった。

この人魚との出会いが、リスイアたちにとっても将来重要になることは、リスイアたちはまだ知らないのだった。

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