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町の噂

町の酒場には酒飲みの常連客や商売人、時には海賊など様々な人が混じって酒を酌み交わしている。

裏の情報を集める時には都合が良い場所だった。

ザミアはカウンター席の端で一人、ちびりとやっていた。

海賊たちの話し声が聞こえる。

「…そんでよう、その沈んだ島にはな、お宝が眠っているって話だぜ」

「ホントかよ?! 伝説の盾ってやつがか?」

「ああ。ただなあ、海の底じゃあ、どうにもできねーしよ。それにあの海域には近付かない方が良いぜ」

「ああ。確かここ数ヶ月で何隻も沈められたらしいな」

「ほう。この辺の海にはそんな化け物がおるのか?」

ザミアが海賊たちの会話を聞いて、酒瓶を持って入り込んできた。

「ん? なんだ、じいさん。旅の者かい?」

「うむ。お宝探しが趣味でのう。まあ、酒でも一杯どうじゃ? 詳しく聞かせてくれんかの」

「長生きしたいならやめときな、じいさん。あの場所に行って、戻ってきた者はいねえって話だぜ」

「それは豪儀じゃのう」

ザミアは酒を奢りながら海賊たちから情報を得た。

「これは明日、皆に伝えねばの…」

町の住人などにもこの海の情報や噂話を聞き込みし、宿に着いたのは深夜だった。


次の日の朝、ザミアが目を覚ますと、みんなどこかに出かけているようだった。

「昨日はちと飲み過ぎたかのう」

起き上がりテーブルを見ると、『聞き込みに行ってきます』とリスイアからのメモがあった。

ザミアは水を飲み、窓を開けると陽の光が差し込んできた。

陽の高さを見たところ、昼前くらいだろうか。

「今回ばかりはちょいと、危険かもしれんのう…」


リスイアたちは二人ずつに分かれて、町の人に聞き込みを行っていた。

カナンとタブルス、レヴィオとリオ、そしてリスイアとアビイで組んでいた。

「大丈夫かなー、タブルスのところ」

「大丈夫だって。喧嘩しているように見えてあの二人、意外と仲良いんだよ?」

「えっ? そうなの??」

「フッフッフ。リスイアはまだまだだね」

「え、何が??」

「あ、ほら! 船が見えたよ! 行ってみよー」

「だから、なんなんだよー、もう!」

訳の分からないアビイに引っ張られて、リスイアは漁港に向かった。


漁船が何隻か港に着いていた。

その中の一つは、どこかにぶつけたかのように破損していた。

「どうしたんだろ、あれ…」

「あれはなー、海に出た時にやられただよ」

「やられたって、どういうことなの??」

壊れた漁船を見ていたリスイアとアビイに、漁師が教えてくれた。

「なんだか分かんねーんだけどもよう、綺麗なねーちゃんの歌声が聞こえるなあと船で近づいたらよう、あちこち岩礁にぶつかって壊れちまったのよ」

「歌声??」

「んだ。なんだか誘われてるような声でな。なんとか帰ってきたものの、船はボロボロ、かあちゃんはカンカン、もう踏んだり蹴ったりだったんだー」

「へー」

「おめえさんらも気いつけろよ。海には出んほうがええぞ」

「ああ。ありがとう、おじさん」

二人は漁師に手を振って別れた。

「ねえ、今の話、どう思う? リスイア」

「うーん…海に何があるんだろう」


その頃、リオとレヴィオは町の商店街で聞き込みしていた。

「だからさあ、最近は海に謎の宝島があるとかで海賊たちも増えてるんだよ。だけどね、みんなおかしな事言うんだ。その島は南にあったとか、いやずっと西にあったとかでさあ。一体どうしちゃったんだろうね」

「謎の宝島ですか…」

「それにねー、漁船を出すと海も荒れるし、ある漁師は変な歌声を聞いたとか、怪物が出たとかで魚も取りに行けなくなってきてね。こっちも商売上がったりだよ、まったく!」

「怪物?? 海にはそんな化け物がいるの?」

「さあねえ、地図にもない場所なんて何があるかわかったもんじゃないよ」

魚屋のおばさんも困っているようだった。

「うーむ…リオさん、どうしましょうか」

「一度戻ってみんなと情報整理しましょう」


タブルスとカナンは、浜に停泊中の海賊たちに話を聞いていた。

「それでな、突然、深い霧に覆われたと思ったら…悲しげな女の歌が聞こえてよう。海の真ん中だぞ? あり得ないだろう? 俺は、ブルっと来ちまって気を失ってよ。気がつくと、船はボロボロで周りのみんなも同じだったてよ」

「えー!! 何それ! 超、怖いんだけど」

「女の歌? 誰か遭難して助けて欲しかったんじゃないのか??」

「バカヤロウ! そんなこと、何度もあってたまるか! それに、声だけで姿形は誰も見たことがないんだってよ」

「え…もしかして幽霊とか…?」

「バカ! 幽霊なんていてたまるかよ!!」

「だってさー、他の船の人も同じこと言ってたんだよ。やっぱ、海に何かいるんじゃない?」

「行って確かめねーとな」

「やめとけ、坊主。漁師や海賊やってる俺らでも危険な海なんだぞ? お前らなんか行ったら最後、生きて帰ってこれなくなるぜ」

「ねえ、タブルス。こう言ってるんだし、止めようよ」

「それはみんなの話を聞いてからだな」


宿屋にはザミアが待っていて、じきにみんなも戻ってきた。

ちょうど夕飯の時間帯だったので、いつものように食事を取りながら話を聞くこととなった。

「では、皆の話をまとめると…海に女の歌が聞こえ、船は壊される。怪物が出る。宝の島が沈んでる。などじゃったかのう」

「そうね…ただ、誰も姿を見たって言う人がいないのよね」

ザミアがまとめた話を聞きながら、リオが難しい表情で呟く。

「それで…海に沈んだ島の宝の中に、伝説の盾があるらしいと聞いたのですね?」

レヴィオがザミアに向かって尋ねた。

「儂は海賊たちにそう聞いたのじゃがのう。しかしこれは確実な情報じゃないし、状況を考えると、かなり危険そうじゃしなあ」

「そりゃあ、伝説級の宝だもんな。そう簡単には手に入らねーだろ」

タブルスの意見も最もだった。

「ってことはさあ、その宝物を何かが守ってるっていうのも考えられるんじゃない?」

みんなは一瞬アビイの意見に納得した。

「けど、それで命かけちゃうわけ? 危険じゃない?」

「…」

確かにカナンの言うことも最もだと、みんなは黙ってしまった。

「現状じゃ不確定要素が多すぎるよね。宝の島があるかも、その中に盾があるかも分からないし」

リスイアが考えながら話す。

「確かにのう。もう少し詳細な情報を集めて検討するとしよう。それから対策を考えてみようかの」

「オッケー!」

「そうだな」

「了解しました」

また明日調べることにしたみんなは食事に戻り、賑やかに時を過ごした。

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