逃げてはならない 1
女性の話です。
むかし、ストーキング寸前までいったことがありました。した方ではなくて、された方。
僕も良くなかったのです。今でいうママ活みたいな下賤なコトをしていましたからね。
アルコール依存症者の業でしょうか。
独特の嗅覚、独特の磁力が備わっていた時期が僕にはありました。
甘え上手というのか、表面じゃあシオらしく、至極すまなそうな顔をして。
…しかし、そのじつ積極的に擦り寄っていくと、どこかイビツな母性をもてあました、ひびの入った観音さまみたいな女性の歓心を得てしまうワケなのでした。専門用語では、こうした饐えたナカライをイネイブリングと呼んだりしますが、まあ面倒な話は割愛しておきましょう。
まあ、そんな手管をもちいて、洋子さんをモノにした経緯がありました。
洋子さんは僕より九つ上。はきだめブログに明らかなとおり、僕は隠れロリコンですが、実生活の上では熟女さま属性であり、みょうに童顔のためか年上女性と好相性なのですね。わりと年上ウケするタイプだと思われます。そのあたりがハマって気に入ってくれたものか、洋子さんも存外にサクサク懇ろになった覚えがあります。たがいの膚のなじみも上々でしたね。
…さて、なお少女の聖性については謂わば崇拝のような感覚がありますし、醜悪な欲望の対象とは考えていません。
…笑うでしょうが、宗教心にそれは似るでしょう。触れ得ない天使にはやはり触れるべからず、ただ光輝を目に染ましておけば良いのだと思いますね。ゆえに邪心や衝動に基づいた〈天使破壊〉のごとき犯罪を僕は忌避しています。
さて、脱線しました。本線へ立ち返りましょうかね。
まあ、要するところ、弥縫にしていたのです。会っては、切らず、繋ぎ止めていました。それが焦げつき、不如意になった。腐れ縁でした。
…洋子さんは笑顔のキレイな女性で、まさしく太陽でした。古来、女性は太陽であった…、という文言を彷彿とさせる笑顔の持ち主。また保母さんをしていましたね。善なる職業人、聖職のひとです。
だから、まさか、そんな女性が妖怪に変わり果てるとは。僕自身の罪でそうなったとは言え、予想だにしない仕業でした。人のこころに巣食う蛇のありさまは、しばしば予想を超えて獰悪なのでしょうね。
外面如菩薩、内面如夜叉…。夜も更けてきましたし、太陽が翳り、暗黒に堕ちていった話をしようかと思います。