全豹一班 其の壱
【火竜の巣】を、小10個、中8個、大2個を駆除し、上等竜一匹もついでに駆除。
任務は問題なく完了し、これより帰還する。
・・・と、ハイエース後部の通信機で竜狩りの本部には、そう伝えた。
が、俺達にはまだ心残りがある。
それは川の上流で見た、あの虐殺現場である。
あの時、あの場所で何があったか。
昨日殺った上等竜の言葉がまだ頭に響いてる。
にわかには信じがたい言葉ではある。
『竜人族が生きている』なんて、誰が信じるか。
奴らはとっくの昔に絶滅してるんだ。
あの後俺達は、ハイエースで近場の宿泊施設に泊まった。
夜が明け、日が昇る。日差しと鳥の鳴き声で、目が覚めた。
「起きましたか、剣都」
冬次郎が声をかける。すでに外へ行く準備を進めていた。
「あぁ。やっぱりお前も気になるか。あの死体の山」
「ええ。あれは異常ですよ。気にならないはずがありません」
「だよなぁ」
功牙はまだ寝ている。盛大にいびきをかきながら。
さてと。俺も起きて準備するか・・・
その前に
「おい、起きろ。猿」
と、功牙に言う。
すると、功牙の両耳がピクっと動いた。よし、成功。
「どぅぁぁぁぁれがチンパンジーだってぇぇぇぇぇえええ?????!!!!!」
「起きましたね」
「起きたな。準備しろよ」
「え??あ、おう」
カウンターで料金を払い、外に出てハイエースに乗る。
そして、昨日と同じ場所にハイエースを停め、昨日と同じように降りる。
違うのは、心意気だった。
功牙は水着を着ないし、冬次郎は警戒しまくり。
もちろん俺も周囲を見渡したり異常がないかと思っている。
「・・・さて」
「どこから調べましょうか」
功牙が準備運動を始め、冬次郎はハイエースの後部座席から調査用の道具を取り出している。
どこから調べるかなんて、手がかりは一つしかない。
「まずは上流から。それ以外は調べようにも調べられない」
「了解です」
「えっ!?いきなり現場に行くの?!いやぁー、それはちょっと・・・」
と、功牙が引き気味だが、それ以外だと進展しないし。
「うん。いきなり現場。功牙さてはビビってるなぁ?」
「び、ビビッてねーし!!な、なにを勘違いしてるのかなぁー!?」
「ハイエース前で留守番でもいいんですよ」
「だからビビッてねーって!!!!」
お?ビビッてないか~、じゃあいくしかないなぁ~
「じゃあ行くか」
「ですね」
「え、あっ、ちょっとー?待ってくれなーい?」
とりあえずついた。川の上流。
しかし、昨日見たあの死体の山は跡形も無く、痕跡すらなくなっている。
死体に群がるハエはいないし、うじ虫とかも落ちてない。
少なくとも数時間前には何者かが発見して、回収したか、処分したのかもしれない。
というところまではわかった。だが所詮その程度である。
真相までは程遠い。しかし、好奇心か恐怖心か。気になって仕方がない。
すると、冬次郎がなにかを見つけたようだ。
「二人とも、見てください」
「なんだ?」
「犯人がわかったのか?!」
冬次郎は、岩の上の白い花を指さしている。
「これを。岩の上に花が咲いています」
「・・・へー。で?それが何だっていうんだよ??」
と、功牙は少しテンションが落ちた。
しかし俺は、その花にどことなく違和感を覚えた。
「この花・・・昨日も見たが、妙だな」
「わかりますか?この花は、花であって、花ではありません。この花は・・・」
「“バンディット・シルフィード”」
突然、真後ろから少女の声がした。
その声と共に、殺意とも似て取れる気配を感じた。
本能的に危機を感じた俺は傍に居た冬次郎を押し、
同時に振り向き、ドラゴンヴェインを手に取り、攻撃を受け止めた。
「おいおいおいおい、一体なんなんだよ!!」
少し離れていた功牙が俺に聞いてくる。
それは俺が聞きたいが、冬次郎の安否を確認する。
「無事か?!冬次郎!」
「ええ、なんとか。ですが、その人は・・・・っ!?」
冬次郎が、驚愕の表情を浮かべる。
何事かと思い、目の前の少女を見る。
色合いが鮮明としている灰と赤のシャツ、だぼっとしているズボン。
ここまではまだ良い。だが、なにかと違うのが・・・
白く長い頭髪、ズボンに巻かれている紐の先にある輝く宝石。
紫に近い藍色の瞳に、妙な線が入っているブーツ。
そして、その細腕には見合わない刃渡り120cmほどの巨大な刀。
何よりも、少女の腰の後ろ側には・・・
竜族のような、長い尻尾が生えていた。
「お前は・・・何者だ・・・・・・!」
「シルフィナ・ラーガルフ・R・ルムリン。竜人族」
その言葉を聞き、戦慄した。
少女の目を見て、理解した。
これから自分がどうなるか、容易に想像できた。
彼女の目は、何かを捕まえたかのように、剣都を見つめていたのだ。
私事情により、かなり投稿ペースが落ちます。
ご了承ください。




