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時が鳴りて  作者: オオクマ ケン
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第11章 ザリア島~クルアの港

  第11章  ザリア島~クルアの港



 カシミア王国軍総司令官ゴーガッド・ラスは、潜水艦を浮上させてウール皇国の戦艦バレクシアが爆炎を起こすのを双眼鏡で見た。

「沈めたか?」

「ええ。大勝利です、閣下」

「よし、ルリア様に知らせろ。あの大型戦艦バレクシアを撃沈したと」

「女王もお喜びになりますね。敵の主力兵器を沈めたのですから」

「この潜水艦というものは本当に頼もしい兵器だな」

「ええ。カルアキア島のゾニア大橋へ戻りましょう。あとは艦隊がこの海域を制圧するでしょう」

「これであとは敵の軍港ショーリカスを叩くだけだな」

「はい」

そのまま潜水艦は西へ向かった。


 ザリア島のとある民家。

島民の女性たちによって、気絶していたパーティルは、海水で濡れた服を全部脱がされ、毛布を三枚重ねられてベッドに寝かされていた。

そのまま三日が過ぎた。


 夜、リマは風呂に浸かった。

「ふう」

リマたちはパーティルが起きるのを待った。

「また潜水艦にやられたか・・・。お姉さん、早く起きるといいな」

そう言うと、風呂のお湯を手でパシャパシャする。


 翌日、パーティルは目を覚ました。しかし、起き上がれるようになるまでまた一日を要した。

民家の人がスープを飲ませてくれた。

「もう大丈夫のようだな」

ロザは手持ちキャノンの手入れをしながら、リマに言った。

リマも二刀のダガーの手入れをしている。

「お姉さんが無事で本当に良かったよ」

「艦長やほかの水兵たちは?」

「近くに停泊している駆逐艦にいるらしいよ。半数はやられちまったみたいだけどな。しょうがないよ」

「まあ、な」

「ちゃんとお姉さんをカシミア王国まで連れて行ってやらないとだしな」

「大丈夫だ。パーティルが動けるようになったら駆逐艦がちゃんと俺たちをクルア港に連れて行ってくれる手筈になってるんだ」

「ああ、そうだな」

「しかし、潜水艦か。あんな代物をカシミア王国海軍は持っていやがるんだな」

「俺が言った通りだろ?俺もあれにやられて両親を亡くしたんだ」

「そうだったな」

「そうさ」

「辛いな」

「まあな。でも、仇を討てば楽になるのかな?」

「さあな。俺も同族同士の戦いで家族を亡くした者たちを知っているが、その者たちも敵を討ちために出ていき、そして戻らなかった。それが現実かもな」

「そうか・・・」

「ああ」


 パーティルはベッドを出て、フラフラとだが自分が服を脱がされて裸でいることに気づき、そばに畳まれた自分の下着とワンピースを見つけ、それを身に着けた。

「あら、起き上がれるようになったのね」

民家の中年女性が部屋の中に入ってくる。

「どうも、お世話かけました」

「いいのよ」

パーティルは部屋を見渡した。部屋のあちこちに瓶が置いてあるのに気付いた。

「この部屋は?」

「ああ、この瓶ね。この島で取れるベリー系の果実でジャムを作って、それでこの村は生計を立てているのよ」

「ああ、ジャムですか」

「あとで試食してみてね」

「はい」

「あなたたち、カシミア王国へ行くのよね?お連れの方が仰ってたわ」

「はい、そうです」

「なぜあんな危険な国へ?」

「それは・・・、戦争を終わらせるためです」

「今のこのカシミア王国の侵攻を止めるっていうの?」

「そうです」

「あなたのような若い娘さんがどうやって・・・」

「それは・・・」

「無茶なことはしない方がいいわ」

「無茶でも、このままではカシミア王国がウール皇国まで占領してしまいます。それを止めるのはわたしの使命なんです」

「そんな」

「わたしはこの馬鹿げた戦いを終わらせたいんです」

「それは誰しもの願いなのよ?でも・・・」

「わたしもカシミア王国の王都、トライス城へ着くまで戦わなきゃ。わたしの拳銃はあります?」

「あるわ。でも確かめたら弾は残り五発よ」

「ええ。それでもわたしは行きます、カシミア王国へ!」

「そう・・・、なら止めはしないわ」

「ありがとう」

パーティルがそう言うと、女性は拳銃をパーティルに渡した。

「しっかりね!」

「はい」

力強く返事をするパーティル。


 パーティルたち三人は、ウール皇国の駆逐艦まで行き、ロゴット艦長の元へ来た。

「艦長!」

「おお、パーティル・エバンス!平気か?」

「艦長こそご無事で!」

「わたしもあなたや、あなたの仲間や他の水兵たちと一緒に戦艦から外に投げ出されて泳いで駆逐艦に助けられたんだ。命からがらだったよ」

「でも、戦艦を失いました」

「ああ、戦艦バレクシアを失ったのはとても痛いが、こうして生きてる。わたしは仮にも連合司令官だしな」

「そうでしたね。それで艦長はこれからどうされます?」

「一緒にクルア港に行こう。あなたはそこから旅を続けるといい。ミンガリア島からは飛行船に乗って、西のカルアキア島へ渡り、メンカ共和国へ入るのが得策だ。カルアキア島からはもうカシミア王国の占領下だから、十分気を付けてたびをするんだぞ」

「ええ、わかりました」

「では行こう」

駆逐艦は出航する。


 ミンガリア島・クルアの港。

昼過ぎに駆逐艦は港に着いた。

「着いた着いた!」

リマが先頭に駆逐艦を下りる。続いてパーティルとロザが下りる。

「リマ、そんなにはしゃがないで」

「そうだぞ。あまり目立つな」

リマはパーティルたちの方を見る。

「クルアの街に来たんだぞ。ようやく到着だ。やっとだ」

「ごめんね。わたしが数日も眠っていたから・・・」

「あ、お姉さんのせいじゃないよ。でも、この島の隣はもうメンカ共和国の島だからさ」

「カルアキア島ね」

「そうさ。そこから西のゾニア大橋を渡れば俺の故郷だ」

「大陸ね。その北にある国が・・・」

「カシミア王国だ」

「でも、ここから飛行船でカルアキア島へ渡るとして、その先は?ゾニア大橋はカシミア王国陸軍が制圧してると思うわ」

「ああ。何とかして渡らないと大陸へは行けないよ」

「そうね」

「まぁ、出たとこ勝負だね。別に作戦があるわけじゃないし」

「飛行場へ向かいましょう、ね、ロザさんも」

「ああ」

ロザが返事する。


 カシミア王国・トライス城。

 クチカットがルリアの部屋に入る。

「ルリア様、伝令です。カシミア王国軍司令官ゴーガッド・ラス様が、潜水艦で敵の主力戦艦バレクシアを撃沈したとのことです」

 ルリアはグラスでアップルジュースを飲んでいた。

「そう。それは良かったわ。これでトカレ海峡は我が軍が制圧したも同然ね」

「その通りです。これで輸送船を送り込めますよ。ウール皇国国土に本格的に軍事侵攻できます」

「ではそうして」

「御意!」

ルリアはジュースを飲み終えると、クチカットに命令した。

「さぁ、バスタイムよ。お風呂に入るわ。用意させて」

「ルリア様がいつでも入れますよう、もうすでにお湯を沸かしています」

「ではバスルームへ」

「どうぞ」


 トライス城のルリア専用の風呂は、けっこうな大きさであった。

小さなプールという感じの風呂だった。

「クチカット、あなたはそこにいて」

「えっ?」

「わたしは入浴するから新しい服と下着を持って、そこに立ってていいのよ」

「ルリア様・・・」

「待ってて」

そう言うと、ルリアはドレスのボタンを外す。バサッと足元にドレスが落ち、ルリアは下着だけになった。

ブラを取って、パンティを脱ぎ捨てる。それをクチカットの方に投げた。

「フフッ、わたしが今まで穿いていたパンティよ」

クチカットがヤレヤレと言わんばかりの顔でパンティを拾うと、生温かいルリアの肌のぬくもりをまだ保った感覚が手に伝わる。

クチカットはドキッとした。

これがルリア様のパンティの感触・・・。

裸になったルリアはそのまま風呂に足から入る。

「熱い・・・」

ルリアは腰までをお湯に浸けた。そして十五分ほどそのまま温まる。

「ふぅ。それでクチカット、他に何か面白い話題はないの?」

「は?」

「戦争が順調なのは分かったわ。でも他に戦い以外で有意義な話題はないの?」

「さぁ・・・」

「なければ、わたしはこの濡れた体をあなたに抱きついて拭くことになるわよ」

「な、なんとはしたないことを!」

クチカットは完全にルリアに遊ばれていた。

「そ、それはご勘弁を!」

「わたしの体の感触を味わいたい?」

「いけません、ルリア様!」

「そうよ、いけないことよ。わたしは王女よ。でも王女としてのタブーを犯すことになるわよ。それでもいいの?わたしにそれをさせたい?」

そう言うと、ルリアは風呂から上がり、その濡れた裸体をクチカットに見せた。

ルリアの裸は綺麗だった。彼女はそのままクチカットに近づいていく。

「わ、わかりました。これは噂なんですが・・・」

「何?」

ルリアは立ち止まる。クチカットの目にルリアの体が上から下まで全部、視界に入った。何と美しい王族の女の裸だろう。

「ルリア様、あくまで噂なのですが、誰かはわかりませんが、我がカシミア王国のこのトライス城に向かって旅をしている者たちがいるという話があるのです」

「へぇ、誰だろ?」

「わかりません」

「それは面白いわ」

「そうですか?」

「じゃあ、タオルと服と下着をちょうだい」

「は、はい」

クチカットは慌ててタオルをルリアに渡した。

彼女はどうしてこんな風に育ってしまったのだろう。年頃の女の子なのにこんなではお嫁にも行けない。

クチカットはため息をついた。

「王女、もっと慎んでください」

「はいはい」

ルリアは笑顔で服を着た。



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