母とは/ 終点/ 嘘を飼っている
【詩集】越えるための助走より
2014/11/01 12:19 投稿
タイトルを【】->*/へ変更した他はそのまま。
母とは/
きっと死なないでください
あなたは死なないでください
わたしが分からなくなってしまって
私自身が無くなってしまって
なんだか分からないものばかりが現れたり話しかけたり
一番大好きなあなたさえ分からなくなっても
まだ死なないでください
わたしの息の根が完全に止まってから
きっちりと確認してから
ご自由にしてください
終点/
仕事へ行くために、朝に家を出た
早く歩く
振り返ると、子どもの鮫が遅れている
早く来なさいと、見ていると追いついてきた
鮫と一緒に出来るだけ早く駅へ急ぐ
駅に着くと鮫は悲しそうだ
鮫は電車には乗せてもらえない
改札に入ると鮫はすごすごと引き返す
きっとあの橋の下を流れる川へ戻るのだろう
冷たい流れる水の中で私の帰りを待つのだろう
電車が来た
電車に乗る
人と人と鳩が乗る
さてゆっくりと座ろうか
何しろ片道十年の通勤だ
鳩たちは歩き回る
そのうち足の指が擦り減ってしまって指のないのもいる
もうすぐしたら足も擦り減ってしまって、胴体だけでばさばさ羽を使ってはい回る
それからついには鳩の体が全部擦り減ってしまって
終点だ
嘘を飼っている/
今嘘をついた
そればかりでなく昨日も嘘をついた
毎日嘘をついている
そして
嘘たちは私の心の中に放たれる
嘘は私の心の壁を餌として喰う
それでも私は嘘を飼う
嘘たちの命ある限り飼っている
彼らもまた、私だ
思わぬ色をした
思わぬ形をした
どこかで拾って来た私だ
終点/
我ながら結構気に入ってます。