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かつての言葉たち  作者: 蠍座の黒猫&につき
23/24

待つ

最終更新日

2016年 03月17日 08時30分

サメなんていないさと

ぼくが言ったら

ここにいるよと

小さなサメが答えた


なにをしているのだと聞くと

おとうさんを待っているのだという

片道十年余の通勤だという


それって……

ぼくがいいかけて止めたのは

あまりにサメが明るかったから


寂しすぎて

それでも

その寂しさだけしかないから

明るく振る舞っている


サメは

冷たい川の中で

待っているのだと言った

そこで待つように言われたのだ


そうだったのか

水音が蘇る

ぼくの足裏を浸し

踝を越えて

水かさが増していく


ここも川の中だ

ぼくも待っていたのだ


何本も列車を見送り

何度も青信号を見送った

何回も日が沈んで

何回も冬になった


そうして

鱗が

背びれが

牙が生えてきた


いつの間にか

ぼくは

水のなかから

目蓋のない目で

見上げている


青さをぼかしていく

曖昧な季節に

訪れないはずの

答えの気配がする


さくら色の薄皮を纏った

残酷な髑髏の気配だ

九藤 朋さんに、ご紹介頂いたやつです。

ファンアートも頂いているにも関わらず、自作品に重きを置かないという……。

見つけるのに苦労した。。整理しなければいけませんね。


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