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かつての言葉たち  作者: 蠍座の黒猫&につき
19/24

雷獣/

あらすじより

雷獣の(いざな)い。白の光の中で聞く詩。何ものでもないことを知る。


投稿日

2015年 11月23日 00時14分

すっきりとしていない

曇りのある瞳で

近づいてくる嵐の冷気を見ている


ばっさりと落とせない

重たげな髪の毛は

濡れて重く頬に張り付いている

吹く風に交じる雨粒は

ばらばらと

地面を叩き

わたしを叩く


山の向こうの閃光

遅れてくる太鼓の音

直撃を待っている


あの日

手懐けた

雷獣が

雷を下りてくる

きっと

この辺りに


黒い体毛に覆われ

ぱちぱちと燐光(りんこう)を放つ

青白く光る瞳は小さ目なのに

耳まで裂けた口は大きく

鋭い白銀(しろがね)の歯が並ぶ

丸い耳に短い四肢を持ち

尾は短く

撫でてやれば

かすかに暖かい

猫のようにすり寄り

犬のように鼻を鳴らす


紫の光が近づいてきた

わたしを探している

深い山の中で

独り迷っているわたしを

見つけたなら

迷わず

杉の木を裂いて落ちてくるだろう

燃え上がる轟音で

濡れた地面を震わすだろう


痺れてしまいたいような

鼓動を止めていたいような

森の雨土(あめつち)の匂いに包まれて

待っているのは

畏れでなく

俯瞰(ふかん)するための飛躍(ひやく)

雷を逆流するための軽やかさ


雷獣は

光りを放ち

雲間から射す光のように

わたしを透かす

嘘も

闇も

全て

レントゲンのように

一瞬の光に透かしてしまう


どうしようもなく

放り出された

自由の白の中で

わたしは

聞く

太古より

途切れることなく続く

神々の詩を

まだ誰のものでもない言葉で

聞く

そして誰もが

何ものでもないことを

知る

随分と構えているけれど、動物(空想だけど)が出てくるのはお気に入りです。

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