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2126年 1月20日 7:17 状態:軽度のストレス

生き残るためのマニュアル


睡眠はしっかりと取りましょう。睡眠不足は様々な弊害をもたらします。

寝具が合っていないようなら、倉庫に様々なサイズの寝具を用意しています。

睡眠薬も備えていますが、極力使用は避けて下さい。

珍しく早く目が覚めた俺は、食料庫から今日の朝食を漁っていた。元々6人で生活するはずだったこのシェルターには大量の食料備蓄がある。かなりの間食っていける筈だ。


 山と積まれた缶詰の中から適当に1つを取り出す。その時だった。全ての照明が消え、直ぐに点灯した。それと同時にシェルター内にクリーチャーの叫び声が響き渡る。

 俺は面食らって外へ飛び出し、ベルトに挟んであったPx4を抜いた。遅かった。クリーチャーは目の前で大口を開けていた。俺は為す術もなく押し倒され、首元に噛み付かれた――



「おはようございます。朝です」



 目が覚めた。最低の気分だ。首元に触れてみるが、痛みも出血も無かった。あれは夢だ、最悪の類の。普段は喧しく感じるデバイスの目覚まし機能だが、今日ばかりは感謝せねばなるまい。俺は枕元で充電コードに接続されたまま、無機質な声を繰り返すデバイスを黙らせた。


 このシェルターにクリーチャーが侵入する事は有り得ない――未だ激しい動悸を続ける自分の体にそう言い聞かせる。


 シェルターは最先端技術の結晶だ。今俺が居るリビングに、武器類を保管する武器庫。食料を保存する食料庫。バスルーム。自動医療システムを導入した医務室。6人分の個室、倉庫。全体の電流を賄うリアクター室。それらを守る2つのエアロックと汚染除去シャワー。それら全てが戦前の最新技術だ。


 2つのエアロックは網膜認証でしか開けられないし、そもそもここはマンホールに偽装されているのだ。もし何らかの存在が――大抵クリーチャーだろうが――エアロックを突破しても、汚染除去シャワーが待っている。

 汚染除去シャワーはシェルター住居者以外を“汚染源”と見なしている。もし汚染源が侵入すれば、即座に前後のドアを封鎖。速やかに内部を二酸化炭素で満たし、汚染源を窒息死させる。死体は通常の汚染除去プロセスに則ってクリーンにされ、死体を処分するのは俺の仕事だ。


 ひとしきり自分を安心させた俺は、今日予定していた仕事を行う事にした。昨日シェルターを整理していると、小型の無線機とフレアガンを発見した――備品を管理できていないのはどうかと思うが、目録は1700ページもあるんだ。

 今日からそれを使い、シェルターの目の前にある6階建てビルの屋上から生存者探しをする事にした。午後3時に放送とフレアを打ち上げるつもりだ。だが、その前段階として、ビルに巣くっているであろうクリーチャーの掃討を行わなければならない。


 タイムリミットは日が沈むまでだ。夜になるとクリーチャーがどんな振る舞いをするか気にはなるが、自分で実験する気は無い。


 俺は朝食を手早く摂り、装備を整えてシェルターを後にした。


 

 

 

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