7話 大きい物事よりほんの些細な事の方がストレスは溜まる
全話の袋の中身に食料を追加しておきました
あと手紙に蛇足を付け足しました
歩き始めて数時間後・・・・・
「クッソ、死ね、滅びろ!」
などと大声を上げて俺は戦っていた。
もちろん戦っている相手はゴブリンだとかウルフだとかといった魔物ではない
腰の高さまである草である
こいつら歩くたびに草と草が絡み合い俺の行く手を阻むのである。さらには草で見えない足下はぬかるんでいたり、草の輪があったりと正に天然のブービートラップを仕掛けられているようであった。
無論俺はただ歩くだけではなく刀の鞘で草を倒しながら歩くのだが、予想以上に草の絡みが邪魔なのだ。
もちろん刀を使って草を切ればいいと思うのだが、異世界に来て初めて使う刀の用途が草刈りとなると過去の話になれば笑い事で済むかもしれないが、現状で使うことは何故か糞神に負けた気がして俺のプライドが許さないのである。
俺が草と戦っていると、バッタの様な生き物がぴょんぴょんと草と草とを飛び跳ねながら俺を追い抜いてゆく
「くそっあんな小さな昆虫にも抜かれるくらい遅いのかよ・・・・・・」
と落ち込んでいるとあることを思いついた。
『歩くのがダメならあのバッタのように飛び跳ねればいいじゃないか』と
早速俺は飛び跳ねるように地面を蹴る
「ぶへっ」
と俺は草むらの中に勢いよく倒れ込んだ
どうやら足に草が絡んでいたようである
「ここでも邪魔するのかよしね!死ね!死ね!根ごと滅んじまえ!」
俺は無意識に足に魔力を集め地団駄を踏んでいた
ふと気づくと、俺の足下の半径1mほどが何故か草の無い土が剥き出しの状態になっていた。
「なんだよ・・・・なんで草無くなってるんだよ・・・・」
俺はとりあえずこの草が無くなった原因を考えてみる
俺が死ねとか言いながら足で地団駄を踏んだら草が無くなった
とりあえずキーは「死ね」か「足踏みをする」だな
草の所まで移動すると俺は
「死ね、死ね、毛根滅びろ!」
と草に向かって言うが反応が無い
急に冷静になって考えると草に向かって死ねとか言ってる奴って傍からから見たらただの危ない奴だよな・・・・
とりあえず俺は何事も無かったかのように次ぎの足踏みに移る
「とりあえず何もせずに足踏みをしてみるか」
ぼふっ!ぼふっ!ぼふ!
なんだかふぬけた音がするが足下に変化は無い
「変化なしっと。せっかくなので俺は新しく手に入れた魔力を込めてやってみるか」
ぼふっ!・・・がさがさっ
「ん?」
なにか足に絡まったみたいだ
無理矢理足を上げもう一度踏んでみる
ぼふっ
がさがさっ
足を上げずに足下を確認してみると何故か草が俺の足下に絡んでいる
「なんぞこれ・・・・なんで足に草が絡んでいるんだ?さっきと違うところは魔力だよな。ということは魔力に反応して草が動くということか・・・?
試しに魔力を腕に集め草に近づけると
草はまるで触手の様にうねらせながら俺の腕に絡み、他の草と絡み俺の腕を離さないようになっている
うん、すごく気持ち悪い。アレがぬめぬめしていたら完全に触手だわ。30歳くらいのおっさんが触手に絡まれるとか完全に誰得だってんだよ
そんなことはさておき、これでこの草の動く条件の一つは判ったわけだが、俺が知りたいのはこの草を離す方法である。とりあえず判った事をまとめると
草は魔力に反応して絡んでくる
魔力が無い場合は特に絡むことは無い
言葉には反応しない
この3つである。肝心の草が離れる条件は未だに不明である
ここであることに気づいた
あの時はマジで滅びろと思いながらやってたよな
ということは俺の気持ちの入り方次第で変わるのか?
ちょっと試してみるか
一番気持ちが乗りそうなのはもちろんあの糞神の事だよな
(死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、)
と腕に魔力を溜ながら思っていると
俺の腕に絡んでいた草がどんどん俺の腕から離れてゆく
「お、これ当たりを引いたみたいだな」
ということは飛ぶ直前もしくは着地の時にこの思いを乗せて足に魔力を纏わせれば上手くいける。もしくは纏わせたまま走れば道は勝手にできるわけか
さて草の考察に時間を少しばかりとられたし少し飛ばして村か町に向かいますかね
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魔物図鑑
草(種類が多いためまとめれている)
長年魔力を浴びる、もしくは強力な魔力を一気に浴びるとただの植物から魔植物へと変化する
通常であれば長年の年月が必要であるが、反対側の森よりあふれ出た魔力によって魔植物へと変化した。普段は光合成や土の中からの養分で育っているが魔力を内包する生き物の魔力に反応し絡め取るように移動を妨害し動けなくしたところに根を移動させて魔力を吸い上げ成長する
ただし、戦闘力は無く嫌がらせ程度しかできないが、弱った動物や死骸から吸い上げることが主である。
戦闘力評価:評価不能(弱すぎるため)