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11話 やはり中世というか異世界は命の価値が低い

集落を少し離れた木陰で少年を下ろすと少年は口を膨らまし四つん這いになると


「おえぇえええっ」


ものすごい勢いで嘔吐する。


こちらにまで酸っぱい胃酸のにおいが漂ってくる


胃の中の物がなくなってもなお胃液を吐き出している


オークの死体を、いや家族を殺されるのを目の前で見たショックが今来のだろうか。


どちらで吐いているかは判らないが、ショックを受けたことには違いない


しばらくはき続けると落ち着いたのかこちらにやってくる


腰に付けた小袋から水の入った袋を出すと少年に投げ渡す


「吐いて気持ち悪いだろ、水でも飲んでおけ」


「ありがとう・・・」


そう少年は消える様な声で答え水を一気に飲む


一気に飲んだためか口の横から水が漏れ出ている


勢いよく飲んでるな。あの飲み方だと全部飲んでしまうと少し後悔したものの、折角助けた命だ、それにまだ予備はあると割り切ることにした。


予備の水を飲もうと袋をとろうとすると持っていたはずの大きめの袋が無い。


そして今までの行動を振り返る、村に入る前の離れた民家の時にはまだ持っていたな

村に入ったときにも持っていたぞ。


少年を助けるときは・・・無我夢中で走り出した・・・・そういえば吐いたときに袋置いてたな・・・


俺一人であれば気合いを入れて走れば問題無いが、少年を連れてだと食料は必要だ。


それにあの袋には着替えや地図を入れている。今後別の街で地図を手に入れることはできるかもしれないが、高性能の地図を易々と手放すわけにもいかないな。

と考えていると


「お兄ちゃんありがとう」


と少年が皮袋をこちらに差し出してきた


「少年よ無事出よかったな」


と頭をわさわさとかき回す


なんだか気持ちよさそうに目を細めている


少年に村の事を思い出させるのは酷かと思ったが、オークがここに居る理由などを聞かないことには今後の方針を決める指針になるはずであると少年に話しかける


「ところで、なんでオークがこんなに居るんだ?」


「オーク?」


と少年は首をかしげた。


オークがわから無いのかと思い


「あの豚の様な魔物のことだ」


と返すと少年は勢いよく


「オーク様とあのような魔物を同列にしないでくださいっ!」


と勢い良く怒鳴られてしまった


「ああ、すまん。俺遠くの山の中の村から来たからよくわからないんだ。教えてくれないか?」


と異世界転生ではありきたりな返答をする


「僕が神父様から聞いた話でいい?」


と少年は少し心配そうに聞いてきた


「もちろんそれで構わないから教えてくれないか」


「わかった、それじゃぁ話すね


昔サルプスボルグ大陸は神様と魔王が争いをするために神が造られました。

殺し合う神様と悪魔の血や肉からやがて命が生まれ、神様の肉からは人が、血からは精霊が生まれました。悪魔の肉からは獣人などの亜人が、血からは魔族が生まれました。

しかし、このままサルプスボルグ大陸で殺し合いをしてしまうとこの大陸に生まれた命はきえてしまうと思った神様は新しく別の大陸を作りそこで魔王と争うことにしました

そして、神様はこちらの大陸へ来れないように魔法でサルプスボルグをつつみ、死んだ者の魂は神の楽園へ逝くようにしました。

ところが、魔王は元々は神と魔王の血肉であり、その魂が神様の元へ行っては自分は弱くなり、神が強くなってしまうと考え、その魂を自分の手駒とするために死者の魂を奪う為の悪魔を造りました。そしてそれに対抗するために神様も使徒を作り、楽園に見合うより素晴らしい魂を見つけるように指示をだしました。

それから何千年もの間に神様と魔王はどこかへ消えてしまいましたが、いい人は楽園へ、悪い人は魔物になってしまいます。なので友達をいじめたり、嘘をついたりすると魔物になるからしてはいけませんよ?


だったかな?


それで、その楽園へ連れて行ってくれる使徒がオーク様なんだ。だから悪者のあの魔物とオーク様を一緒にしたら魔物になっちゃうよ」


「そうだったのか、一緒にしちゃってごめんね」


確か、地球でもオークは魔物だとか色々な諸説があったな。


まさかwiki知識巡りをしていたときの無駄な知識がこんな所にあるとは。やはりこちらに来た奴らが広めたのかもしれないな。


日本人ならほぼ魔物に分類するだろうからもしかしたらイギリスだとかのヨーロッパ系の人が来ていたのかもしれない。


それはともかく、袋を取りに行かないといけない。


ただ、取りに行った場合魔物に見つかり、戦う事になることになるだろう。


食べ物だけであれば問題はないのだが、ここで高性能の地図を失うのは痛い


さっきの魔物を斬ったときはかなりの身体能力や技量であれば十分にやり合えるはずである。


「それにしてもお兄ちゃん強いね。村に来ていたジプシーなんて3人がかりでやっと一匹倒すので精一杯だったのにあんなに簡単にやっつけるなんて」


考え事の途中で話しかけられ、少し驚いたが、


「そんなにあの魔物は強いのか?」

「そりゃ強いよ。ベテランじゃないけど、この周りの魔物位は簡単に倒せるジプシーが3人がかりでやっと倒せる魔物なんだよ。強いにきまってるじゃん。それよりこの後はどうするの?」


「ああー俺の荷物が村の中に置いてあるから取りに行くつもりだけど、もし余裕があれば両親の遺品少しくらいは持ってくるぞ」


と俺が言うと少年はうつむきすり切れるような声で


「・・・・おやはいないよ・・・・」


とつぶやく


「わりぃ変なこときいちまったな」


「ううん、いいんだ。居ないのは事実だし、今回の事があったなら速いか遅いだけの違いだったから」


歳の割にはかなり達観している。


やはり異世界では命は軽いのだろうか。


「俺は荷物を取りに行くからしばらくこの辺りで隠れておけ、夕方になっても戻ってこなかったら安全な所で朝まで待って隣の村か町まで逃げてこの事を伝えてくれ」


そう言い残し、少し不安な表情の少年を置いて村に向かうのであった。


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