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オニ太郎、見合いをする

 じさまのすすめで見合いをすることになったオニ太郎じゃったが…

 相手は、それはそれは美しいおなごじゃった。

 名を“サヤ”というた。


「あんなべっぴんさん、オニ太郎にはもったいねえ」などという声も聞かれたもんじゃ。

 なにしろ、オニ太郎の方は天下に聞こえたブ男じゃ。体の方はたいそう立派じゃったが、顔の方はそうではない。お世辞にも“イケメン”というにはほど遠い。誰がどう見ても、醜悪しゅうあくな顔をしておる。

 そんなじゃったから、普通のおなごは敬遠した。

「よう働くし、体は立派じゃし、申し分ないんじゃが。どうにも顔の方がねぇ…」

 そう言って、恋愛対象から外してしまうおなごばかりじゃった。

 オニ太郎は、“友達にするにはええけど、恋人にはちょっと…”というタイプじゃったのじゃ。


 じゃが、今回の見合い相手サヤは違っておった。

 見た目だけじゃのうて、心も美しいおなごじゃった。じゃから、一発でオニ太郎のことを気に入ってくれた。

「こんな理想的な男の人には、生まれて初めて出会いましたよ」とまで言うてくれた。

 そうして、トントン拍子に話は進んでいったのじゃ。


         *


 所帯を持ったオニ太郎は、以前にも増してバリバリと働くようになった。

「じさまとわしだけじゃねえ。嫁っ子のサヤの分もかせがにゃあならん。わしが働かんでどうする?」

 そんな風に意気込んだ。

 じゃが、そんな心配は不要じゃった。サヤはサヤで、それはそれはよう働くおなごじゃったからじゃ。反物たんものを織り、裁縫をし、できあがった衣服を街へと売りにいった。

 サヤの作る服は評判がよく、よう売れた。そうして、ちょっとした金をたくわえることもできるようにもなった。


 オニ太郎とサヤとじさまは、幸せに暮らした。普通の話なら、ここでおしまいじゃ。

 “めでたしめでたし。3人は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ”と、しめくくる部分。じゃが、今回は違っておった。


 ある日、いつものようにサヤが街まで自分の作った服を売りに出かけた時のことじゃった。

 オニ太郎とじさまが、いつまで待っても帰ってこん。

「どうしたんじゃろうか?サヤの奴、えろう遅いのう。やっぱり、わしが街まで売りに行きゃあよかった」

「そうは言うても、オニ太郎。お前は力仕事が得意じゃ。畑を耕したり、山で木を切ってきて運んだり、そういう方が向いておる。人には“向き不向き”というものがあるもんじゃ。お前はお前の向いておるコトに力をそそげばええ」

 じさまは、そう言うてフォローしてくれた。

「…にしても、遅いのう。さすがに心配じゃ。わしゃ、ちょっと見に行ってくるわ」

 そう言うて、オニ太郎は家を飛び出していった。

 村境むらざかいまで行ったが、サヤの姿はどこにもねえ。街の方へと道を歩いて行くが、どこにもおらん。ついに、道を進んで進んで、サヤが衣服を売りに行った隣の街までたどりついてしもうた。


 そこでオニ太郎は、驚愕きょうがくの事実を知る。

「おう、オニ太郎か!大変なことになったぞ!」と、顔見知りの商人が声をかけたきた。

「どがいしたんじゃ?」と、オニ太郎がたずねると、すぐに答は返ってきた。

「おまえさんの女房のサヤな。ありゃあ、もうあきらめた方がええ」

「あきらめる?どういうことじゃ?」

「サヤはのう、殿様とのさま見初みそめられて連れていかれてしもうた…」

 それを聞いたオニ太郎は驚き、激怒した!まさに鬼のごとく!

「連れていかれたとは、どういうことじゃ!」

「そりゃあ、殿様のめかけになるいうことよ。じゃけえ、お前のもとにはもう戻ってはこん。あきらめんさい」

 そうは言われても、あきらめきれるもんじゃあない。

 世間知らずのオニ太郎のことじゃ、殿様の恐ろしさなんぞ知るはずもない。殿様の住む城の場所を聞くと、そのままドッドド、ドッドド物凄い勢いでかけていってしもうた。

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