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平賀源内マイナス3世

 平賀源内《ひらがげんない》マイナス3世は、予言者じゃった。

 じゃけえ、これから起こることをある程度予測できた。


「これから、わしは子を作る。その後《ご》、何代もその血は受け継がれてゆくじゃろう。わしの後に、平賀源内マイナス2世、マイナス1世、0世と続き、ようやく平賀源内1世が誕生する。そいつが、どえりゃあ発明をする。周りの人間たちを巻き込んで、人々を混乱の渦に巻きこんだり、楽しませたりしながら、おもしろおかしく暮らすじゃろう。じゃけえ、わしは平賀源内マイナス3世じゃ」

 と、よくこのように語っておった。


 この地にやって来たオニ太郎に対しても、同じように語ってみせた。

「ほほう、こいつはおもろい奴じゃのう」と、オニ太郎は平賀源内マイナス3世に興味を持った。

「ほんで、お前さんには何ができるんじゃ?」と、オニ太郎はたずねる。

 すると、平賀源内マイナス3世は、こう答える。

「わしは、なんもできん。ただ、こうやって寝転がって未来を予測するだけじゃ。ボ~ッと空想にふけっておったら見えてくるのよ。遙《はる》か先の未来がな」

「なんじゃ、そんなもんか」とオニ太郎はあきれてしもうた。


 けんど、話はここで終わらんかった。

「お前さんも、なんかやってみい!きっと、なんかできるはずじゃ。お前さんにはお前さんの人生がある。お前さんにしかできん何かがある。それを見つけるんじゃ!」

 オニ太郎にそう言われた平賀源内マイナス3世じゃったが、この時は全く聞く耳を持たんかった。

「わしには、そんなものはあらせん。ただ、先の世界を空想して生きるだけじゃ。そうして、時が来たら子を作り、あとは死ぬだけじゃ」

 そう言うて、また床の上にゴロ~ンと寝転がってしもうた。

 今度こそ、ほんとにあきれたオニ太郎は、その場を去ることにした。じゃが、後《のち》に、この2人は強力なタッグを組んで、一大事業を成し遂げることとなる。けんど、それは、また後のお話じゃ。


         *


 仕方のう、旅を続けるオニ太郎。

 次に出会《でお》うたのは天狗《てんぐ》じゃった。


 天狗はひとり寂しく山ん中で暮らしておったもんじゃけえ、オニ太郎が修業のために山にこもると、喜び勇《いさ》んで飛んできた。

 そうして、天狗はオニ太郎に剣の修業をつけてやった。

「やあやあ、我こそは、この輪牛山《わぎゅうやま》に住まう天狗様よ!誰の許可を得て、この山の敷地内へと立ち入った?」

 天狗はそう叫ぶと、颯爽《さっそう》とオニ太郎の前へ飛び出した。

 オニ太郎は、手にした貝殻の棍棒で応戦する。天狗が持っておるのは木刀じゃ。

 木刀と棍棒が10度ぶつかり合ったが、勝負がつかん。さらに20度ぶつかりあったが、やはり勝負がつかん。さらにさらに30度ぶつかり合い、それでも一向に勝負はつきそうにない。

 ここで天狗は本気を出す。

「ほうほう、なかなかやるもんじゃ。じゃが、これじゃとどうかな?」

 そう言うて、天狗は背中の翼をバッと広げた。そうして、宙を舞いながら、オニ太郎へと攻撃を繰り出してきた。

 これには、さすがのオニ太郎も参ってしもうた。何度も何度も空中から木刀でぶたれたもんじゃけえ、「たまらん!これはたまらん!ここは一時退却じゃ」そう言うて、オニ太郎はトットコかけて逃げ出したのじゃった。

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