巨大化
巨大化した虫が襲って来たら凄い恐いですね。
そいつらが知恵付いてたら尚更。
(人)
「今日夕方頃、北海道の大沼湖畔の森で2m程に巨大化したセミの鳴き声を聞いた近くにいた人12名の鼓膜が破れる事件が発生しました。セミは害虫駆除の業者が駆除したとの事です」
藤本は大阪の実家からこのニュースを観ていた。チョコレート工場をクビになったばかりのニートなので人の不幸を若干喜んでた。
TVに向かって
「近づくからそうなるんや」と文句を言った。
友人は皆パチンコ屋やヘルパー、看護師、警察などちゃんと正社員として働いてる中で自分が情けなかった。
母親からも
「派遣ばっかやってたらあかんで。あんたもう26やねんからしっかりしな。社会福祉主事の資格持ってんねんからそっち方面に就活しぃや」
と注意されたり、また不機嫌な時には
「産まんかったらよかった」
「子育て失敗した」
と罵られた。
そんな母親が文句を言うもんだからハローワークに行く事にした。
新卒ん時に内定取り消された身にもなってくれよ。それも2社。そっからやる気が一気になくなった。
それは周りから見たら言い訳らしいけど『内定取れた喜び』→『がっかり』が2度続くとヘコむ。
文句を言いながらもハローワークに行った。26歳でハローワークカードを作るわけだが、まぁ、人が多い。おっさんがほとんどだ。
34歳までは若年者コーナーって窓口で相談なり面接の手配をしてもらうので34歳までに正社員なれたらいいじゃんとお気楽に考えてしまうも甘くないのである。
社会福祉主事任用資格と言う唯一の武器を背に行くも
「経験者がほしい」
の一言で封殺されるのである。
自動車免許(MT)も持ってたがペーパーなので武器にはならない。ゴールド免許だが乗ってないだけだ。
しかも15回も補習入った身だ(エンストばっかして教官を呆れさせて教習所が嫌いになり車も苦手になった)
結局求人票の条件が「特になし」でも
「経験者がほしい」
で封殺された。求人票に書いとけ。後、たくさん来るんだから窓口の人増やせばいいのに、これも市長の経費削減なのだろうか。
職員が少ない。そんな政府批判をしながらゲーセンで麻雀して帰るのである。家に帰ると母親が当然
「どうやった?」
と聞いてくるので
「経験者がほしいんやってさ」
と返すとがっかりするのである。
「妹は派遣から正社員なれたのにあんたはすぐクビになったね」
と嫌味を言われた。入った初日から周りの人に
「君が一番パソコン打つの早いね」
って言われてたらしいので妹が正社員なるのは予想出来た。
夜のニュースで、また北海道に巨大化したセミが現れたと言ってる。
「森や山の中に入らないでください」
女子アナが注意してた。
自衛隊を派遣して調査するらしい。それを一緒に観ていた母親が
「自衛隊になったら」
と冗談半分で言ってきたが
「騎手か競艇選手みたいな体型の奴に酷やろ」
と返した。
(虫)
チャンスは急にやってきた。なぜか大きくなった。人の鼓膜を破れるくらい大きくなった。これはセミだけの話じゃない。蚊、ハチ、クモ、カマキリなんかも2m程のでかさになってると聞く。けど、人間の前に出たのは今の所セミだけだ。
人間があまりに地球を大事にしなかった。だからでかくなれたのか。とりあえず、セミが鼓膜を破れる音を出せる事は判明した。戦ったら勝てるかもしれない。
人間との決戦ですよ。
僕らはもう弱くない。ビビらせれるかもしれない。
しかし、弱点もあった。ディフェンスが弱いのだ。
セミが害虫駆除業者にやられた用に、でかくて攻撃力はあるけど、殺虫剤には滅法弱いのである。
人間側もバカじゃないから、すぐ弱点に気付くだろう。攻撃は最大の防御で先制かますか。
最初巨大化した我々の姿を見たら人間はビビるだろう。一般人を倒すより自衛隊を倒した方が意味があるのか。いや、とりあえず、ここに来た連中を倒そうじゃないか。
女王蜂は巣の中で色々考えるのである。
ハチにしろ蚊にしろ繁殖力は人間以上だからこちら側の人数を増やそうじゃないか。
交尾を積極的にするように伝えよう。何年かした時に巨大化した虫の方が数が多くなった時に我々は勝てるはずだ。
蚊の血を吸う量が致死量を超えるのであれば向こう側の防御力もこっちと変わらない。一発食らったら終わりだ。
我々ハチだって昔のでかさで2回刺されたらダメらしいので巨大化した今なら一発刺せば殺せるはずだ。
とりあえず、他の昆虫連中に
「交尾を積極的にするよう伝えて来て」と働き蜂達に命じた。
働き蜂は蚊にその要件を伝えた。
「~と言う事で人間との長期的な戦いになった時に数が多い方がいいからお願いします。他の蚊の連中にも伝えてください」
「人間と戦う日が来るとは思わなかった。面白いかもね。」
「俺たちも殺虫剤ですぐやられるけど、大きくなったから条件は一緒。君らが致死量の血を吸ってくれたら奴らも一発で死ぬ。俺らがブスッと刺しても一発で死ぬ」
「けど、待てよ。完全防御されたらどうするんだ?」
「えっ?」
「蜂蜜業者の人がしてるような服装とかガスマスクとかされて来られたらどうするんだ。我々はそんな防具身に着けれないよ」
「それをも貫通するくらいの針の強さがあればいけるはずです。こればっかりはやってみないと分からない」
「う~ん。勝てるんかね。防御力向こうのが上やと思いますけど」
「こっちは数で攻める。繁殖力を活かして・・・」
「だから交尾しろって言ってるんでしょ。長期的な戦い見据えてるけど、俺は短期決着のが良いと思うよ。あっち側に防具とか開発される前に倒した方がいい」
「女王に伝えときます」
別の働き蜂はクモに伝えに言った。
「~と言う事で人間との長期的な戦いになった時に数多い方がいいからお願いします。他のクモの連中にも伝えてください」
「確かに俺ら繁殖力はすごいけど、勝てるの?」
「あなたたちには罠を張る能力がある。それはすごい戦力になるから力になってほしい」
「けど、向こうだってバカじゃないから対応されるんじゃ・・・」
「向こうの環境破壊とかで巨大化出来たようなもんですよ。このチャンスは活かしたい」
「けどねぇ。人間よりやっぱり俺たちは弱いんじゃ。向こうの殺虫剤の種類とか見ても開発力が半端ない」
「何もしないんなら巨大化が活かせない。人間のミスで出来たような物なのに」
「勝てると思う?」
「僕は勝てると思います」
ハチは自信満々だ。女王に胸を張れとでも言われてるのか。
「俺ら別に人間倒さんでも生きてけるしなぁ」
「このままじゃ地球をダメにされる。人間を倒して地球をまた青くしましょうよ。そのためにクモの戦力は必要なんですよ」
「まぁ、仲間には伝えとくよ」
クモはあまり乗り気じゃなさそうだ。
こうして色々と交渉に周った結果、他の昆虫はビビってるので我々とセミで先陣を切る事になった。
セミは乗り気だった。1週間の命と決まってるのでやれる事はやりたいらしい。
27歳の時に書きました。




