第1話「ウェスタンガールズ参上!!」
第1話「ウェスタンガールズ参上!!」
とある夕暮れ時の商店街。行き交う人混みの中をショートヘアの一人の女子高生が歩いている。
少女の名は「西部 紅莉」。この物語の主人公だ。
アカリは、学校帰りに夕飯の食材を買って自宅へと帰る途中であった。
「何とかタイムセールに間に合ってよかった〜。下手に高い物買うとアオ姉に叱られちゃうからね。」
アカリはホッと胸を撫で下ろしながら、今日の晩御飯は何にしようかとウキウキしながら歩いていた。
ここで簡単に家族構成を説明しておこう。アカリは西武家の三姉妹の次女であり
長女の「西武 蒼泉」と三女の「西武 黄依」の三人で生活している。
両親は現在、仕事の関係で海外で生活しており、家事等は三姉妹で協力しながら微笑ましく生活している状況なのだ。
「キヨも今日は早く帰ってくるって言ってたし。急がなくっちゃ!・・・あれ?」
少し急ぎ足で帰ろうと思った矢先、突然、パトカーのサイレンが聞こえてくる。
そして、アカリのすぐ横を通り過ぎていってしまった。
「あの先は確か、この町で一番大きな銀行があったはず。。」
家の方角とは逆方向だが、気になったアカリはパトカーを追って走り出していた。
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「がーっはっはっはっはっ!!!」
所変わって、問題の銀行前。正面入口を数台のパトカーが占拠している前で大柄の男が大声で笑っていた。
その男の姿は異様で、ネズミの着ぐるみを着ている様な姿だった。
男の手には、銀行から奪ったと見れるお金の入った大きな袋が握られていた。
「そこの着ぐるみ男!馬鹿な真似はやめて、おとなしく投降しなさい!!」
警官達は拳銃を向けて、説得を行う。
「これは着ぐるみじゃねぇよクソ人間ども!! 出てこい戦闘員ども!! うるせえ人間どもを黙らせろ!!」
「キーッ!!!」
ネズミ男が叫ぶと、何処からともなく全身黒タイツ様な見た目の人の形をした何かが現れ
その手に持った銃で警官達を攻撃した!!
「危ない!!伏せろーっ!!」
「うわーっ!!」
突如現れた戦闘員の攻撃に、警官達は手も足も出ない。その様子を嘲笑うかの様にネズミ男は大声で言い放つ。
「よく聞け人間ども!! 俺様は『秘密結社 インディアンズ』の怪人ラットン様だ!! この金は我らの
活動資金として、ありがたく貰って行く!! じゃあな!! がーっはっはっはっ!!」
そう言って、ラットン達は銀行の屋上まで飛び上がり、そして何処かへ消えてしまった。。
「・・・っ!! お、追えーっ!! 逃がすなーっ!!」
一瞬呆気に取られていた警官達は、慌ててパトカーに飛び乗り、まるで蜘蛛の子を散らすように
一斉に銀行の前から消えていった。辺りは何事も無かったかの様に静寂に包まれる。。
―――その様子を、裏路地からこっそりと様子を伺っていたアカリ。
「『秘密結社 インディアンズ』ついに現れたのね。
・・帰りが遅くなっちゃうけど、アイツ等の好きにはさせないんだから!」
そう言って、アカリは裏路地を奥へと進み、辺りに人が居ない事を確認して手荷物を道端に置いた。
そして、自身の首につけているハートの形をしたチョーカーを両手で握る。
「フロンティアの赤き炎よ私に力を貸して。変身!!」
アカリの体を眩い光が包み込む。。。
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警官達の追跡を逃れたラットン達は、使われていない廃工場に身を潜めていた。
奪ってきた金の額を戦闘員達に調べさせている間、ラットンは通信機を使い、インディアンズの本部へと
連絡をとっていた。
「それでラットン、首尾どうだ?」
「ははっ、ホーク様。万全にございます。醜い人間どもから金を巻き上げ絶望へと誘う。
そして、我々の懐も温まる。まさに一石二鳥にございます。」
ラットンは不気味に笑いながら、インディアンズの首領『ホーク』へと自分の成果を伝えた。
「よろしい。ではラットンよ。このまま次々と銀行を襲い、人間どもを絶望の淵に落としてやりなさい。」
「お任せ下さい! ホーク様!!」
そう言うと、ラットンは通信機の電源を落とす。そして振り返って、戦闘員たちに言い放つ。
「よし、戦闘員ども!! 次の獲物を襲いに行くぞ!!」
「キーッ!!!」
「そうはさせないわっ!!!」
意気込み活気づいた所に思わずの邪魔が入り、声のする方を振り向くラットン達。見ると2階の通路に
1人の少女が立っている。その姿は上から、ウェスタンハット、ウェスタンベスト、タイトスカートに
カウボーイブーツ。その全てが赤色で統一されていた。その姿はさながら、西部劇から出てきたガンマンの様だ。
「だ、誰だ貴様はっ!!?」
ラットンは叫ぶ。すると少女は待ってましたと満面の笑みで答える。
「フロンティアに灯る赤き炎『ウェスタンレッド』参上!! 怪人ラットン、貴方の悪事もここまでよっ!!」
説明しよう:このウェスタンレッドこそ、アカリが魔法の力で変身した姿なのだ!!
「何がウェスタン何とかだ!!? 生意気な小娘が!! 戦闘員ども捕まえろ!!」
「キーッ!!」
ラットンの掛け声で、戦闘員達は階段を駆け上がり、通路の両側からアカリを挟み込むように襲いかかる!!
「女の子だからって甘く見ないでよね! はぁっ!!」
バキッドカッ!!
「キィーッ!!?」
アカリは正面の戦闘員を蹴り上げ、後ろから来る戦闘員に裏拳を当てる。そして、2階の通路から
1階に飛び降り、腰の脇についているガンホルダーから愛用の拳銃を右手で引き抜き、1階に居た残りの
戦闘員達に銃口を向ける。
「喰らいなさい、フレイムショット!!!」
ダンッダンッダンッダンッ・・・!!!
アカリの拳銃から、赤く光る銃弾が吸い込まれるように戦闘員達に着弾した。
「キーィイッ!!!?」
すると、着弾した戦闘員達は、体が炎に包まれて光となって消えていった。
「なっ!? 戦闘員どもが消えただと!?」
「ふふ。どう私の力は? 降参するなら今のうちだけど?」
追い込まれたラットン。しかし、その顔には不気味な笑みを浮かべていた。
「中々やるな小娘。なら、こちらも本気を出させてもらうとするぜ!!」
そう言って、ラットンは腰に付けていた袋から、小さなラッパを取り出し、思いっきり吹き鳴らした!!
「さぁ来いネズミども!!!」
パパラパーッ!!!
まるでラッパの音に導かれるように、大量のネズミがどんどんと工場内に集まってくる。
「な、何でこんなにネズミが集まって・・」
「ふふふ。これで終わりではないぞ! 行けネズミども!!!」
パパラパーッ!!!
次のラッパの音で、ネズミたちは一斉にアカリに襲いかかる!!
「きゃ、きゃー!! 来ないでよ!!? このフレイムショット!!」
大量のネズミを前に、アカリは何とか応戦するが、多勢に無勢。ついにネズミ達に
覆い被されてしまって身動きが取れなくなってしまった。
「がーっはっは。残念だったな小娘!! おい戦闘員共! この小娘から武器を取り上げて、
しっかりと縄でふん縛っておけ!!」
「キーッ!!」
「くそう。・・あっ離せ!! 触るな!! やめて!! 」
ラットンの恐るべし攻撃の前に、ついにアカリは敵に囚われてしまった!!
絶体絶命の状況をアカリは、打開することが出来るのか!!?
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「ん。ううぅ。」
―――ここは廃工場の狭い物置部屋。そこにアカリは囚われていた。
アカリは両手を後ろ手に縄で縛られており、胸の上下にも縄を這わされていた。
さらに、足首と膝も縄を這わされ歩く事すら不可能だった。
「んぅ。んーっ。・・はぁ、ダメかぁ。」
アカリは力任せに縄を解こうと努力するが、きつく縛られた縄はビクともしない。
魔法少女として変身している姿ではあるが、基本的に魔法を使うには、愛用の拳銃が無いと
発動する事が出来ないのだ。残念ながら、拳銃は怪人達に取り上げられてしまった。
まさに万事休すと言った状況だった。
すると、扉の戸がガチャリと開いてラットンが入ってきた。
「無様な姿だな小娘?」
「小娘じゃない! 私はウェスタンレッドだって言ったでしょ!」
アカリはラットンの嫌味に強気で反論する。
「へぇ。そのウェスタン何とかさんは、俺を捕まえに来て逆に捕まっちまったのか?
こりゃ、傑作だな!! がーっはっはっはっ!!」
「くっ。」
アカリは悔しさに顔を俯かせる。
そんなアカリの様子に、ニヤつきながらラットンはアカリに近づき、顎に手をかけ上を向かせる。
「とりあえず小娘。貴様はホーク様への手土産として、俺達のアジトに連れて行ってやるよ。
まだ準備に時間が掛かるが、それまで楽しみにしながら大人しくして待ってるんだな。」
「なっ!? ふざけないで!! 誰がインディアンズのアジトなんかに行くも・・んんっ!!?」
アカリが必死に抗議しようとした口に、ラットンは汚い布で猿轡をした。
「うるさい! これでも咥えてろ!!」
「んむぅ!!」
遂に喋る自由すら奪われてしまったアカリ。悔しさに猿轡を噛み締める。
そのままラットンは、部屋を出ていき、薄暗い部屋にまたアカリだけが取り残された。
(このまま、ここに居たらアジトに連れて行かれちゃう。何とか脱出しないと!)
薄暗い部屋の中を見渡していると、部屋の隅に小さく光る物を見つけた。
アカリは、歩けないため必死に体を繰ねらせながら、光る物に近づいていく。
(何かの金属片かな? 頑張れば、縄を切れるかもしれない。)
「んんっ。んむうっ!」
アカリは手にした金属片を頼りに、後ろ手で拘束している縄を切りにかかる。
(急がないと怪人達が来ちゃう!)
アカリは急ぎたくてもうまく動かせない手に焦りながら、必死に縄を切るために金属片を縄に擦らせていく。。。
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「んぅ。むん。んむう!」
ラットンが部屋を出てから、すでに1時間は経過しようとしていた。
アカリはその間も必死に金属片を用いて、縄の切断を試していた。
(お願い!早く切れて!)
怪人達がいつ戻ってくるかのか分からない。その恐怖と焦りで、アカリの体力は大分消耗していたが
遂にその苦労が実り・・。
ブチブチッ!
「むむん!!(やった!)」
ようやく、後ろ手の縄を切る事に成功したアカリ。そのまま上半身の拘束を取り除き、続いて足の拘束も解いた。
そして、口に咥えていた猿轡も外した。
「ぷはぁ。はぁー、苦しかった。」
体の自由を取り戻したアカリは、まずはこの部屋から脱出しようと扉へと近づく。
扉に耳を押し当て、外の様子を伺う。しかし、外からは何も音が聞こえない。
アカリは意を決して、扉のドアノブに手をかける。
幸いにも、ドアには鍵が掛かっておらず、物音をたてない様に部屋から脱出した。
(見張りも誰も居ないなんて、甘く見られたものね。)
アカリは絶好のチャンスと思い、取り上げられた拳銃を探しに廊下を慎重に移動した。
――しばらく歩くと、少し広い部屋に着いた。
辺りを注意深く確認しながら歩いていると、奥の机の上に何かあるのを見つけた。
「っ!! あれって私の拳銃じゃない!?」
お目当ての拳銃を見つけたアカリは、一目散に拳銃に飛びついた!!
――しかし、アカリが拳銃を掴む事は出来なかった。なぜなら・・
「お探しの物はこれかな? 小娘?」
「なっ!!? ら、ラットン!」
机の陰に隠れていたのか、突如現れたラットンがアカリの拳銃を取り上げた。
そして、ぞろぞろと他の戦闘員達も武器や縄を片手に部屋の中へと入ってきた。
ラットンはニヤニヤと笑いながら、拳銃の銃口をアカリに向ける。
「金属片を使って、脱出するのに大分時間が掛かったじゃないか? あまりに遅いから危うく
迎えに行くとこだったぜ。がははっ!」
「っ!? ま、まさか、初めから私をわざと脱出させるつもりだったの!?」
「その通り。俺は必死に頑張った奴が、絶望のどん底に落ちるのを見るのが大好きなんだよ。
どうだい? 頑張って脱出したのに、また捕まる気持ちは?」
ラットンの卑劣な策略によって、先ほどの努力が全て無駄だったと知り、アカリは悔しさに泣きそうになった。
そんなアカリに追い討ちをかける様に、ラットンは話を続ける。
「せっかく、脱出できたんだ。抵抗しても構わないぜ? ただし、抵抗するなら痛い目を見てもらうがな。」
ラットンと戦闘員達は銃口をアカリに構え直す。
「降参するなら、痛い目は見ずにまた縄で縛るだけだ。・・もちろん、さっきよりはキツく縛るけどな。
さぁ、どっちが良い?」
好きに選べよとラットンは笑いながら言い放つ。
はっきり言って今の状況下でアカリに勝ち目は見えない。
かと言って、あっさりと負けを認め降参するのもアカリのプライドが許さなかった。
答えに言いよどんでいると突然・・
ドン!!バキャッ!!
「・・・・早く選べ。」
ラットンが思い切り机を叩き、ゆっくりと吐き捨てる様に言った。
その衝撃で机は真っ二つに折れ、壊れてしまった。たったそれだけの事で、アカリの心を折るのは簡単だった。
「っ! ・・・・こ、降参します。」
両手を上に挙げ、降参のポーズをとるアカリ。
ニヤついたラットンが、戦闘員に指示を出し、アカリはまたも縄で厳重に縛り上げられていった。。
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――事件発生から数時間。辺りはすっかり暗くなり。夜の静けさへと包まれていた。
ラットン達の隠れていた廃工場に大型のトラックが停まっている。
その荷台に戦闘員達が次々と、盗んだ金の入った袋を積み込んでいく。
「キーッ!!」
戦闘員の1人が積荷の積み込みが完了した事をラットンへと伝える。
「ご苦労ご苦労。・・んじゃ、行きますかウェスタン何とかさん? 」
そう言って、ラットンはアカリの方を見る。アカリは縛られて大人しく椅子に座っていた。
アカリは先ほど以上に厳重に縛り上げられ、胸の上下のみならず、首から胸にかけてV字になる様に縄を通され
その先を後ろ手の縄に連結されていた。これによって手首の自由がほとんどきかなくなっている。
さらには、首に縄を巻かれ、まるで首輪にリード付けられたかの様な形になっており、その縄尻を
ラットンに持たれていた。
「ほら! 立ち上がってこっちに来るんだ!!」
「うぐぅっ!!」
首に巻かれた縄をグイっと引かれ、思わず悲鳴を上げる。しかし、またもや猿轡を噛まされており
くぐもった声にしかならない。ラットンに引かれ、ゆっくりと歩き出すアカリ。
足首の縄は外れているが、膝の縄は取れていないため走ることが出来ず、ヨタヨタと惨めに歩くしかできなかった。
「さっさと歩け! あんまり遅いと痛い目に合わせるぞ!!」
「んむうっ!? んむむんっ!!」
アカリは必死にラットンの後を遅れない様について行く。
それだけでも酷く屈辱的ではあったが、それ以上に屈辱的な施しをアカリは受けていた。
それは、取り上げられた拳銃が今、自身の腰のガンホルダーに収まっているという事だ。
しかし、後ろ手に厳重に縛られている為、拳銃を持つ事も出来ない。
ましてや、猿轡を噛んでいる為、魔法の呪文を唱える事さえ不可能であった。
悔しさにアカリは、ラットンをキッと睨みつける。
「なんだその目は? 悔しかったら自分の銃で俺を撃ってみたらどうだ? 縛られて何も出来ないだろうけどよ!
がーっはっはっはっ!!」
工場内にラットンの笑い声が響く。
―――とその時!!
ダンッ!!
「なっ!!!?」
「んぐうっ!!!?」
ラットンとアカリを繋いでいた縄尻が、突如放たれた銃弾によってちぎれた!!
そのまま倒れかけたアカリの体を颯爽と現れた青い影が担ぎ上げ、工場の2階の通路へと飛び上がった。
そこには、先ほど銃弾を放った黄色い影もいた。
「だ、誰だ貴様らはっ!?」
ラットン達が2階の通路を見上げる。その間に青い影は、アカリの縄を解き、猿轡を外した。
そして、月明かりが3人のシルエットを浮かび上がらせる。
「フロンティアに流れる青き水『ウェスタンブルー』参上!!」
「同じくフロンティアに光る黄色の稲妻『ウェスタンイエロー』参上!!」
説明しよう:このウェスタンブルーこそ、西部 蒼泉が魔法の力で変身した姿であり、
そしてウェスタンイエローこそ、西部 黄依が魔法の力で変身した姿なのだ!!
「ブルー!! イエロー!! 二人共どうやってここに!?」
二人の仲間の救援に、思わず声を上げるアカリ。
「レッド! 細かい事は後! まずは目の前の怪人を倒すわよ!!」
「っ! 分かったわ! ブルー!!」
そして、三人がそれぞれポーズを決める!!
「我ら『魔法少女 ウェスタンガールズ 』参上!!」
遂に、ウェスタンガールズがここに全員集合したのであった。。。
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遂に揃ったウェスタンガールズ!
ここから彼女たちの反撃が始まる!!
「何がウェスタンガールズだ!? 構わん戦闘員どもやっちまえ!!」
ラットンの叫びで、一斉に動き出す戦闘員達だったが―――
「ふふん。先手必勝ってね♪」
まるで瞬きをした一瞬の内に、キヨ(ウェスタンイエロー)が2階の通路から飛び降り
両手に持った拳銃を戦闘員達に向けていた。
「ちょっと痺れるよ? ライトニングショット!!」
拳銃の先が黄色く光り輝き、まるで稲妻が駆けめぐる様に放たれた銃弾が戦闘員達を貫いた!!
「キギェーッ!!?」
体中を感電させ、戦闘員達は光となって消えていった。
「どんなもんよ♪」
イエローは満面の笑みでVサインを作る。しかし、背後から感電を免れた戦闘員が襲いかかる!
「危ない!! アクアショット!!」
「キーッ!!?」
間一髪、アオイ(ウェスタンブルー)の放った青色の銃弾が戦闘員を吹き飛ばす!
まるで、水の中に溺れた様に青い液体に包まれた戦闘員はキラキラと光になって消えていった。
「まったく、イエローはもう少し慎重に行動しなさい。」
「はーい。でも、ありがとねブルー!!」
全く反省の色が見えないキヨに対して、頭を抱えるアオイ。
「二人共! まだ怪人が残ってるのよ!? 油断しないで!」
そんな二人の間にレッドが、2階の通路から降りてくる。
2人は分かってると言う風にアカリに頷き、3人はラットンの方へ向き直る。
「さぁ!今度こそ観念しなさい!」
アカリがラットンに向けて言い放つ!
しかし、ラットンは不敵な笑みを浮かべながら、腰の袋からあのラッパを取り出した。
「俺にはまだ、これがあるのを忘れたか小娘? もう1回、ネズミに押しつぶされろ!」
パパラパーッ!!
ラットンはまたもラッパを吹き鳴らし、大量のネズミを呼び集めた。
「3人まとめて、とっ捕まえてやるよ! 行けい! ネズミども!!」
パパラパーッ!!!
大量のネズミ達がウェスタンガールズを襲う!!
「さっきは1人だった。でも、今は仲間がいる!! 行くよブルー、イエロー!!」
「分かったわ!」
「よーし!いっくよー♪」
そう言って、3人は一斉に拳銃を構える!
「フレイム・・・・」
「アクア・・・・・」
「ライトニング・・」
それぞれの銃口がキラキラと光り輝く!
『・・ショットッ!!!』
放たれた3つの魔法の銃弾は、それぞれが混ざり合い虹色の大きな光の球へと変貌する。
そしてそれは、光の爆撃となり大量のネズミ達とその後ろに居たラットンもろとも包み込んだ!
「ば、バカな!? こ、この俺様がガァアアアッ!!!」
こうして、ラットンは光となって消えていった。後には、操られたネズミ達がキョトンとしており
そのまま蜘蛛の子を散らす様に逃げていったのであった。。。
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所変わってとある警察署。ラットンを逃してから一向に進展が無い事に焦りを感じていた警察官達。
すると、署内に一本の電話が鳴り響く。
「はい。こちら○×警察署です。・・はい。ええぇっ!? 盗まれたお金が返って来たっ!!?」
『な、何ぃーっ!!?』
こうして、ウェスタンガールズの活躍で事件は無事に解決したが、警察官達はその事を知る事は無かった。。
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すっかり暗くなった夜道を歩く、西武家の三姉妹。
「まったく。アカリも、もう少し慎重になって行動してよね!」
アオイはヤレヤレと、ため息混じりにアカリに説教をする。
「もー、ゴメンって言ってるじゃんアオ姉! ・・でも、よく私が居る所わかったね二人共?」
アカリは不思議そうに、二人に質問した。
「えー、変身するとお互いの場所が分かるように、魔法で繋がるって知らなかったのアカお姉ちゃん?」
キヨは常識でしょーと言わんばかりに、アカリに言う。
「そ、そういえば、そうだったね。(汗) ま、まぁとにかく! 怪人も倒せたんだし!
さっさと帰ってご飯にしよう! ねっ!?」
アカリは、知らなかった事を有耶無耶にするために無理やり話題を変える。
「そういえばアカリ、今日の夕飯は何にする予定なの? 今日の食事係はアカリの当番でしょ?」
「おっ。よくぞ聞いてくれました! 今日は色々と安く買えたんだー・・・あっ。」
そこでアカリはある事を思い出す。
変身する為に裏路地に入り込み、荷物を道端に置いて来てしまった事を・・。
「ちょっとアカリ?どうしたの?」
「大丈夫ー? アカお姉ちゃん?」
アカリは冷や汗をダラダラと流し、突然、帰宅方向とは逆に走り出す!
「ごめん!! 先に帰ってて! 忘れた荷物取ってくるー!!(泣)」
そう言って、アカリは走り去って行ってしまった。
――ポツンと残された二人。
「・・・本当にあの子はしょうがないんだから。」
「ふふ。アカお姉ちゃんらしいけどね♪」
こうしてまた、いつもの賑やかな日常が戻ってきたのだった。
――― 第1話 完 ――――