第二話:中間
一気にレギュラーキャラが増えます。
あと主人公はかなり力技を使う子です。
文も力技です。
「……勢い余って殺してしまったけど、これ後々面倒なことになりそうだなぁ……。」
とかなんとか言いつつ、私は出来るだけキレイな鱗や角なんかをはぎ取っていく。基本的に龍というのはどんな種類のものでも売れば高く値はつくし、武器や防具にしてもかなりいい性能を持つものだ。重量も大きさもあるので多くは持てないものの、それでも鱗一枚を売れば半年は食料の心配をしなくていいほどの金が手に入るため、この機会を逃すのはもったいないと言えた。
「あ、そうだ一応この龍の目や血も採っておこう。さっきので武器がおじゃんになったから、新しい武器を作る時に必要になるかもしれないし。」
……武器を作るのに目玉が必要なのかとか、そういうのはつっこんではいけない。なぜか必要な武器もあるのだ。ちなみに他にも、少し前に名前だけ出て来たニャラニャラの粘液が必要な武器も存在する。あとはオーガのアキレス腱だったり、サキュバスの○○○だったり。何でそんなもん必要なんだってものは本当によくある。
「お、おい!!そこのおまえ!!」
11枚目の鱗をはぎ取ろうとした時、後ろから少しおびえている様な声が聞こえてきた、見るとこの国の衛兵らしき人が数人、こちらに槍を向けながら逃げ腰で隊列を組んでいた。おいちょっとまて、判りやすいぐらいに逃げ腰になってんじゃないよこら。
「はい、なんでしょうか。」
「お、お前まさか、この龍を倒したのか?」
「はいそうです。山から国境を越える為に樹海に入ったのですが、少し迷ってしまって気付いたらこの龍の巣の中にいたのです。」
「それで案の定狙われてしまって、死ぬわけにもいかなかったのでとりあえず倒してしまいました。あの、ひょっとしてこの龍を倒して何か都合の悪いことがあったのですか?」
そう訊ねると、何かもの凄い顔をされた。驚きと恐怖とわずかな畏怖と、それらを色々ひっくるめたような表情だった。あとは何か疑問のあるような雰囲気。
「都合の悪いって……、あなたは、えー……」
「マリス・キャスケード。冒険者で魔法剣士だ。」
「それではマリス殿。あなたはもしかしてこの龍のことに関する情報をほとんど知らないのですか?」
「ああ、残念だが。」
「この龍は半年ほど前にあの場所に棲み付き、何度か討伐隊が派遣されていたのですが、そのたびに全滅で失敗してきたのです。街の方も何度も被害に遭っていたので無視するわけにもいかないので、そろそろ騎士団の方にも依頼をしようをしていました。」
なるほど、どうやらこの龍は魔獣に分類されるほうだったようだ。だとしたらとりあえず罪に問われることはないだろう、少なくともこっちの方は。
「今回あなたがしてくれたことは、国から褒賞を貰えるぐらいのものです。どうか首都・ロスタンジェに来てほしいのですが……」
「心持はありがたいのですが、どうかそれを辞退させてもらいませんでしょうか?私は今回あのすぐ近くにある街で友人と待ち合わせをしていて、私だけ三日も遅れているのです。それに私は褒賞などに興味はありませんし、実のことを言いますと国境の砦を通ってきていないので、『印』を付けていないのです。ですから無断で国境を越えた罪を無しにして、ここで印をタダで付けることを、この龍を倒したことでどうにか出来ませんか?」
そういうと、その衛兵はもっと複雑な顔になった。そしてしばらく考え込んだり、通信機を取りだして色々やっていたようだが。(恐らく上司に色々相談をしていたようである。)やがて少し諦めたような様子で言ってきた。
「分かりました。ではあなたの要望通りにしましょう。これが『印』です。」
どうにか事なきを得たらしい、冒険者が国に滞在するために必要な『印』を受け取り、私はひとつ礼をすると出来るだけすぐにその場を離れた。なぜなら衛兵の視線がもの凄くいたたまれなかったからだ。
ひとまず適当な宿に入り、一旦休むことにした。確かに友人たちのことも気になったが、それ以上に疲れていたし、何より体を洗いたくて仕方がなかった。
途中です。