[第四話]オンラインショッピングの花
「ねぇーねぇー、この土、ごわごわしてて、あんまり気持ちよくないよー」
あの後、自分の部屋に花を連れて行き、しばらくすると「土の中に入りたい」とごねてきたため、
仕方なく近所の百均で土と鉢を買ってきて、こいつに与えてやった。
なのに、第一声がまず文句ときた。
しかし、まあ、これも5ヶ月の辛抱。
多少ウザくても、5ヶ月耐えればこいつは枯れていくはず...
「文句言うなよ、そこで大人しくしておけ」
「やだー!もっとねーふかふかの土がいいよー!」
そういうと、体全体を大きく揺らし、暴れ始めた。
こいつが暴れたせいで土が溢れて机に散らばる。
(こいつ...俺の机を汚しやがって...!!こっちは色々と我慢してやってるのに!!
いっそ、花びらをちぎって寿命減らしてやろうか!?
...いや、いい、我慢だ。5ヶ月の辛抱だ。)
「分かった!!分かったから!!ほら、これで好きなやつ選べ」
俺は仕方なく花に、スマホを差し出した。
「え?なにこれ?」
「カマゾンってサイトだよ。オンラインで欲しいもの簡単に買えるサイト。
ここで「土」って単語を入れて検索したら、たくさん商品が出てくるだろうから、自分で選んで欲しいやつ買えよ」
「えー、僕どれがいいか分からないよー?」
「あー俺もよくわかんねーけど...少し高い土買えば多少は質が上がるだろ」
「高いって何?」
「数字がいっぱい並んでたら高いやつ、つまり質が良いってこと。質が高い土を買えば、まあ、多分、今の土よりもふわふわになるんじゃないか?
あ、でもあんまり高いやつは買うなよ!!金ねーんだから!
あと、この「カートに入れる」ってボタン以外は押すなよ!」
「うん!分かった!」
ある程度、簡単なスマホの操作だけ教えて、花にスマホを渡した。
スマホを初めて触るのだろう。
不思議なものを見る目で見つめていたが、次第にスマホの素晴らしさに気がつき、目を輝かせながら不慣れながらにも操作を楽しんでいる。
金欠だから、できるだけ何も買いたくなかったが、どうせ土なんて高いと言ってもたかが知れてるだろう。
良い土を買ってこいつが大人しかなるなら、まあ少しのお金くらい出してやったっていい。
-----30分後-----
30分も経過したのに、花まだスマホをいじっている。
「おい...まだ調べてるのか?」
俺はスマホをひょいと取り上げた。
なんだこいつ、あんなに長時間調べてたのに、買い物カートに何も入れてないじゃないか。
「...ん?」
俺は自分のメールに新着が何件か来ているのに気がつく。
...全て、カマゾンからのメールだ。
『ご注文ありがとうございました』というメールが大量に届いている。
「注文内容が、園芸用土...肥料...そ、掃除機!?
え?は!?ルンバ!!??
おい、これどういう...って炊飯器や大型テレビまで買ってるじゃねーか!!」
俺のカマゾンの注文履歴を確認すると、土だけではなくなぜか高額の家電も購入されていた。
「おいおい何してんだ!!カートに入れるボタンしか押すなって言ったのに!!しかもなんで関係ない家電まで買ってるんだよ!」
「え?なんかボタンたくさんあるから押してみたよ!
それに、この数字がいっぱいあるやつが『質が良い」んだよね?だから僕、たくさんポチポチしておいたよ!!えっへん!」
(.......ふ....ふざけるなぁーーー!!!!)
何がえっへんだ!!花のくせにドヤ顔しやがって!
どこで覚えたんだこんな表情!!あのハゲ妖精のおやじが事前にドヤ顔をこいつにインストールしてたのか!?いらんことしやがって!!
そもそも、俺は働いてないニートなんだぞ!!
こんな高い家電買えるわけねーだろ!!
「ねー、このカマゾンって楽しいね!またポチポチしたいよ!」
「に...二度と俺のスマホに触るんじゃねー!!」
あと5ヶ月間の我慢。そう思っていたが、
果たして俺の忍耐は続くのだろうか...




