[第三話]ついてくる花
「ねぇー、どこ行くのー?」
「君って大きいね!なんで僕よりもそんなに大きいのー?」
「君はどうして葉っぱが生えてないの?それともそこが葉っぱなの?ねえねえ、教えてよ!」
(・・・こいつ、なんで俺の後ろをついてくるんだよ!!!)
先ほどの喋る花は、部屋に戻ろうとする俺の後ろを、根っこを足のようにして歩きながら、とことことついてくる。
こんな化け物を連れて歩いているところを見られたら、一発で逮捕間違いなし...勘弁してもらいたい。
「なんで俺についてくるんだよ!」
「なんで?なんでだろう?僕、わからないこといっぱいあるから、もっと君とお話ししたいよ!」
花は俺の服をぐいぐいと引っ張る。
「やめろ!引っ張るな!ちょ、力加減どうなってんだ!トルコアイスみたく服を伸ばすな!」
花とは思えないほど力強く引っ張られたことで、服がゴムのように伸びている。
「ツカマル?って何?ねえーなになに?」
「おい、こいつ都合の悪い単語はインストールされてない設定か...?」
「ねぇーねぇー、置いていかないでよー!」
花はさらに強く服を引っ張ってくる...俺の服がちぎれそうだ。
その直後、階段から足音が聞こえてきた。
まずい、住人が階段を降りる音だ。ゴミを捨てにきたのか?
人間が花と喋る光景...どうみたって他人からはおかしいし、ただでさえ、俺は他人から白い目で見られることが多いんだ。
こんなところでも、こいつのせいで白い目で見られるなんてごめんだ。
それに、人に見つかったら、この花だって何されるかわからない。
漫画やアニメの見過ぎだって思われるかもしれないが、それこそ「この花がなぜ喋るか原因を解明する!」とかいう理由で、いわゆる「人体実験」ならぬ「植物実験」をされて、苦しい思いをするかもしれない。
別に...俺は悪くない...俺は悪くない...が、俺がこいつの茎を折ったせいでこんなモンスターが生まれてしまったことも事実だ。
せめてこいつが生きているだろうあと5ヶ月間は、まあ...人目から守ってやっても、いいんじゃないか。
「分かった、分かったから!!」
そうして俺は、急いでこの花を上着で包み込み、人目につかないように自分の部屋へ連れて行った。




