[第一話]ゴミ捨て場の花
「あー、まぶしぃ...」
溜まっていたゴミを出すために、数ヶ月振りに外に出た。
今日は天気がいい。こんな日は何もかもうまく行く気がする。
なんて思うわけない、ただその無駄にぎらついているまぶしさにイライラするだけだ。
「くっそ、おもてぇな...」
両手に大量のゴミ袋を持って歩いていたため、その重さで足がよろめく。
このマンションのごみ収集箱まであともう少し。
そんなとこで、収集箱の蓋が開いているのが目に入った。
歩けば数歩。
そんなわずかな距離でも、俺はめんどくさくてたまらない。
ゴミ袋を強く握り、収集箱目掛けて大きく振りかぶった。
ゴミ袋は見事、箱にシュート!
ということもなく、普段全く運動しない俺はこの衝動に耐えられず、大きく傾き尻から転倒した。
「いってぇ...!!!」
ああ、くそっ、こんなことなら、投げずに、ちゃんと歩いて収集箱の近くまで行って捨てればよかった。
後悔している俺のケツに、何か異物の感触が当たった。
「あっ...」
どうやら俺のこのデカいケツは、このゴミ場にかすかに生えていた、小さな白い花を踏み潰してしまったらしい。
茎も折れ曲がってしまっている。
・・・これは、もう、助からないな。
俺が転んだからこの花は死んだ?
・・・いやいや、こんなところに生えているこの花が悪いだろ。
所詮、花の一つ、亡くなったところで世界は何も変わらない。
だってみんな、アリや花を潰して歩いてたところで、気にも留めないんだから。
「やっぱ、最近イライラするわ...」
手についた土汚れを落として呟いた。
少し転んだせいでかすり傷がある。地味に痛い。
すべてのゴミ袋をきちんと収集箱に入れて、俺は自分の部屋に帰ろうとした。
そして、ほんの少し、振り返る。
折れて、地面にこうべを垂れてしなびている花。
・・・、俺には、関係ない。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、困ってるようじゃの」




