第9話 勝利の余韻
ピットに戻った速多と凛を、男達が待ち受ける
男1「負けたよ、完敗だ」
男2「お前凄いな、本当にレースは初めてなのか?後ろからの圧が恐ろしかったぞ!」
男3「俺達は約束通りここにはもう2度と顔は出さねぇよ」
凛「えぇ!そうしてちょうだい!」
男1「あんなに熱くなれたのは久し振りだ!
ありがとよ」
男達は去ろうとするが、速多が声を掛ける
速多「待ってください!」
男1「なんだ?」
速多「俺、次にあなた達と走れる日を楽しみに
しています!」
凛「ちょっと!何言ってるの!
それだと約束が意味ないじゃない!」
凛「でも、このまま彼らがいなくなるのは、
何かさみしい感じがして…
折角車が好きでここに来ているのに」
男1「おまえ・・」
その時、信濃がやって来て声を掛ける
信濃「まぁこれに懲りたら、他の人を馬鹿にするのは辞めることだな、それを守れるなら出ていかなくて
良いぞ」
凛「ちょっと父さん!何言っているの!」
信濃「凛、良いじゃないか、速多も言った通り
折角車が好きで、走ることが好きで
ここに来てくれているだ」
凛「そうだけど、」
速多「凛さんだめですか?」
速多が、捨てられた子犬の様な悲しそうな目で凛を見る
凛「あぁ!もう!わかったわよ!しょうがないわね!
貴方達!もし次、他の奴の車を馬鹿にしたら
問答無用で叩き出すからね!覚悟しなさい!」
男1「本当に良いのか?」
男2「俺達勝負に負けたんだぜ」
凛「うるさい!父さんと速多が良いって
言っているの!それともあれかしら?
速多の優しさを蔑ろにするのかしら?」
凛は恐ろしい顔を男達に向ける
男1「ありがとう、これからもよろしく頼む」(怖ぇ!なんだこの女)
男2(この女イカれてやがる!)
男3(この女を怒らせたらやべぇ!)
凛「貴方達?
今とても失礼なことを考えてなかった?」
男123「「「いえ、何も!」」」
凛「なら良いのだけど」
男達はあまりの恐ろしさに震える
その時、速多が凛に声を掛ける
速多「いやぁ!凛さんのアドバイスのお陰で
勝てました!本当にありがとう御座います!」
凛は顔を赤くしてそっぽを向く
凛「別に貴方のためじゃないし!勘違いしないで!
まぁ、でもありがと」
速多と凛は並んで施設に入っていく
男1「しかし、ほんとに速かったなあのガキ」
男が呟いたその時!
施設入ったはずの凛が男達をすごい形相で睨んでいる
凛「今、ガキがなんとかって聞こえたけど?
まさか速多のことを言ったわけじゃないわよね?」
男達「いえ!そんな事はありません!」
凛「なら良いわ」
凛は今度こそ施設内に入る
男達は速多の事をガキと呼ぶのはやめようと誓うのだった




