最終話 ダウンヒラー速多
大会も最終日を迎え佳境を迎えていた
観客達も大いに盛り上がっていたが、午前中は
大雨が振っていたので急遽夜まで延期された
夜になると星空が見えるくらいいい天気になった
実況「さぁ!いよいよ大会も最終日です!雨が降るというトラブルもありましたが!今は嘘のように
やんでいます!!路面も乾いておりレースには支障はないと思われます!」
エド「そうだね!ただ、昼と夜では勝手が違うからね…特にコースの見え方が、昼と違って狭く感じるんだ…かなり恐怖を感じるから、落ち着いて走る事が大切だね!」
速多と凛は皆からエールを貰い堂々とグリッドに向かう
速多「行ってきます!」
凛「行ってくるわ!」
山岡「頑張って!」
麗華「応援していますわ!」
信濃「行って来い」
「クワァン!」(待ってるわ!)
「ウキキ!」(頑張れ!)
「ウキィ」(頑張って!)
その頃、信太とポチも友川兄妹にエールを貰い
グリッドに向かう
信太「では、行ってきます!」
「ガウ」(勝利を待っていろ)
悠輝「おう!頼んだぜ!」
麻耶「気をつけろよ」
選手達がグリッドに集まりスタートを今か今かと待ちわびていた
実況「選手達の紹介です!まず、キリングレーシングのリーダー遊矢選手です!愛車はイエローのフェラーリ!現在4位です!1位でフィニッシュする事が出来るのか!」
遊矢(どんな手を使っても優勝してやる)
実況「そして!今大会一の注目チーム!
スモールアニマルズから速多選手と凛選手です!
愛車はもちろん!青のスイスポ!夜のコースで
今回も素晴らしい走りを見せてくれるのか!」
速多「いよいよですね!絶対優勝しましょうね!」
凛「もちろんよ!」
実況「さて!チーム友川家からは
この選手が参戦します!信太選手です!
愛車はカプチーノ!ボディにはまるでヤンキーみたいなペイントが施されています!!特に目を引くのが
麻耶まじラブというペイントです!!
恋人の名前でしょうか!?」
実況の言葉を聞いた悠輝はケタケタと笑い
麻耶は顔を赤くして叫んでいる
悠輝「聞いたか!?こりゃ面白れぇ!!」
麻耶「兄貴のせいだろ!!?」
信太はポチの頭を撫で優しく微笑む
信太「絶対優勝しようね!」
「ガヴ」(我に任せておけ)
ボードのカウントが0になった瞬間
各車一斉にスタートする
暗闇に多数のヘッドライトがチラついている
速多はここは自分のステージだと言わんばかりに
最初から全開で駆け抜けていく
凛「昼間のコースをイメージしなさい!」
速多「はい!」
信太は必死に速多の後を追い掛ける
信太「やっぱり速い…でも!絶対離されないぞ!」
他の選手達は夜間という暗闇に慎重にならざるを得なかったが速多と信太はお構い無しで駆け抜け一気に
順位を上げていく
その走りは狂気に満ちていて他の選手を威圧していく
選手(こんな暗い道をあんなスピードで駆け抜けるなんて自殺行為だ!)
選手(アイツら頭のネジがぶっ飛んでやがる!)
速多はどんどん順位を上げていき
ついに3位に躍り出る、それに連れられて信太も4位になりトップ争いに参加する
その時、不幸な事に1位の選手がコーナーの路肩に
タイヤを取られスピンしてしまう
ギュルゥャァァァ!!
遊矢、速多、信太の3名は綺麗に避ける
遊矢(ラッキー!これで1位だ!)
凛「アンタ!このままハンドルは切らずに
行きなさい!」
速多「はい!」
「ガヴ!」(左に避けよ!)
信太「うん!!ありがとう!」
実況「あっと!!ここでスピンです!後続車は綺麗に避けていきます!!これでトップが入れ替わり役者が揃いました!!レースも中盤!一体誰が何処で仕掛けるのか見ものです!!」
エド「ここからはコースが、よりタイトになるから
どうやって仕掛けるのかが大事になるね!」
(どうする?速多!抜けるポイントは限られてるし
遊矢はそう簡単にはオーバーテイクさせてくれないよ)
遊矢はコースの真ん中にポジションを取り何が何でも
抜かれないようにしていた
遊矢(ここから先は絶対抜かせないぜ!)
速多と凛はどうしたらオーバーテイク出来るのか
考える
凛は前のフェラーリを食い入る様に見つめていた
その時、速多はふとエドが言っていたことを思い出し
小さくつぶやく
『この技は難易度が高いけど、相手を動揺させるにはもってこいなんだ!ブラインドアタックっていうんだけどね……』
速多「ブラインドアタック…それしかないか」
凛は、速多のつぶやきを聞いた瞬間
速多の言いたいこと、やりたいことを理解して
目を見開く、全身の血の気がひいていく
凛「アンタ…!まさか!?」
速多「はい!次のコーナー進入時に
ライトを消します!」
凛「無謀よ!こんな暗い中ライトを消して
走るなんて自殺行為だわ!」
速多「でも!これかしか方法はないんです!
凛さん!俺の目になってください!」
凛は頭を掻き、決意を込めた目で速多を見つめ
了承する
凛「わかったわよ!!死ぬ時は一緒だからね!!」
速多「ありがとうございます!!」
スモールアニマルズはモニターを祈るように見ていた
信濃「アイツらどうすると思う?」
山岡「わかりません…ただ」
麗華「あのお二人なら、絶対になんとかしますわ!」
信太も遊矢と速多を抜かす為の方法が無いかを必死に
考えていた
信太「速多さんはどうするんだろう?このままだと
レースが終わっちゃう!僕も2人をオーバーテイク
する方法を考えないと…」
そうこうしている内にコーナーが近づいてくる
その時
遊矢と信太の視界からスイスポが消えた
遊矢(な!消えた!?アイツはどこに!?)
信太「あれ!?速多さんは!?」
「ガルゥア!」(信太!よく見よ!速多はしっかり前にいる!アヤツの後ろに貼り付け!)
信太「!!嘘でしょ!?ライトを消して走っているのか!?いや!考えても仕方ない!今しかない!」
遊矢は突然消えたスイスポに動揺しラインを開けてしまう
凛「アンタ!あと2秒後にブレーキを踏んで
アウトからハンドルを目一杯切りなさい!」
速多「はい!」
実況は突然消えたスイスポに驚愕し、エドは
速多が何をしたのかを理解して満足気に微笑んだ
実況「なんということでしょう!!スイスポが突如として姿を消しました!!一体何が起こっているのでしょうか!?」
エド「考えたね!速多はライトを消して走っているんだ!」
(ほんとに面白い!まさかブラインドアタックを
する為にライトを消すなんて!肝が据わり過ぎているよ!)
実況「えぇ!?この暗いコースをですか!?」
エド「うん!相手の視界から消え去れば、相手は
動揺する…その隙にオーバーテイクする!
この暗闇の中、ライトを消して走るのは
かなりの技術と度胸、そしてナビゲーターとの息が
合ってないとできない芸当だよ!ホント見事だね!」
スモールアニマルズの面々は血の気が引く
ライトを消して走るなんて自殺行為だからだ
信濃「アイツ…どれだけ凛と自分の技術を信頼してるんだ…」
山岡「うそだろ…?」
麗華「あ、ありえませんわ…」
遊矢は動揺が収まらないままコーナーをインから
進入する
凛「今よ!!派手に行きなさい!!」
その瞬間、右隣から眩しい光が差し込んでくる
ピカァッ!!
ゴギャァァァ!!ヴワァァァァ!!
遊矢(!おまえ!どこから現れた!?)
速多はアウトから華麗にオーバーテイクしていく
さらに信太も速多のテールに張り付いたまま
同じラインをなぞり遊矢の前に躍り出た
実況「速多選手!オーバーテイク成功です!!
まさに神業!!鳥肌が立ちました!!遊矢選手との差がぐんぐん広がっていきます!!」
エド「見事だったね!!信太君も素晴らしい判断、
対応力を見せたね!!恐らく…遊矢は優勝争いには参加できないね!ここからはマンツーマンの対決になるよ!」
遊矢は呆然とし最早レースどころでは無くなってしまった
遊矢(ありえない…一体何が起こったんだ…)
モニターで一部始終を見ていた下衆田は
激怒し地団駄を踏む
下衆田「あの馬鹿!簡単に抜かれやがって!」
レースも終盤に突入していく
速多は先頭で変わらず全開で走っていく
しかし、信太も喰らいつきプレッシャーを掛けていく
車重が軽いカプチーノはコーナーを軽やかに曲がっていく
悠輝と麻耶は信太の走りに感嘆していた
悠輝「アイツすげぇな…ここまで喰らいつくなんて…」
麻耶「あぁ…大した奴だ」
速多はコーナーで喰らいついてくる信太にプレッシャーを感じていた、しかし自分にもダウンヒラーとしてのプライドがある、簡単に譲る気はない
速多「凄いな…プレッシャーがヒシヒシと
伝わってくる…」
凛「えぇ…でも、アンタはダウンヒルでは
負けなしよ!自身を持ちなさい!!」
速多「わかってます!俺にもダウンヒラーとしての
プライドがあります!どんなに速い相手だろうと
譲る気はありません!凛さん!最後までナビをお願いします!!」
凛「任せなさい!!」
実況「素晴らしい戦いです!!両者一歩も譲らず
デットヒートを繰り広げています!!」
エド「このレースどっちが勝ってもおかしくないよ!こんなにワクワクするレースは久しぶりだよ!!」
観客達は大興奮、応援にも熱が入っていた
会場が揺れるほどの声援が飛んでいる
観客「あの2人すごすぎるぞ!!」
観客「あぁ!!鳥肌もんだ!」
いよいよレースも、残りコーナーが1つとなる
速多と信太はお互い一歩も譲らない
信太「いよいよ最後のコーナーだよ!ポチ!」
「ガウゥ!」(わかっている!悔いは残すなよ)
速多「凛さん!あとコーナー1つです!」
凛「えぇ!気を抜かないで!」
最終コーナー入口
速多はアウトにポジションを置き、信太はインにポジションを置く
サイドバイサイドで2台が突っ込んでくる
実況「さぁ!最終コーナーです!!2台が並んで突っ込んできます!!ブレーキング勝負になります!!」
エド「どう転んでもおかしくない展開だね!」
凛「今よ!」
信太「今!」
ゴギャァァァ!!ギュルウゥゥゥ!!!
スイスポとカプチーノのラインがクロスする
カプチーノが少し膨らんだ所をスイスポは最短距離で
トレースしていきスイスポが先頭になる
スイスポはそのままゴールを通過する
観客達「「「うおぉぉぉ!!」」」
信濃「アイツら…本当にやりやがったな…」
山岡「優勝だ!!」
麗華「やりましたわね!!」
「クワァン!」(やったわね!!)
「ウギャァ!!」(やったぜ!!)
「ウキャキャ!」(優勝だ優勝だ!)
実況「素晴らしい!!見事!スイスポがせめぎ合いに勝利しました!!」
エド「名勝負だったね!!」
速多は停車後スイスポを降り凛を抱きしめる
凛は涙を流しながら抱きしめ返す
速多「やりました!!優勝ですよ!凛さん!!」
凛「えぇ…!えぇ!ほんとよくやったわ!」
信太が悔しそうに速多に近付いてきて握手を求める
速多はそれに笑顔で応えた
信太「速多さん!流石ですね!良いレースでした!
くやしいなぁ!あと少しが中々届かなかったです!」
速多「信太…良いレースだったよ!!」
スモールアニマルズは見事優勝を収め世界一になる
歴史上初めて、町の小さな車屋が世界の頂点に立った
瞬間だった
ここまで読んでいただきありがとうございました!
これで本編は終了となります!本当にありがとうございました!
あと、後日談を3話程出したら完結になります!
今後ともよろしくお願いします!




