第50話 スリップストリーム
いよいよ本戦2日目
前日の山岡の走りのおかげで10位という素晴らしい
位置でレースを開始できる
実況「レースは2日目に入ります!今回の区間は
ハイスピードで過ぎていくことでしょう!!早速選手の紹介をしていきます!!」
エド「この区間は最終日に繋げる大事な
レースだね!」
神埼「そうですね、ここで上位に食い込むことが
できれば優勝を狙えますからね」
スモールアニマルズのピットから麗華とマリーは
優雅に向う
速多達は明るくエールを送る
麗華「では…行ってまいりますわ!」
「クワァン!」(私達の走りを見てなさい!
)
速多「頑張ってください!」
凛「落ち着いてね!」
山岡「無理はしないでくれよ!」
信濃「程々にな」
友川家のピットからは麻耶が威風堂々と歩いてくる
かなりの威圧感を振り撒いているが、信太のエール
を聞いた瞬間頬を赤らめ、それに気づいた悠輝は
爆笑しながら茶化すのだった
麻耶「んじゃ、ちょっと行ってくるわ!」
信太「麻耶さん!大声で応援しますね!!」
麻耶「そんな声出しても聞こえねぇよ!!」
悠輝「おいおい!顔が赤いぜ!?どうした!?」
麻耶「だまれ!!行ってくるからな!!」
グリッドに選手達が集まる
実況は選手達を紹介していく
実況「まずはキリングレーシングの冷子選手です!
愛車はメルセデスAMG GT!!かなりのモンスター
マシンに乗っています!ハイスピードなこの区間にピッタリな車種です!!」
エド「そうだね!でも、ハイパワーな車は制御が
難しいんだ、彼女がどんなテクニックを見せるか
楽しみだね!」
実況「続きまして!今大会!かなり注目されている
話題のチーム友川家からは麻耶選手が出場します!
愛車は赤のFDです!一昔前の走り屋が乗ってそうな
車ですが!現代でも通じる力を持っています!
コースにどのようなロータリーのサウンドを
聞かせてくれるのでしょうか!?楽しみです!」
エド「FDはオールマイティに対応出来る
車だからね!乗り手次第で全く違ってくるよ!」
いよいよ麗華の番がやって来る
実況はマリーと一緒に参加する麗華を
興奮しながら紹介していく
実況「さて!今大会!大活躍のチーム!スモールアニマルズからは麗華選手が参戦します!
何とナビゲーターに可愛い
タヌキを乗せるそうです!愛車は真紅のポルシェ
どんな走りを見せてくれるのか期待しましょう!」
エド「ほんと、このチームは面白いよね!
必ずナビゲーターがいるから!麗華選手は
スモールアニマルズの中でも特に
調子に、左右されず走れる選手だから楽しみだよ!」
麗華は真剣な顔をしてマリーを撫でる
マリーは自身に満ち溢れた表情をしている
麗華「マリー?準備は良いですか?」
「グワァン!!」(もちろんよ!!)
選手達はボートのカウントが0になるまでエンジンを吹かす
ブオォォン!!ヴオォォォォン!!
カウントが0になり一斉に飛び出していく
ヴワァァァァ!!ヴオォォォォ!!
実況「さぁ!各車弾丸のように
飛び出していきます!ほぼ団子状でハイスピードで
駆けていきます!!この区間の1位は誰になるのか!?」
エド「…」
(あの冷子って女の子危なっかしいな…
無意識に後続車の進路を塞いでいる…
何も起きないと良いけど…)
神埼(何も置きなければ良いが…)
麻耶は前を走る冷子に一抹の不安を感じていた
冷子がコーナーの立ち上がりに、ふらついているのを
見てしまったからだ
麻耶は気持ち車間を長く取り警戒する
冷子(中々言う事を聞いてくれないわね…)
麻耶(なんか嫌な感じだ…)
気付けば10キロ地点まで到達していた
順位の変動は無いが集団が形成されていた
1位から4位がほぼ差がなく、5位から7位
そして8位9位10位がほぼおんなじくらい
それ以下の順位は結構離れていた
麗華はマリーのアシストに完璧に応え
理想的なラインをトレースするが、前を走る
麻耶がかなり上手く簡単には抜かせそうにない
しかしその均衡は破られる
冷子(ちょっと早いけどここでブレーキを
踏んで安全に曲がらないと)
ゴガァァァ!!
何と冷子が理由のわからない所でブレーキを踏み
麻耶の対応が遅れた
麻耶「あのバカ!!何ヤッてんだ!!」
ギャァァァ!!ギュルルゥゥゥ!!
最悪なことにFDはそのまま一回転
麗華「嘘でしょ!!」
「ギャワン!!」(こっちに来るわ!!左に避けて!!)
ゴギャァァァ!!ガシャァ!!
麗華は避けようとするが間に合わず接触する
ポルシェとFDはコース脇の砂地で止まる
その間に後続車が追い抜かしていく
実況「あぁ!!なんということでしょう!!
麗華選手と麻耶選手がスピンです!!
今のシーンはどう思いますか!?」
エド「うーん…わざとでは無いと思うけど…
冷子選手のブレーキングポイントが早すぎたね…」
神埼「車体にはそこまで大きなダメージが
無さそうなのが不幸中の幸いか…」
観客達はキリングレーシングに野次を飛ばす
観客「おい!またかよ!昨日の今日だぞ!」
観客「正々堂々戦え!!」
下衆田「チッ!うるさい奴らだ!」
遊矢(冷子がワザとなんて出来るわけ無いだろ!
アイツにはそんな技術は無い!)
スモールアニマルズの面々は大慌て
しかし、信濃だけはどっしりと構えてた
信濃(どうする?これで沈むようならそれまでだぞ?
ここから這い上がってこれるか?お前の選手
としてのレベルが試されているぞ)
悠輝は冷子に悪態をついているが
信太は麻耶を信じていた
悠輝「あの下手くそ!!なんて走りをしやがる!!」
信太「お兄さん!まだレースは終わってません!
麻耶さんならここから上がってきますよ!」
麗華とマリーは冷静だった
麗華「せっかく山岡様が繋いでくれた順位をこんな事で落とす訳にはいきませんわ!マリー?直ぐに
麻耶さんに合図を送ってくださいませ!」
「クワァン!」(わかってるわ!)
麻耶は一瞬取り乱すが
ふと、麗華の車を見るとマリーがこっちに吠えている
後ろからついて来いと合図をしていた
麻耶(どういうつもりだ?)
麗華(ワタクシが元の場所までお連れしましますわ!
ついてきてください!)
「ギャワン!!」(さっさと来なさいよ!!)
ヴギャャャ!!ヴオォォォォ!!
麗華は直ぐにコースに復帰する
麻耶は麗華の意図がわかり車間を0にし
まるで連結しているかのように張り付く
エド「考えたね!」
実況「スリップストリームですね!」
エド「パワーのあるポルシェが前に出てFDの空気抵抗を抑えているんだ!!」
実況「なるほど!!しかし車間距離が無いですが…」
エド「そう!本来ここまでビタビタじゃないんだ
前との呼吸が合わなければ大惨事に
なってしまうからね!でも彼女らは息ぴったりだ!
まるで連結している列車みたいだ!」
エドの言う通り2台はまるで繋がれているかのように
同じラインをトレースしていく
お互いがお互いを称賛していた
麗華「流石摩耶さんですわ!」
「クワァン!!」(麗華!この先道幅が広くなるわ!)
麻耶「麗華ってこんなに上手かったんだな…
すげぇわ」
周りの選手達はあまりのコンビネーションに
度肝を抜かれ驚愕する
麗華と麻耶はあれよあれよと元の順位に近付き
遂に10位11位でレースを終える事が出来たのだった




