表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダウンヒラー速多  作者: チンパンドッグ
番外編 信太と友川家の新たな日常
43/45

第41話 ポチの散歩と因縁のチーム

翌朝

家中にポチの遠吠えが響き渡る


「ガオォーーン!!」(朝だ!起きろ!)


悠輝と麻耶がリビングに集まってくる

2人とも目が半開きで今にも寝てしまいそうだ


悠輝「おう…ポチ…朝から元気だな…」


麻耶「もう少し静かにできないのか…」


ポチはより一層大きな声で吠える


「ガアオォーーン!!!」(早く我に食べ物を差し出せ!!!)


麻耶はドッグフードをポチに与える

ポチは最初は拒んでいたが、仕方なく一口食べると

意外と美味しいことに気付き勢い良く食べ始める


「グァァ」(中々いけるな)


麻耶「ゆっくり食べな…それより信太は?」


悠輝「あ?まだ寝てんじゃね?

ポチの遠吠えで起きないなんて…凄いやつだな」


麻耶はそれを聞いて呆れ

ポチに信太を起こしてくるように伝える


麻耶「ワリィ…信太のバカを起こしてきてくれ」


ポチは渋々従い信太を起こしに行く

数秒後、信太の部屋からけたたましい遠吠えと

情けない悲鳴が聞こえてくる


ガオォーーン!!


ひゃーー!!


悠輝は爆笑し、麻耶は頭を抱える

信太がリビングにやってきて2人に挨拶をする


信太「おはようございます!お兄さん!麻耶さん!」


悠輝「おう!おはよーさん!」


麻耶「おはよ」


信太「朝ごはんは食べました?まだなら

何か簡単なものでも作りますよ!」


悠輝「おう、頼むわ」


麻耶「お前料理出来るのか?」


信太「はい!小さい頃からやってるので!」


信太はキッチンに立ち、朝食を作っていく

リビングには、食欲をそそる匂いが立ち込める

悠輝と麻耶は、無意識にヨダレを垂らしていた


悠輝「美味そうな匂いだな…」


麻耶「あぁ…」


暫くして出てきたのは

ハムエッグとご飯と味噌汁といった至ってシンプルなものだった


2人は料理を一口食べると、何とも言えない

温かな気持ちになり、頬が緩む


悠輝「美味いな…」


麻耶「あぁ…」


信太「喜んでもらえて良かったです!

あ!そうだ!今からポチを大きな公園に

連れて行って、散歩してきますね!」


悠輝は特に気にしてなかったが、麻耶は驚いた様子で

信太に声を掛ける


麻耶「おい!まさか…あの車で行くのか?」


信太「はい!カプチーノで行ってきますよ!」


麻耶「あんな車で恥ずかしくないのか!?」


信太「…?」


麻耶は頭を抱える

それもそのはず、信太のカプチーノには

『麻耶まじラブ』やら『下り最速』等がペイント

されているからだ


麻耶「本気かよ…」

(あぁ…コイツイカれてるわ…)


麻耶は考えるのをやめた

しかし、変な輩に絡まれるといけないから

こっそりあとを、ついて行く事に決めた


信太はポチの首輪にリードをはめてカプチーノまで

連れて行く


信太「ポチ!散歩に行こうね!」


「ガウゥ…」(仕方ない、付き合ってやる…)


信太はポチを乗せて公園まで走らせる

麻耶はこっそり信太のあとを追い掛ける


公園に着くと信太は、呑気に鼻歌を歌いながら

ポチと散歩を楽しんでいた

麻耶は影から様子を見て頬を緩ませていた


信太「ポチ!今日は天気も良いし

気持ちがいいね!」


「ガウ」(そうだな)


麻耶(ふ、とんだ間抜け面だな)


その時

信太の足が止まり顔が強張ったのが見えた


麻耶(?あのバカどうしたんだ?)


様子を見てみると、如何にもな男2人と女1人が

ニヤニヤしながら信太に近付いているのが見えた

麻耶はいつでも飛び出せる様に

会話が聞こえる位置まで行き、警戒する


麻耶(何か、いけすかねぇ奴らだな)


信太と男達の会話が聞こえてくる


遊矢「おや?お前は…たしかこの前

無様にもクラッシュしたガキじゃないか!

こんな所で何をしてるんだ?」


冷子「ちょっとー言い過ぎよー?

可哀想じゃないー」


???「そうだぞー遊矢!可哀想じゃないか!」


遊矢「冷子も肝井も思っても無いことを!」


3人はケタケタ笑う


信太は唇を噛み締め堪えている

ポチは牙を剥き出しにして、今にも襲い掛かろうかと

している様子


「ガルルゥ!!」(安らぎを乱す愚か者め!!)


麻耶は、信太に大怪我させた張本人が目の前にいて

頭が沸騰していた


麻耶(アイツが遊矢か…!)


麻耶は偶然を装い信太の前に姿を現す


麻耶「なんだ?この公園で散歩していたのか?

ところで…コイツら誰?ダチ?」


信太「麻耶さん…実は…」


信太が何かを言おうとした時、中肉中背の不潔感満載

の男が麻耶に声を掛ける

男は遊矢から肝井と言われていた


肝井「おや?もしかしてこのガキの彼女さん?

美人さんなのに男の趣味が悪いね!

僕は肝井豚男!そんなガキより金も持ってるし

女の扱い方も上手いよ!」


麻耶はドン引きしていた

思わずたじろぎガンを飛ばす


麻耶(なんだコイツ!キモ!)


肝井はそんな事お構い無しに、麻耶に触れようとする

その瞬間、信太が肝井の手を掴み注意する


信太「やめてください!麻耶さんが嫌がってます!」


肝井は邪魔された事に腹を立て

信太を突き飛ばしてしまう

小柄な信太は飛ばされ、地面に叩きつけられてしまう


肝井「僕の邪魔をするな!」


ドサァ!


信太「!!…うぅ」


麻耶「信太!!テメェ!何しやがるんだ!」


それを見た麻耶は激怒し、肝井の顔面に蹴りをかます

肝井は、その場に崩れ落ちる

その瞬間、ポチが牙を剥き出し、肝井に襲いかかる


「グガアァ!!」(おのれ!よくも信太を!!)


肝井「ギャァァァ!!離せぇぇ!

イタイイタイ!!」


肝井は意識を手放す

それと同時に、ポチは襲うのをやめる


遊矢「ば、化け物が!!」


冷子「ヒィィ…」


麻耶は2人にガンを飛ばし低い声で脅す

ポチは唸って威嚇をする


麻耶「おい、お前ら…あんまりしゃしゃんなよ?

わかったら早くこいつを連れて消えろ」


「グルルゥ…」(愚かな者達よ

早く立ち去るといい…)


遊矢と冷子は、肝井を引きずりながら退散していった

麻耶は信太に駆け寄り声を掛ける


麻耶「おい?大丈夫か?」


信太「はい、すみません…

かっこ悪いとこ見せちゃって」


麻耶「まったく…弱いくせに調子に乗るな…

あんな奴、あたい1人でも大丈夫だ…

でもありがとな」


信太「麻耶さんが嫌がっているのを見て…

ついつい…」


ポチは信太の顔を舐める


「グゥ…」(まったく…

間抜けなくせに無理しおって…)


信太「ごめんね…ポチ…

守ってくれてありがとう」


「グゥゥ!」(ふん!当然の事だ!)


麻耶「さ!キモい奴らも消えたし!

散歩の続きをするか!」


信太「はい!」


信太と麻耶はポチの散歩をしながら、お互いのことを

話す


麻耶「お前は小さい時から料理をしてるのか?」


信太「はい!僕の家は、お母さんしかいなかったので

お母さんが楽出来るように毎日してました!」


麻耶「そっか…母さんは元気か?」


信太は空を見上げる


信太「今は空から僕の事を見てくれてますよ!」


麻耶は胸が締め付けられる


麻耶(余計な事聞いたな…)


信太「麻耶さんは小さい時から

お兄さんと2人で暮らしてるんですか?」


麻耶「あぁ…あたい達は施設で育ったんだ

だから親が誰かは知らね、あたいの家族は

兄貴だけだ」


信太「ごめんなさい!余計なこと聞きましたよね?」


麻耶「あぁ?気にすんなよ、お互い様だ」


2人の間にどこか微妙な空気が流れる

その流れを切ったのは信太だった


信太「僕楽しみなんです!

お兄さんや、麻耶さんとポチと

一緒に生活するのが!家族に入れてもらえている

気がして!」


麻耶「何言ってんだ?一緒に住むんだから

お前は家族同然だ」


信太「麻耶さん…」


信太は暖かい気持ちに包まれる


麻耶「さ、もうそろそろ帰るぞ

兄貴が待ってる」


信太「そうですね!」


信太と麻耶は、別の車にそれぞれ乗り

一緒の家に帰るのだった


帰宅後

どこか様子のおかしい2人に、悠輝は

もうヤッたのか?とニヤニヤしながら麻耶を茶化し

ボコボコにされてしまうのだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ