第38話 カプチーノの魔改造と信太の勘違い
悠輝と麻耶は、早速カプチーノを改造していく
足回りを完璧に仕上げ、エンジンを載せ換え
それにあった排気系の部品を取り付けていき
軽量化と剛性も施していく
信太は目を輝かせながら子供のようにはしゃぎながら
悠輝に質問をしていく
信太「お兄さん!この部品は何ですか!?」
悠輝「お前…こんくらいもわかんねぇの?
これはキャリパーだよ」
信太「キャリパー…青色なんですね!」
悠輝「あぁ!ホディのカラーと合わせてみた!
イカすだろ?」
信太「カッコいいです!あ!これは何ですか?」
こんな調子で信太は、悠輝に質問攻めをする
悠輝は得意げに楽しそうに答えながら
作業をしていく
麻耶は黙々と作業をしていたが嫌でも会話が耳に
入って来て集中できない
思わず信太に怒る
麻耶「おい!うるせぇぞ!!静かにしてろ!」
信太はとても悲しそうな顔をして
母親に叱られた子供みたいに落ち込んでしまう
信太「あ…ごめんなさい」
悠輝はそのやりとりが面白くて顔が綻び
麻耶は信太の泣きそうな顔を見て罪悪感に苛まれる
悠輝「おぉ怖ぇ怖ぇ!そんなに怒るなよー」
麻耶「チッ…」
(なんだよ…あの顔…ワリィ事したみたいで
気持ちわりぃ…)
怒られた信太はシュンとしている
耐えられなくなった麻耶は頭を掻き、信太を呼び
作業を見せ説明していく
信太は再び目を輝かせながら麻耶に質問をしていく
麻耶は面倒くさそうにそれに答え、悠輝は笑いながら
2人を茶化しつつ、内心では妹の楽しそうな顔に
満足気な様子
麻耶「おい!信太!こっちに来い!仕方ねぇから
教えてやるよ!」
信太「ほんとですか!?ありがとうございます!!
麻耶さん!これは何ですか?」
麻耶「は!?お前本気で言ってるのか!?これはマフラーだぞ!」
悠輝「ははは!まるで親子みたいだな!」
(麻耶のやつ楽しそうに笑いやがって…ったく)
外が暗くなり始めた時
ようやくカプチーノが完成する
信太の要望通りに450kgの車重に200馬力という
とんでもないモンスターマシンが完成する
しかもボディの横にはデカデカと『下り最速』とか
『麻耶まじラブ』等
まるでヤンキーが乗るような外見に変貌していた
麻耶は悠輝に怒る
麻耶「おい!兄貴だろ!こんな変なの書きやがって!」
悠輝「あぁ?いいだろ?別に?
信太が気に入ってるならよ!」
麻耶「おい!信太!お前はどう思う!?」
麻耶は、信太が何か変ですねと
答えるだろうと思って質問するが
返ってきた答えは想像の斜め上のものだった
信太「麻耶さんはとてもカッコよくて可愛いです!」
それを聞いた悠輝と麻耶は唖然とするが、信太は
真剣そのものだった
次第に笑いが込み上げてくる悠輝、我慢できなくなり
腹を抱えて爆笑しだす、当の麻耶は顔を赤くしている
悠輝「そうか!そんなに気に入ったのか!
『麻耶のことが!』良かったな!麻耶!」
麻耶「信太!あたいをどう思うかじゃなくて
車をどう思うか聞いたんだ!耳ついてんのか!?」
信太「あぁ!カプチーノのことですか?凄く
良いです!カッコよくて可愛いです!ありがとう
ございます!!」
気を取り直して悠輝は信太に近くの峠を走って来るように伝え、信太を送り出す
信太は大喜びしながら峠に向かう
麻耶は少し心配そうにしていた
麻耶「信太の奴…大丈夫か?
事故ったりしねぇかな?」
悠輝「大丈夫だろ!なんだ?
そんなに信太が心配か?もしかして
惚れちまったか?」
麻耶「うるせぇ!そんなじゃねぇよ!」
悠輝「わかったわかった!そう怒るなよ!」
信太は峠の下りを攻めている
チューニングが施された
不安定すぎるカプチーノを何とか制御していた
信太(集中してないとすぐスピンしちゃう…
車重が軽いせいかな?難しいな…)
しかし、徐々にだが速く走れるようになっていく
何周かしている内に、コツを掴んできたようだ
信太(わかったぞ!滑る前に自分がワザと
滑らせれば良いんだ!そうしたらコントロール
出来る!)
その時
道路脇に蹲っている大きな動物が見えた
信太はターンして向って様子を見る
何と傷を負った狼がいた
しかし、信太は犬と勘違いする
「グゥ…」(もう動けぬ…)
信太「大変だ!捨て犬かな?
早く病院に行かなくちゃ!」
「ガウゥ…」(我は犬ではない…)
信太は狼を何とか助手席に乗せ
峠を下って行き病院に向かう
1人よりも何故か、運転がしやすくなったと感じる
信太だった




