第36話 恐怖する友川兄妹
スモールアニマルズの面々が
ピットで一休みしていると
どこか疲れている様子の悠輝達が、速多に声を掛ける
悠輝「待たせたな…要件なんだが」
麻耶「あたいらを乗せて、コースを走って欲しいんだ」
速多「え!?悠輝さん達を隣に乗せてですか?」
悠輝「あぁ!速多の運転は神掛かっている
らしいじゃん?体験したくてさ!」
麻耶「頼めるか?」
速多「いいですよ!
なら悠輝さんから行きましょうか!」
悠輝「助かるぜ!」
麻耶「恩に着る」
ウキウキな2人とは対照的に
山岡と麗華はトラウマを思い出し、顔が青ざめる
山岡は悠輝と麻耶に近付きエールを送る
山岡「…2人とも…覚悟しておいてね」
悠輝「大げさですよ!」
麻耶「大丈夫ですよ!」
そして悠輝は速多と一緒に車に乗り込む
悠輝は速多に全開で行くようにお願いする
速多はそれに笑顔で答える
コースに出た瞬間、速多の顔が真剣な顔になり
アクセルを全開にしていく
普段、穏やかな速多とは違い
運転は狂気的だった
第1コーナーに差し掛かった時、悠輝は絶望する
減速する気配が無いからだ
当の速多はこれが普通だと言わんばかり
ヴオォォォォ!!!ヴワァァァァ!!!
悠輝「は、速多!!ブレーキー!!
ぶつかっちまう!!」
速多「え?悠輝さん?まだ早いですよ?」
悠輝(嘘だろ!?早くねぇよ!!コイツ死にたいのか)
いよいよウォールが目の前に来た!
悠輝はあまりの恐怖に冷や汗をかく
悠輝(コイツ!!イカれてやがる!!)
その瞬間、悠輝に急激な慣性が働く
悠輝は何が起こったか分からない様子
スイスポはその勢いのままコーナーをクリアしていった
ゴギャャャア!!ギュルルルル!!!
悠輝(コイツはいつも、こんな運転をしているのか?
恐ろしいぜ…)
落ち着いたのも束の間、またコーナーがやって来る
悠輝は流石に限界で顔を青くして叫んでいた
速多は運転に集中していて聞こえてない様子だった
悠輝「わかった!!もうわかったから!!止めてくれ!!」
速多「何か言いました?」
(やっぱり楽しいな!運転は!)
バギャャャャ!!ゴギャャャア!!!
ぎゃあぁぁぁ!!
コースには悠輝の悲鳴と、スイスポのスキール音が
木霊していた
悠輝「う、うっぷ…オェェー」
麻耶「あ、兄貴…大丈夫?」
山岡「良く頑張ったよ」
悠輝(に、二度と速多の隣には乗らねぇ…)
速多が笑顔で麻耶を誘う
少しムッとした表情の凛
速多「次は麻耶さんですね!隣にどうぞ!」
麻耶「ありがと、」
(大丈夫か?)
凛(何よ!あんなにニコニコしちゃって!)
スイスポに乗り込む速多と麻耶
速多の真剣な顔に一瞬ときめく麻耶
麻耶(こんな顔も出来るのか?コイツ…)
しかし、コーナーを迎えた直ぐに麻耶の顔が青ざめる
麻耶「バカ!止まれ!死ぬぞ!」
速多「え?まだ大丈夫ですよ!」
ゴギャャャア!!バギャャャャャ!!
うわぁぁぁぁ!!
戻って来た麻耶は顔面蒼白になっていた
麻耶「オエェェ…」
速多「だ、大丈夫ですか?」
麻耶「あ、あぁ」
(大丈夫なわけねぇだろ!)
悠輝と麻耶は改めて、速多の凄さと
それを支えている凛に対して
尊敬の眼差しを向けるのだった
しばらく休んでから悠輝と麻耶は帰っていくのだった
悠輝「今日はありがとな!レースではライバルだ!」
麻耶「あたいら負けないから!」
速多「はい!よろしくお願いします!」
凛「こっちも負ける気はないわ!」
山岡「じゃあね!」
麗華「お元気で!」
信濃は影から様子を見ており
楽しみだなと呟くのだった




