第32話 信頼関係
遊矢は、後ろから現れたスイスポに驚き
焦りを見せる
速多はスイスポのノーズを、フェラーリのテールに
張り付けプレッシャーをかける
ボンネットのくま吉が『許さない』と言っている様に
見える
遊矢(くそ!もう追いつてきたのか!?
一体どんな走りをしているんだ!?)
実況は大興奮しながら、様子を伝えていき
エドも内心興奮しているが、冷静に解説をする
実況「速多選手!!遂に!遊矢選手の背後を
取りました!!物凄いプレッシャーです!
遊矢選手は少し冷静さを欠いている様に見えます!」
エド「あれをやられると、ドライバーはかなりの
ストレスになるんだ!だけど、この先は
道幅が狭くて、物理的に抜かすのは難しいよ!
速多選手がどうやってオーバーテイクするのか
見ものだよ!」
(ここからどうする?速多!)
この先は道幅が狭く、ギリギリ2台が並べる
スペースしかない、遊矢は焦りながらも
絶対に抜かれないように、道の真ん中に寄り
ブロックする
遊矢(ここから追い抜ける所はもう無い!この勝負
もらった!)
凛は悩む、こうも真ん中に寄られてはオーバーテイクは出来ない
凛(どうする…このままだとオーバーテイクなんて出来ないわ…レースもコーナーがあと2つで終わり…
かなり厳しいわ…)
その時!凛がふと前を見ると
フェラーリのリアが少し滑っているのに気が付く
凛は閃く
凛(これだわ!)
「アンタ!次のコーナーでアウトから行く素振りを
見せなさい!!」
速多「え!?素振りですか?」
凛「遊矢は、絶対抜かさないようにアウトに
寄るはずよ!そしたらインにノーズを
突っ込みなさい!そして最終コーナーで
アウトからオーバーテイクしなさい!!」
速多「わかりました!!」
速多は、凛に言われた通りにアウトから抜く素振りを
見せる
遊矢はそれに釣られてしまい慌てて、アウトに車を寄せる
遊矢(外から行く気か!?舐めやがって!ぜってぇ
行かせねぇよ!)
その直後、速多はブレーキを少し踏みインに
進路を急変更する、まるでスイスポが踊っているように見えた!
遊矢(しまった!!インから行く気か!)
遊矢は直ぐにインに寄ろうとするが、フェラーリの
後輪が滑りインに寄ることは出来ない!
ギュルルルゥ!!
遊矢(くそ!!アンダーか!)
凛「今よ!!」
速多「はい!!」
ヴワアァァァ!!!ゴギャャャア!!
速多はノーズを突っ込み綺麗にインのラインを
トレースする
2台はサイドバイサイドでコーナーをクリアする
実況は大興奮し、エドは感嘆する
実況「なんと!!速多選手!!フェイントでインを
取りました!!素晴らしい状況判断とテクニック
です!」
エド「凄いね!並の選手じゃ真似できないよ!」
(なんて技術だ!この局面でフェイントを
思い付くなんて…恐らくナビゲーターの指示だと思うけど…2人は本当に凄いな!)
実況「最終コーナーの前にサイドバイサイドに
なりました!!次のコーナーのブレーキングで
勝敗が決まります!!一体どうなる!?」
観客達は全身に鳥肌が立つ
観客「何が起きた!?」
観客「この場面でフェイントを思いつくなんて!」
観客「2台が突っ込んでくるぞ!!」
スモールアニマルズの面々は大興奮
信濃「ここまでとは…アイツらは本当に凄いな」
山岡「行け!!速多!!」
麗華「ゴールは直ぐそこですわ!!」
「クワァン!!」(そんな奴早く抜きなさい!!)
「ウキキー!」(速多頑張れ!)
「キキ!!」(凛さんも頑張れ!)
皆が見守る中、2台はサイドバイサイドのまま
最終コーナー前のストレートをアクセル全開で走る
ヴオォォォォー!!
ブウワァァァ!!
エドが冷静に解説する
エド「この勝負は先にブレーキを踏んだ方が負けると思うよ!でも、踏むのが少しでも遅いと
壁に刺さってしまう…恐怖心との戦いになるね!」
速多は、真剣な表情で凛に声を掛ける
速多「凛さん!ブレーキのタイミングは任せました!!どんなタイミングでも曲がってみせます!!」
凛「分かったわ!!任せなさい!!」
遊矢はクラッシュするかもしれない恐怖に怯えていた
遊矢(ブレーキはアイツらに合わせるか?いや…それで曲がれなかったら、完全にポシャる…かと言って先に踏んだら負ける…どうする)
そうこうしている内に、コーナーが迫ってくる!
最初にブレーキを踏んだのは遊矢だった!!
ゴゴゴォォォォ!!
遊矢(もう限界だ!!)
しかし、スイスポは止まる気配は無い!
遊矢は嘲笑う
遊矢(オーバースピードだ!
このままクラッシュしてしまえ!!)
実況は心配そうにしているが、エドは興奮しながら
満足気な表情をしている
思わず解説の立場を忘れて、はしゃいでしまう
実況「速多選手!!ブレーキを踏む気配が
ありません!!マシントラブルでしょうか!!?」
エド「いや!見ていてよ!速多は絶対曲がるよ!」
速多は全神経を集中させて、凛の指示を待つ
遂にその時が来る!
凛「今よ!!カマしなさい!!」
速多「はい!!」
速多はフルブレーキをし、巧みなハンドリングで
スイスポを意図的に滑らしていく!
速多(頼んだよ!!お前なら絶対曲がれるはずだ!!)
スイスポは、けたたましいスキール音を鳴らして
ガードレールスレスレを曲がっていく!
ゴギャャャア!!ギュゥルルル!!!
実況や観客達は、大興奮している
実況「何ていうことでしょう!!
オーバースピードかと
思われたスイスポは綺麗に曲がっていきます!!
速多選手に恐怖心というものはないのか!!?」
観客「ドライバーも凄いけど!
助手席の女性も凄いぞ!!」
観客「あぁ!!普通の神経じゃねぇ!!」
観客「2人ともイカれてやがる!!」
スモールアニマルズの面々は歓喜している
信濃「決まったな!」
山岡「なんて凄いんだ!!
2人とも恐怖心は無いのか!!?」
麗華「お二人とも凄すぎますわ!!」
「クワァン!!クゥン!」(ふん!
チームリーダーなんだから当然よ!)
「ウキィ!!」(速多の勝ちだ!!)
「ウキ!ウキ!」(勝った!勝った!)
スイスポは見事コーナーをクリアしそのままゴール
ラインを切る
速多と凛は見事優勝に輝くのだった!!




